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源氏物語 第31帖 真木柱(15)

帝、玉鬘を訪ねる

登場人物:冷泉帝・玉鬘

兵部卿宮の歌に困っているところへ、冷泉帝が玉鬘の局を訪れる。月の光の中の帝の容貌は言いようもなく美しく、源氏とまったく同じである。源氏の懸想はつらいものだったが、帝の場合はそうではない。帝は親しげに、思いがかなわなかった恨みを口にし、玉鬘は顔を隠して答えられない。帝は、尚侍に任じた喜びも分かってくれないのかと言い、「などてかく」の歌で、どうしてこんなに逢いがたい人を深く思い初めたのかと詠む。玉鬘は、今年加階したことへの礼として「いかならむ」の歌を返す。帝は、今から思い初めても仕方ないと恨むが、玉鬘がまじめな態度を崩さないので、乱れたことも口にせず、だんだん慣れていくだろうと思う。

月の明るい夜、冷泉帝が玉鬘の局を訪れて語りかけ、玉鬘が控えめに応じている場面(AI生成)
月の明るい夜、冷泉帝が玉鬘の局を訪れて語りかけ、玉鬘が控えめに応じている場面
  1. 1上うへ上うへうえわたらわたらわたらせせせ給たま給たまたまふふう。。。月つき月つきつきのののあかきあかきあかきににに御おん御おんおんかたちかたちかたちはははいふいふいうよしよしよしなくなくなく淸きよ淸きよきよらららにてにてにて、、、唯たゞ唯たゞただかのかのかのおとゞおとゞおとどののの御おん御おんおんけはひけはひけわいににに違たが違たがたがふふう所ところ所ところところなくなくなくおはしますおはしますおわします。。。かゝるかゝるかかる人ひと人ひとひとははは又また又またまたもももおはしましおはしましおわしましけりけりけりととと見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり給たま給たまたまふふう。。。かのかのかの御おん御おんおん心こころ心こころこころばへばへばえはははあさからあさからあさからぬぬぬもももうたてうたてうたて物もの物ものもの思おも思おもおもひひい加くは加くはくわはりはりわりしししををを、、、これこれこれはははなどなどなどかかかはははさしもさしもさしも覺おぼ覺おぼおぼえええさせさせさせ給たま給たまたまははわむむん、、、いといといとなつかしげなつかしげなつかしげににに思おも思おもおもひひいししし事こと事ことことののの違たが違たがたがひひいたるたるたる恨うらみ恨うらみうらみをををののの給たま給たまたまはするはするわするにににおもておもておもておかおかおかむむん方かた方かたかたなくなくなくぞぞぞ覺おぼ覺おぼおぼえええ給たま給たまたまふふうややや。。。
  2. 2顏かほ顏かほかおをををもてもてもてかくしかくしかくしててて御おん御おんおんいらへいらへいらえももも聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまははわねねねばばば、、、「「「あやしうあやしうあやしゅうおぼつかなきおぼつかなきおぼつかなきわざわざわざかなかなかな。。。よろこびよろこびよろこびなどなどなどももも思おも思おもおもひひいしりしりしり給たま給たまたまふふうらむらむらんととと思おも思おもおもふふう事こと事ことことあるあるあるををを、、、聞き聞ききききき入い入いいれれれ給たま給たまたまははわぬぬぬさまさまさまにににのみのみのみあるあるあるはははかゝるかゝるかかる御おん御おんおんくせくせくせなりなりなりけりけりけり」」」とととののの給たま給たまたまはせはせわせててて、、、「「「などなどなどてててかくかくかくはひはひはいあひあひあいがたきがたきがたき紫むらさき紫むらさきむらさきををを心こころ心こころこころににに深ふか深ふかふかくくく思おも思おもおもひひいそめそめそめけむけむけん。。。こくこくこくなりなりなりはつはつはつまじきまじきまじきにににややや」」」ととと仰おほ仰おほおおせせせらるゝらるゝらるるさまさまさまいといといと若わか若わかわかくくく淸きよ淸きよきよらららにににはづかしきはづかしきはずかしきををを、、、違たが違たがたがひひい給たま給たまたまへへえるるる所ところ所ところところやはやはやはあるあるあるととと思おも思おもおもひひい慰なぐさ慰なぐさなぐさめめめててて聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。
  3. 3宮仕みやづかへ宮仕みやづかへみやづかえのののらうらうろうもももなくなくなくててて今こ今ここ年とし年としとし加か加かか階かい階かいかいしししたまへたまへたまえるるる心こころ心こころこころにににややや、、、「「「いかならいかならいかならむむん色いろ色いろいろともともともあらあらあらぬぬぬ紫むらさき紫むらさきむらさきををを心こころ心こころこころしししてててこそこそこそ人ひと人ひとひとはははそめそめそめけれけれけれ。。。今いま今いまいまよりよりよりなむなむなん思おも思おもおもうううたまへたまへたまえしるしるしるべきべきべき」」」ととと聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえばばば、、、うちうちうちゑみゑみえみててて「「「そのそのその今いま今いまいまよりよりよりそめそめそめ給たま給たまたまははわむむんこそこそこそかひかひかいなかべいなかべいなかべいことことことなれなれなれ、、、憂うれ憂うれうれふふうべきべきべき人ひと人ひとひとあらあらあらばばばことわりことわりことわり聞き聞ききかかかまほしくまほしくまほしくなむなむなん」」」ととといたういたういとう恨うら恨うらうらみみみさせさせさせ給たま給たまたまふふう。。。
  4. 4御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしきのののまめやかまめやかまめやかににに煩わづら煩わづらわずらはしけれはしけれわしければばばいといといとうたてうたてうたてもももあるあるあるかなかなかなととと覺おぼ覺おぼおぼえええててて、、、をかしきをかしきおかしきさまさまさまをををももも見み見みみえええ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららじじじ、、、むつかしきむつかしきむつかしき世よ世よよののの癖くせ癖くせくせなりなりなりけりけりけりととと思おも思おもおもふふうにににまめだちまめだちまめだちててて侍さぶら侍さぶらさぶらひひい給たま給たまたまへへえばばばえええ思おぼ思おぼおぼすすすさまさまさまなるなるなる亂みだ亂みだみだれれれごとごとごともももうちうちうち出い出いいでででさせさせさせ給たま給たまたまははわでででやうやうやうやうようようこそこそこそはははめめめなれなれなれめめめとととおぼしおぼしおぼしけりけりけり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

