源氏物語 第15帖 蓬生(10)
その後の末摘花
源氏は、末摘花のもとに品々を贈り、下人を遣わして蓬を払わせ、垣を修理させる。いずれ二条東院に迎えると約束する手紙に、女房たちは空を仰いで喜ぶ。かつて去っていった女房たちも戻ってきて、邸はしだいに人の気配を取り戻す。二年ほど後、源氏は末摘花を二条東院に迎えた。語り手は、叔母や侍従のその後も語りたいが、頭が痛いのでまたの機会にと結ぶ。

- 1かのかのかの花散里花散里はなちるさともももあざやかあざやかあざやかににに今今いまめかしうめかしうめかしゅうなどなどなどははは花花はなやぎやぎやぎ給給たまははわぬぬぬ所所ところにてにてにて御御おん目目めうつしうつしうつしこよなからこよなからこよなからぬぬぬにににとがとがとが多多おおううう隱隱かくれれれにににけりけりけり。。。祭祭まつりなどなどなどのののほどほどほど御御おんいそぎいそぎいそぎどもどもどもにににことつけことつけことつけててて人人ひとののの奉奉たてまつりりりたるたるたるものものものゝゝのいろいろいろいろいろいろににに多多おおかるかるかるををを、、、さるべきさるべきさるべきかぎりかぎりかぎり御心御心みこころ加加くわへへえ給給たまふふう。。。
- 2中中なかにににもももこのこのこの宮宮みやにににはははこまやかこまやかこまやかにににおぼしおぼしおぼしよりよりよりてててむつましきむつましきむつましき人々人々びとにににおほせごとおほせごとおおせごと給給たまひひい、、、しもべしもべしもべどもどもどもなどなどなど遣遣つかわしししててて蓬蓬よもぎ拂拂はらははわせせせめぐりめぐりめぐりののの見見み苦苦ぐるしきしきしきににに板垣板垣いたがきととといふいふいうものものものうちうちうち堅堅かためめめつくろはつくろはつくろわせせせ給給たまふふう。。。かうかうこう尋尋たずねねね出出いででで給給たまへへえりりりととと聞聞きききき傳傳つたへへえむむんにににつけつけつけてててももも我我わががが御御おんためためためめんぼくめんぼくめんぼくなけれなけれなければばば渡渡わたりりり給給たまふふうことことことなしなしなし。。。
- 3御御おん文文ふみいといといと細細こまやかやかやかにににかきかきかき給給たまひひいててて「「「二條院二條院にじょういんいといといと近近ちかききき所所ところををを造造つくらららせせせ給給たまふふうをををそこそこそこににになむなむなん渡渡わたししし奉奉たてまつるるるべきべきべき。。。よろしきよろしきよろしきわらはべわらはべわらわべなどなどなど求求もとめめめててて侍侍さぶらははわせせせ給給たまへへえ」」」などなどなど人々人々びとののの上上うえまでまでまでおぼしおぼしおぼしやりやりやりつゝつゝつつとぶらひとぶらひとぶらい聞聞きこえええ給給たまへへえばばば、、、かくかくかくあやしきあやしきあやしき蓬蓬よもぎのののもともともとにににははは置置おききき所所ところなきなきなきまでまでまで女女おんなばらばらばらももも空空そらををを仰仰あおぎぎぎてててなむなむなんそなたそなたそなたににに向向むきききててて喜喜よろこびびび聞聞きこえええけるけるける。。。
- 4なげなげなげののの御御おんすさびすさびすさびにてにてにてもももおしなべおしなべおしなべたるたるたるよよよのののつねつねつねののの人人ひとをををばばば目目めとゞめとゞめとどめ見見み立立たててて給給たまははわずずず。。。世世よににに少少すこしししこれこれこれはははとととおもほえおもほえおもおえ、、、心心こころにににとまるとまるとまるふしふしふしあるあるあるあたりあたりあたりををを尋尋たずねねねよりよりより給給たまふふうものものものととと人人ひとののの知知しりりりたるたるたるににに、、、
