源氏物語 第30帖 藤袴(4)
夕霧、源氏に問う
夕霧は、思いを打ち明けてしまったことを悔やみながらも、玉鬘の声をまた聞きたいと思い続け、源氏のもとに参上して玉鬘の返事を伝える。源氏は、玉鬘は宮仕えに気が進まないようで、兵部卿宮が熱心に言い寄るので心がひかれているのだろうが、大原野の行幸で帝を拝見してからは、宮仕えもよいと思っているようだと話す。夕霧は、中宮や弘徽殿の女御がいる中で、玉鬘が肩を並べるのは難しいだろうし、兵部卿宮が熱心なのに、宮仕えに出して宮の心を損ねるのも気の毒だと、大人びた口ぶりで申し上げる。

- 1中々中々なかなかにににもももうちうちうち出出いでででゝゝてけるけるけるかなかなかなととと口口くち惜惜おしきしきしきにににつけつけつけてててももも、、、かのかのかの今今いま少少すこししし身身みにににしみしみしみててて覺覺おぼえええししし御御おんけはひけはひけわいをををかばかりかばかりかばかりののの物物もの越越ごしししにてにてにてももも、、、仄仄ほのかかかににに御御おん聲聲こえをををだにだにだに、、、いかならいかならいかならむむん序序ついでででにににかかか聞聞きかかかむむんととと安安やすからからからずずず思思おもひひいつゝつゝつつおおお前前まえににに參參まいりりり給給たまへへえれれればばば、、、出出いででで給給たまひひいててて御御おん返返かえりりりなどなどなど聞聞きこえええ給給たまふふう。。。
- 2「「「このこのこの宮仕宮仕みやづかえををを澁々澁々しぶしぶにににこそこそこそ思思おもひひい給給たまへへえれれれ。。。宮宮みやなどなどなどのののれんじれんじれんじ給給たまへへえるるる人人ひとにてにてにていといといと心心こころ深深ふかききき哀哀あわれををを盡盡つくししし言言いひひい惱惱なやましましまし給給たまふふうににに、、、心心こころやややしみしみしみ給給たまふふうらむらむらんととと思思おもふふうににになむなむなん心心こころ苦苦ぐるしきしきしき。。。されどされどされど大大おお原原はら野野のののの行幸行幸みゆきににに上上うえををを見見み奉奉たてまつりりり給給たまひひいてててはははいといといとめでたくめでたくめでたくおはしおはしおわしけりけりけりととと思思おもううう給給たまへへえりりり。。。若若わかききき人人ひとははは仄仄ほのかかかにににももも見見み奉奉たてまつりりりてててえええしもしもしも宮仕宮仕みやづかえのののすぢすぢすじ、、、もてもてもて離離はなれれれじじじととと思思おもひひいてててなむなむなんこのこのこの事事ことももも斯斯かくくくものせものせものせししし」」」などなどなどののの給給たまへへえばばば
- 3「「「さてもさてもさても人人ひとざまざまざまははは孰方孰方いずかたにににつけつけつけてててかかかははは類類たぐひひいててて物物ものししし給給たまふふうらむらむらん。。。中宮中宮ちゅうぐう斯斯かくくく雙雙ならびびびなきなきなきすぢすぢすじにてにてにておはしましおはしましおわしまし、、、又又また弘弘こ徽徽き殿殿でんやんごとなくやんごとなくやんごとなく覺覺おぼえええ殊殊ことにてにてにてものしものしものし給給たまへへえばばば、、、いみじきいみじきいみじき御御おん思思おもひひいありありありともともとも立立たちちち雙雙ならびびび給給たまふふう事事こと難難かたくくくこそこそこそ侍侍はべらららめめめ。。。宮宮みやはははいといといとねんごろねんごろねんごろにににおぼしおぼしおぼしたたたなるなるなるをををわざとわざとわざとさるさるさるすぢすぢすじののの御御おん宮仕宮仕みやづかえにににもももあらあらあらぬぬぬものものものからからから、、、引引ひきききたがへたがへたがえたらたらたらむむんさまさまさまににに御心御心みこころ置置おききき給給たまははわむむんもももさるさるさる御御おん中中なからひらひらいにてにてにてはははいといといといとほしくいとほしくいとおしくなむなむなん聞聞きききき給給たまふるふるうる」」」とととおとなおとなしくおとなおとなしくおとなおとなしく申申もうししし給給たまふふう。。。
現代語訳
かえって打ち明けてしまったことよと残念に思うにつけても、あの、もう少し身にしみて思われた方(紫の上)のご様子を、これほどの物越しにでも、せめてほのかにお声だけでも、どのような機会に聞けるだろうかと、心穏やかでなく思いながら、源氏の御前に参上なさると、源氏が出ていらっしゃったので、玉鬘のお返事などを申し上げなさる。
源氏は「この宮仕えを、気が進まないように思っていらっしゃる。兵部卿宮などが、恋の道に慣れていらっしゃる方で、たいそう心深いしみじみとした思いを尽くして言い寄っていらっしゃるので、心がひかれていらっしゃるのだろうと思うと、気の毒だ。けれども、大原野の行幸で帝を拝見なさってからは、たいそうすばらしくいらっしゃったと思っていらっしゃる。若い人は、ほのかにでも拝見すれば、宮仕えの方面を、とても思い離れはしないだろうと思って、この事もこのようにしたのだ」などとおっしゃると、
夕霧は「それにしても、あの方のお人柄は、どちらの方面につけて、ふさわしくていらっしゃるのでしょう。中宮がこのように並ぶ者のないご身分でいらっしゃり、また弘徽殿の女御が高貴で格別のご寵愛でいらっしゃるので、たいそうなご寵愛があっても、肩を並べなさることは難しいでしょう。兵部卿宮はたいそう熱心にお思いになっているようですのに、特別に后妃としての宮仕えでもないものの、宮の思いに背くような有様で、宮がお心隔てをなさるのも、あのようなご兄弟の間柄では、たいそうお気の毒に存じます」と、大人びた様子で申し上げなさる。
意訳
夕霧は、源氏のもとに参上して玉鬘の返事を伝える。源氏は、玉鬘は兵部卿宮にも心ひかれているようだが、帝を拝見してからは宮仕えもよいと思っているようだと話す。
夕霧は、中宮や弘徽殿の女御がいる中で玉鬘が肩を並べるのは難しく、兵部卿宮の心を損ねるのも気の毒だと、大人びた口ぶりで申し上げる。
語釈・文法注
文法
- 「だに」(仄かに御聲をだに)
- 最小限の願望。「せめてほのかにお声だけでも」。
- 推量の「らむ」(心やしみ給ふらむ)
- 現在推量。「心がひかれていらっしゃるのだろう」。
解説
冒頭の「かの今少し身にしみて覺えし御けはひ」は紫の上を指す。夕霧は、玉鬘に思いを打ち明けながらも、心の奥では野分の朝に垣間見た紫の上を慕い続けている。
夕霧は、宮仕えの難しさを冷静に指摘する。源氏の真意を探ろうとする夕霧の問いかけには、玉鬘を宮仕えに出して源氏自身が近づこうとしているのではないかという疑いが込められている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、524–527頁(コマ267–268)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日