帝がお渡りになる。月の明るい中で、ご容貌は言いようもなく美しくて、ただあの大臣(源氏)のご様子に違う所もなくていらっしゃる。このような方が、またもいらっしゃったのだと、玉鬘は拝見なさる。あの方(源氏)のお心づかいは浅くはなかったけれど、嫌な物思いが加わったが、この方はどうしてそのように思われなさろうか。たいそう親しげに、思っていたことが違ってしまった恨みをおっしゃるので、顔の置き所もないように思われなさることよ。

玉鬘が顔を隠して、お返事も申し上げなさらないので、帝は「妙にはっきりしないことだね。尚侍に任じた喜びなども分かっていらっしゃるだろうと思うことがあるのに、聞き入れなさらない様子ばかりなのは、このようなお癖なのだったのだね」とおっしゃって、「などてかくはひあひがたき紫を心に深く思ひそめけむ(どうしてこのように、灰を合わせても色の出にくい紫のように、逢いがたいあなたを、心に深く思い初めたのだろう)。濃くはなりきらないのだろうか」とおっしゃる様子が、たいそう若々しく清らかで、気後れするほどであるのを、源氏と違っていらっしゃる所があろうかと、心を慰めてお返事申し上げなさる。

宮仕えの功労もなくて、今年加階なさったことへのお礼の気持ちからであろうか、「いかならむ色ともあらぬ紫を心してこそ人はそめけれ(どのような色とも分からない紫〈三位の位〉を、お心にかけてこそ、私に染めてくださったのでしょう)。今からは、ありがたさを思い知りましょう」と申し上げなさると、帝はほほえんで、「その、今から染めなさるというのこそ、かいのないことだ。訴えるべき人がいるならば、道理を聞きたいものだ」と、たいそう恨みなさる。

そのご様子が本気でわずらわしいので、玉鬘はたいそう嫌なことだと思われて、愛想のよい様子もお見せ申し上げまい、わずらわしい世の男の癖だったのだと思うので、まじめな態度でお仕えしていらっしゃるので、帝もお思いのままの乱れた言葉も口にお出しになれず、だんだん慣れていくだろうとお思いになった。

意訳

冷泉帝が玉鬘の局を訪れ、思いがかなわなかった恨みを口にして、「などてかく」の歌を詠む。玉鬘は、加階への礼として歌を返す。

帝はなおも恨むが、玉鬘がまじめな態度を崩さないので、だんだん慣れていくだろうと思う。

語釈・文法注

文法

推量の「けむ」(心に深く思ひそめけむ)
過去の原因推量。「どうして心に深く思い初めたのだろう」。
係り結び「こそ…けれ」(心してこそ人はそめけれ)
「こそ」に応じて已然形「けれ」で結ぶ。

解説

冷泉帝が源氏に生き写しであることは、行幸の巻でも語られていた。源氏の懸想に悩まされた玉鬘は、同じ顔の帝にも言い寄られることになる。

帝の歌の「はひあひがたき紫」は、紫の染料を作るのに灰汁を加えることを踏まえ、「逢ひがたき」を掛ける。玉鬘の返歌の「紫」は、三位の位の衣の色を指し、加階への礼を述べて、帝の恋をかわしている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、548–551頁(コマ279–280)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日