源氏物語 第32帖 梅枝(5)
明石の姫君の裳着
源氏は、戌の刻に秋好中宮のいる西の御殿に移る。中宮の居所の西の放出を整えて、髪上げの内侍もこちらに参上する。紫の上も、この機会に中宮と対面する。御方々の女房が数知れず集まっている。子の刻に、中宮が腰を結んで裳を着せる。灯火はほのかだが、姫君の様子はたいそうすばらしいと中宮は見る。源氏は、見捨てられないことを頼みに、失礼な姿をお目にかけたのだと言い、中宮は、こうも大げさにされてはかえって気が引けると答える。源氏は、すばらしい方々が集まっているのを満足に思う。実母の明石の君が、この晴れの場にも出られないのを悲しんでいたことを気の毒に思うが、人の噂をはばかって呼ばない。

- 1かくかくかくててて西西にしのののおとゞおとゞおとどににに戌戌いぬののの時時ときにににわたりわたりわたり給給たまふふう。。。宮宮みやのののおはしますおはしますおわします西西にしのののはなちいではなちいではなちいでをををしつらひしつらひしつらいててて、、、みぐしみぐしみぐしあげあげあげののの內侍內侍ないしなどなどなどもももやがてやがてやがてこなたこなたこなたににに參參まいれれれりりり。。。うへうへうえもももこのこのこの序序ついでににに中宮中宮ちゅうぐうににに御御おん對面對面たいめんありありあり。。。御御おん方々方々かたがたののの女房女房にょうぼうおしおしおしあはせあはせあわせたるたるたる數數かずしらしらしらずずず見見みえええたりたりたり。。。子子ねののの時時ときににに御御おん裳裳も奉奉たてまつるるる。。。おほとなぶらおほとなぶらおおとなぶらほのかほのかほのかなれなれなれどどど御御おんけはひけはひけわいいといといとめでたしめでたしめでたしととと宮宮みやははは見見み奉奉たてまつれれれ給給たまふふう。。。
- 2おとゞおとゞおとど覺覺おぼしししすつすつすつまじきまじきまじきをををたのみたのみたのみにてにてにてなめげなめげなめげなるなるなる姿姿すがたををを進進すすみみみ御覽御覽ごらんぜぜぜられられられ侍侍はべるるるなりなりなり。。。後後のちののの世世よのののためしためしためしにににやややととと心心こころせばくせばくせばく忍忍しのびびび思思おもひひい給給たまふるふるうる」」」などなどなど聞聞きこえええ給給たまふふう。。。宮宮みや「「「いかなるいかなるいかなるべきべきべき事事ことともともとも思思おもううう給給たまへへえわきわきわき侍侍はべらららざりざりざりつるつるつるををを、、、かうかうこうことごとしくことごとしくことごとしくとりとりとりなさなさなさせせせ給給たまふふうににになむなむなんなかなかなかなかなかなか心心こころおかおかおかれれれぬぬぬべくべくべく」」」とととのたまひのたまひのたまいけつけつけつ程程ほどののの御御おんけはひけはひけわい、、、いといといと若若わかくくく愛愛あいぎやうづきぎやうづきぎょうずきたるたるたるににに、、、おとゞおとゞおとどもももおぼすおぼすおぼすさまさまさまにににをかしきをかしきおかしき御御おんけはひけはひけわいどもどもどものののさしさしさしつどひつどひつどい給給たまへへえるるるをををあはひあはひあわいめでたくめでたくめでたくおぼさおぼさおぼさるるる。。。
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現代語訳
こうして、源氏は西の御殿に戌の刻にお渡りになる。中宮のいらっしゃる西の放出を整えて、御髪上げの内侍なども、そのままこちらに参上した。紫の上も、この機会に中宮とご対面がある。御方々の女房が集まっているのが、数知れず見えた。子の刻に御裳をお着せ申し上げる。灯火はほのかだけれど、姫君のご様子はたいそうすばらしいと、中宮はご覧になる。
大臣(源氏)は「お見捨てにならないことを頼みにして、失礼な姿を、進んでお目にかけるのでございます。後の世の例になるのではないかと、狭い心で人知れず思っております」などと申し上げなさる。中宮は「どういうことになるのか分かりませんでしたのに、こうも大げさにお扱いになるので、かえって気が引けてしまいそうで」とおっしゃって打ち消すご様子が、たいそう若々しく愛らしいので、大臣も思いどおりに、すばらしいご様子の方々が集まっていらっしゃるのを、似つかわしくめでたいとお思いになる。
母君(明石の君)が、このような折にさえ姫君を拝見できないのを悲しいと思っていたのが気の毒で、参上させようかとお思いになるけれど、人の噂をはばかって、そのまま過ごしなさった。このような所の儀式は、普通のものでさえたいそう事が多くて煩わしいのに、一部分だけ、いつものようにだらしなく語るのも、かえってよくないだろうと思って、細かくは書かない。
意訳
明石の姫君の裳着が、秋好中宮を腰結として盛大に行われ、紫の上も中宮と対面する。
源氏は、実母の明石の君が晴れの場に出られないのを気の毒に思うが、人の噂をはばかって呼ばない。
語釈・文法注
文法
- 反実仮想の「や…まし」(まうのぼらせやせまし)
- ためらいの意志。「参上させようかしら」。
- 「だに」(かゝる折だにえ見奉らぬ)
- 「このような折にさえ拝見できない」。
解説
明石の姫君の裳着は、秋好中宮を腰結とする、この上なく格式の高いものとなった。将来の后となる姫君にふさわしい儀式である。
実母の明石の君が、娘の晴れの儀式にも出られないことは、物語の中でたびたび語られる明石の君の悲哀である。源氏は気の毒に思いながらも、世間体を優先する。この悲哀は、次の藤裏葉の巻で、ようやく解消されることになる。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、560–561頁(コマ285)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日