源氏物語 第25帖 蛍(9)
内大臣の夢占い
柏木は玉鬘を深く思い、夕霧に取り持ちを頼むが、夕霧は、人のことでは非難したくなるものだと冷たく答える。昔の二人の父たちの仲に似ている。内大臣は多くの子に恵まれているが、娘は少なく、弘徽殿の女御の立后はかなわず、雲居雁も思うようにならずに口惜しく思っている。内大臣は、昔の撫子(夕顔の娘)を忘れず、名乗り出る者がいたら知らせよと息子たちに言う。夢を見て占わせると、長年知らなかった子が人の養女になっているのを聞き出すだろうと言われ、内大臣は、女の子が人の子になることはめったにないのにと、思いめぐらす。

- 1對對たいののの姫君姫君ひめぎみののの御御おん有樣有樣ありさまををを、、、右右みぎののの中將中將ちゅうじょうはははいといといと深深ふかくくく思思おもひひいしみしみしみててていひいひいいよるよるよるたよりたよりたよりもももいといといとはかなけれはかなけれはかなければばば、、、このこのこの君君きみをををぞぞぞかこちかこちかこちよりよりよりけれけれけれどどど、、、「「「人人ひとののの上上うえにてにてにてはははもどかしきもどかしきもどかしきわざわざわざなりなりなりけりけりけり」」」とととつれなくつれなくつれなくいらへいらへいらえてててぞぞぞ物物ものししし給給たまひひいけるけるける。。。昔昔むかしののの父父ちちおとゞおとゞおとどたちたちたちののの御御おんなからひなからひなからいににに似似にたりたりたり。。。
- 2內內うちのののおとゞおとゞおとどははは御御おん子子こどもどもども腹々腹々はらばらいといといと多多おおかるかるかるににに、、、そのそのその生生おひひい出出いでででたるたるたる覺覺おぼえええ人人ひとがらがらがらににに從從したがひひいつゝつゝつつ心心こころににに任任まかせせせたるたるたるやうやうようなるなるなるおぼえおぼえおぼえいきほひいきほひいきおいにてにてにて又又またなくなくなくしししたてたてたて給給たまふふう。。。
- 3女女おんなはははあまたあまたあまたもももおはせおはせおわせぬぬぬををを、、、女御女御にようごもももかくかくかくおぼしおぼしおぼしゝゝしことことことのののとゞこほりとゞこほりとどこおり給給たまひひい、、、姫君姫君ひめぎみもももかくかくかく事事ことたがふたがふたがうさまさまさまにてにてにてものしものしものし給給たまへへえばばば、、、いといといと口惜口惜くちおしししとととおぼすおぼすおぼす。。。かのかのかのををを忘忘わすれれれ給給たまははわずずず物物ものののの折折おりにににももも語語かたりりり出出いででで給給たまひひいしししことことことなれなれなればばば、、、
- 4「「「いかにいかにいかになりなりなりにににけむけむけん。。。物物ものはかなかりはかなかりはかなかりけるけるける親親おやののの心心こころにににひかひかひかれれれててて、、、らうたげらうたげろうたげなりなりなりししし人人ひとをををゆくへゆくへゆくえ知知しらららずずずににになりなりなりにににたるたるたることことこと、、、すべてすべてすべて女女おんな子子ごととといはいはいわむむんものものものなむなむなん、、、いかにいかにいかにもももいかにいかにいかにももも目目め放放はなつつつまじかりまじかりまじかりけるけるける。。。さかしらさかしらさかしらににに我我わががが子子こととといひいひいいててて、、、あやしきあやしきあやしきさまさまさまにてにてにてはふれはふれはうれやややすすすらむらむらん。。。とてもかくてもとてもかくてもとてもかくても聞聞きこえええ出出いでででこここばばばとととあはれあはれあわれにににおぼしおぼしおぼしわたるわたるわたる
- 5君達君達きんだちにににももも、、、「「「若若もしししさやうさやうさようなるなるなる名名なのりのりのりするするする人人ひとあらあらあらばばば耳耳みみとゞめよとゞめよとどめよ。。。心心こころのののすさびすさびすさびににに任任まかせせせてててさるさるさるまじきまじきまじき事事ことももも多多おおかりかりかりししし中中なかににに、、、これこれこれははは、、、いといといとしかしかしかおしなべておしなべておしなべてのののきはきはきわにににははは思思おもははわざりざりざりししし人人ひとののの、、、はかなきはかなきはかなき物物ものうんじうんじうんじをををしししててて、、、かくかくかく少少すくなかりかりかりけるけるけるものものものゝゝのくさはひくさはひくさわい一一ひとつつつををを失失うしなひひいたるたるたる事事ことののの口惜口惜くちおしきしきしきことことこと」」」ととと常常つねにににのたまひのたまひのたまい出出いづづず。。。
