源氏物語 第29帖 行幸(14)
君達の噂と兵部卿宮
親王たちや人々が残らず集まり、玉鬘に思いを寄せる人々も多かったので、内大臣が長く御簾の内にいるのを不審に思う。内大臣の子息のうち、中将(柏木)と弁の君だけが事情をほのかに知り、思いを寄せていたことをつらくもうれしくも思う。源氏は内大臣に、しばらくは世間の非難のないように、少しずつ人目を慣らしていこうと言い、内大臣は、源氏に育てられたのも前世からの縁だろうと感謝する。兵部卿宮は、もう求婚を断る理由はないはずだと迫るが、源氏は、帝の意向を確かめてからと答える。内大臣は、ほのかに見た娘の姿をもう一度見たいと恋しく思い、かつての夢占いが本当だったと思い当たる。

- 1みみみ子子こ達達たち次々次々つぎつぎ、、、人々人々びと殘殘のこりなくなくなく集集つどひひい給給たまへへえりりり。。。御御おんけさうけさうけそう人人びとももも夥多夥多あまたまじりまじりまじり給給たまへへえれれればばばこのこのこのおとゞおとゞおとど斯斯かくくく入入いりりりおはしおはしおわしててて程程ほど經經ふるるるをををいかなるいかなるいかなる事事ことにににかかかととと疑疑うたがひひい給給たまへへえりりり。。。かのかのかの殿殿とのののの君達君達きんだち、、、中將中將ちゅうじょう、、、辨辨べんののの君君きみばかりばかりばかりぞぞぞほのほのほの知知しりりり給給たまへへえりりりけるけるける。。。人人ひと知知しれれれずずず思思おもひひいししし事事ことをををからうからうかろうももも嬉嬉うれしうしうしゅうももも思思おもひひいなりなりなり給給たまふふう。。。
- 2辨辨べんははは「「「能能よくくくぞぞぞうちうちうち出出いでででざりざりざりけるけるける」」」とととさゝめきさゝめきささめきててて「「「さまさまさま異異ことなるなるなるおとゞおとゞおとどののの御御おん好好このみみみどもどもどもなななめりめりめり。。。中宮中宮ちゅうぐうののの御御おん類類たぐひひいににに仕仕し立立たててて給給たまははわむむんとととややや覺覺おぼすすすらむらむらん」」」などなどなどおのおのおのおのおのおの言言いふふう由由よしををを聞聞きききき給給たまへへえどどど「「「猶猶なお暫暫しばしししははは御御おん心心こころ遣遣ずかひひいししし給給たまひひいててて世世よににに誹誹そしりりりなきなきなきさまさまさまにににもてなさもてなさもてなさせせせ給給たまへへえ何事何事なにごとももも心心こころ安安やすききき程程ほどののの人人ひとこそこそこそ亂亂みだりがはしうりがはしうりがわしゅうともともともかくもかくもかくも侍侍はべるるるべかべかべかめれめれめれ。。。
- 3こなたこなたこなたをををもももそなたそなたそなたをををももも樣々樣々さまざまののの人人ひとののの聞聞きこえええ惱惱なやまさささむむん。。。啻啻ただならならならむむんよりよりよりはははあぢきなきあぢきなきあじきなきをををなだらかなだらかなだらかにににやうやうやうやうようよう人人ひと目目めをををももも馴馴ならすらすらすなむなむなんよきよきよき事事ことににに侍侍はべるるるべきべきべき」」」ととと申申もうししし給給たまへへえばばば「「「唯唯ただ御御おんもてなしもてなしもてなしににになむなむなん隨隨したがひひい侍侍はべるるるべきべきべき。。。斯斯こうううまでまでまで御覽御覽ごらんぜぜぜられられられ有有ありがたきりがたきりがたき御御おんはぐゝみはぐゝみはぐくみににに隱隱かくろへろへろえ侍侍はべりりりけるけるけるもももさきさきさきののの世世よののの契契ちぎりおろかおろかおろかならならならじじじ」」」ととと申申もうししし給給たまふふう。。。
- 4御御おん贈贈おくり物物ものなどなどなど更更さらにににももも言言いははわずずず、、、凡凡すべてべてべて引引ひき出出いで物物もの祿祿ろくどもどもども品々品々しなじなにににつけつけつけててて例例れいあるあるある事事こと限限かぎりあれあれあれどどど又又またことことこと加加くわへへえ二二になくなくなくせせせさせさせさせ給給たまへへえりりり。。。大宮大宮おおみやののの御御おん惱惱なやみにににことつけことつけことつけ給給たまひひいししし名殘名殘なごりもももあれあれあればばばことごとしきことごとしきことごとしき御御おん遊遊あそびなどなどなどはははなしなしなし。。。