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- 7夢夢ゆめ見見みたまひたまひたまいててていといといと能能よくくくあはするあはするあわするものものもの召召めしししててて合合あわせせせ給給たまひひいけるけるけるににに、、、「「「もしもしもし年年としごろごろごろ御心御心みこころにににももも知知しららられれれ給給たまははわぬぬぬ御御おん子子こををを人人ひとのののものものものににになしなしなしててて聞聞きこしめししめししめし出出いづるづるずることことことややや」」」ととと聞聞きこえええたりたりたりけれけれければばば、、、「「「女女おんな子子ごののの人人ひとののの子子こににになるなるなることことことはははをさをさをさをさおさおさなしなしなし。。。いかなるいかなるいかなることことことにににかかかあらあらあらむむん」」」などなどなどこのこのこの頃頃ころぞぞぞおぼしおぼしおぼしのたまふのたまふのたまうべかべかべかめるめるめる。。。
現代語訳
対の姫君のご様子を、右中将(柏木)はたいそう深く思い込んで、言い寄る手立てもまったく頼りないので、この君(夕霧)に取り持ちを恨みがましく頼んだけれど、夕霧は「人のこととなると、非難したくなるものですね」と、そっけなく答えていらっしゃった。昔の、二人の父大臣たちのお仲に似ている。
内大臣は、お子たちがあちこちの母君に大勢いるので、その成長してきた評判や人柄に従って、思いのままのような威勢で、またとなく立派に取り立てなさる。
娘は大勢いらっしゃらないのに、女御も、あのように期待なさったこと(立后)が滞りなさり、姫君(雲居雁)も、あのように思うようにならない様子でいらっしゃるので、たいそう残念だとお思いになる。あの撫子(夕顔の娘)をお忘れにならず、何かの折にもお話しになったことなので、
「どうなってしまっただろう。頼りない母親の心に引かれて、かわいらしかった子を行方知れずにしてしまったことよ。すべて女の子というものは、どうあっても目を離してはならないものだった。さかしらに自分の子だと名乗って、みすぼらしい様子で落ちぶれているのではないか。どうであれ、名乗り出てくれたら」と、しみじみと思い続けていらっしゃる。
息子たちにも、「もしそのような名乗りをする人がいたら、耳をとめよ。気まぐれに任せて、してはならないことも多かった中で、これは、それほど並の身分とは思っていなかった人が、ちょっとしたことで世をはかなんで、このように少なかった娘の一人を失ってしまったことが残念だ」と、いつも口にしていらっしゃる。
一時期などは、それほどでもなく忘れていらっしゃったが、人々がそれぞれに女の子を大切に育てていらっしゃる例などを見るにつけ、ご自分の思いどおりにならないのが、たいそうつらく不本意にお思いになるのであった。
夢をご覧になって、たいそうよく夢解きをする者を召して占わせなさったところ、「もしや、長年お心にもご存じなかったお子を、人の養子にしていて、お聞きつけになることがあるのでは」と申し上げたので、「女の子が人の子になることは、めったにない。どういうことだろう」などと、このごろは思い、口にしていらっしゃるようだ。
意訳
柏木は玉鬘を深く思い、夕霧に取り持ちを頼むが、夕霧は冷たく答える。内大臣は、娘たちが思うようにならず、昔の撫子(夕顔の娘)を思い続けて、名乗り出る者がいたら知らせよと息子たちに言う。
内大臣が夢を占わせると、長年知らなかった子が人の養女になっているのを聞き出すだろうと言われ、内大臣は思いめぐらす。
語釈・文法注
- なでしこ
- 撫子。帚木の巻で、頭中将が「常夏の女」(夕顔)との間にできた娘をこう呼んだ。玉鬘のこと。
文法
- 推量の「らむ」(はふれやすらむ)
- 現在推量。「落ちぶれているのだろうか」。
- 推定の「べかめる」(おぼしのたまふべかめる)
- 「思い、口にしていらっしゃるようだ」。語り手の推定。
解説
柏木が玉鬘への取り持ちを夕霧に頼み、夕霧が冷たく答える場面は、かつて源氏と頭中将が張り合った関係を、息子たちが繰り返していることを示している。
内大臣が見た夢と夢解きの言葉は、玉鬘が源氏の養女として六条院にいることを暗示している。螢の巻は、玉鬘の素性が明かされる日の近いことを予感させて閉じられる。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、474–477頁(コマ242–243)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日