- 5兵部卿兵部卿ひょうぶきょう宮宮みや「「「今今いまはははことつけことつけことつけやりやりやり給給たまふふうべきべきべき滯滯とどこおりりりもももなきなきなきををを」」」とととおりおりおり立立たちちち聞聞きこえええ給給たまへへえどどど「「「內內うちよりよりより御御おん氣色氣色けしきあるあるある事事ことをををかへさひかへさひかえさい奏奏そうししし又々又々またまた仰仰おおせににに隨隨したがひひいてててなむなむなん異異ことざまざまざまののの事事ことはははともともとも斯斯かくくくももも思思おもひひい定定さだむむむべきべきべき」」」とととぞぞぞ聞聞きこえええさせさせさせ給給たまひひいけるけるける、、、
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現代語訳
親王たちが次々に、人々も残らず集まっていらっしゃった。玉鬘に思いを寄せる人々も大勢まじっていらっしゃったので、この大臣(内大臣)がこのように御簾の内に入っていらっしゃって、時間がたつのを、どういうことかと不審にお思いになった。あの殿の君達では、中将(柏木)と弁の君だけが、ほのかに事情を知っていらっしゃった。人知れず思いを寄せていたことを、つらくもうれしくもお思いになる。
弁は「よくぞ思いを打ち明けなかったものだ」とささやいて、「風変わりな大臣(源氏)のご趣味だ。中宮と同じように仕立てようとお思いなのだろうか」などと、それぞれ言っていることをお聞きになるけれど、源氏は内大臣に「やはりしばらくはお気をつけになって、世間の非難のないようにお扱いください。何事も、気楽な身分の人ならば、乱雑にどうなってもよいでしょうが、
こちらもそちらも、さまざまな人がうるさく申し上げて悩ませるでしょう。普通の場合よりも厄介なことなので、穏やかに、少しずつ人目を慣らしていくのがよいことでございましょう」と申し上げなさると、内大臣は「ただ、あなたのお扱いに従いましょう。これほどまでにお世話いただき、めったにないご養育のもとに隠れておりましたのも、前世からの縁が浅くはないのでしょう」と申し上げなさる。
御贈物などは言うまでもなく、すべての引出物や禄なども、身分に応じて、先例のあることには限りがあるけれど、さらに趣向を加えて、またとないほどにおさせになった。大宮のご病気を口実になさった名残もあるので、大げさな管弦の遊びなどはない。
兵部卿宮は「今はもう、口実になさるような差し障りもないでしょう」と、熱心に申し上げなさるけれど、源氏は「帝からご意向のあることをお断り申し上げ、また重ねて仰せに従ってから、ほかのことは、ともかくも決めましょう」と申し上げさせなさった。
父大臣は、ほのかに見た娘の姿を、何とかしてはっきりともう一度見たい、少しでも不十分なところがお見えになったら、源氏がこれほどまで大げさにお扱いにはならないだろうなどと、かえって待ち遠しく恋しく思い申し上げなさる。今になって、あの夢占いのことも、本当だったと思い当たりなさった。女御(弘徽殿の女御)だけには、はっきりとした事情を申し上げなさった。
意訳
内大臣の子息のうち、柏木と弁の君だけが事情を知り、思いを寄せていたことをつらくもうれしくも思う。源氏と内大臣は、しばらくは人目を慣らしていこうと話し合う。
兵部卿宮は求婚を迫るが、源氏は帝の意向を確かめてからと答える。内大臣は、娘の姿をもう一度見たいと恋しく思う。
語釈・文法注
- かの御夢
- 蛍の巻で、内大臣が夢を見て占わせたところ、長く行方の知れない子が、人の養子になっているのだろうと占われたことを指す。
文法
- 推量の「べかめれ」(侍るべかめれ)
- 「べかるめれ」の撥音便無表記。係助詞「こそ」の結び。
- 打消推量の「じ」(契おろかならじ)
- 「縁が浅くはないだろう」。
解説
柏木と弁の君は、玉鬘が実の姉妹だと知り、思いを寄せていたことを恥じる。特に柏木は、玉鬘に熱心に恋文を送っていた(胡蝶の巻)。弁の君の「よくぞ打ち明けなかった」という言葉には、安堵と苦笑が入りまじっている。
内大臣は、源氏が玉鬘を大切に扱うのを見て、娘がすぐれた人であることを確信する。娘を恋しく思う内大臣の姿には、親としての素直な愛情が表れている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、518–521頁(コマ264–265)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日