- 5かくかくかくひきひきひきたがへたがへたがえ何事何事なにごともももなのめなのめなのめにににだにだにだにあらあらあらぬぬぬ御御おん有樣有樣ありさまををを物物ものめかしめかしめかし出出いででで給給たまふふうはははいかなりいかなりいかなりけるけるける御心御心みこころにににかかかありありありけむけむけん、、、これこれこれももも昔昔むかしののの契契ちぎりなめりなめりなめりかしかしかし。。。
- 6今今いまはははかぎりかぎりかぎりとととあなづりあなづりあなずりはてゝはてゝはててさまざまさまざまさまざまにににきほひきほひきおい散散ちりりりあかれあかれあかれしししうへうへうえしもしもしもののの人々人々びと、、、われわれわれもももわれわれわれももも參參まいらららむむんととと爭爭あらそひひい出出いづるづるずる人人ひともももありありあり。。。心心こころばへばへばえなどなどなどはははたたたうもれいたきうもれいたきうもれいたきまでまでまでよくよくよくおはするおはするおわする御御おん有樣有樣ありさまににに心心こころやすくやすくやすくならひならひならいててて殊殊ことなるなるなる事事ことなきなきなきなまなまなま受領受領ずりょうなどなどなどやうやうようののの家家いえにににあるあるある人人ひとははは、、、ならはならはならわずずずはしたなきはしたなきはしたなき心地心地ここちするするするもももありありありてててうちつけうちつけうちつけののの心心こころみえみえみえににに參參まいりりり歸歸かえるるる。。。
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- 10かのかのかの大貳大貳だいにののの北北きたののの方方かたのぼりのぼりのぼりててて驚驚おどろききき思思おもへへえるるるさまさまさま、、、侍從侍從じじゅうががが嬉嬉うれしきしきしきものものものゝゝの今今いましばししばししばしまちまちまち聞聞きこえええざりざりざりけるけるける心心こころ淺淺あささささををを恥恥はずかしうしうしゅう思思おもへへえるるる程程ほどなどなどなどををを、、、今今いま少少すこししし問問とはははずずず語語がたりもももせせせまほしけれまほしけれまほしけれどどど、、、いといといと頭頭かしら痛痛いとううううるさくうるさくうるさくものうけれものうけれものうければばば今今いま又又またももも序序ついであらあらあらむむん折折おりににに思思おもひひい出出いでででゝゝてなむなむなん聞聞きこゆゆゆべきべきべきとととぞぞぞ。。。
現代語訳
あの花散里も、きわだって当世風に華やかにふるまいなさることはない方なので、末摘花と見比べられても大差がないので、欠点も多く目立たずにすんだ。賀茂祭や御禊などのころ、そのご準備にかこつけて人々が献上した品々がさまざまに多いのを、源氏はしかるべき方々にだけ、お心配りをして分け与えなさる。中でもこの宮(末摘花)には、細やかにお考えになって、親しい人々にお命じになり、下人などを遣わして蓬を払わせ、周りの見苦しい所に板垣というものをしっかりと巡らせて修理させなさる。このように探し出しなさったと世間に伝え聞かれるにつけても、ご自分のためには体裁が悪いので、ご自身でお訪ねになることはない。
お手紙をたいそう細やかにお書きになって、「二条院のすぐ近くの所を造らせておりますので、そこにお移し申し上げるつもりです。よさそうな童女などを探して、お仕えさせなさい」などと、女房たちのことまでお思いやりになってお見舞い申し上げなさるので、このように見苦しい蓬のもとでは、身の置き所もないほどに、女房たちも空を仰いで、源氏のいらっしゃる方角に向かってお喜び申し上げた。
源氏はかりそめの慰みにも、ありふれた世間並みの女には目もとめず、相手になさらない。世間で少しでもこれはと思われ、心にとまるところのある人を探してお訪ねになるものだと人々は知っているのに、こうして打って変わって、何事も人並みでさえないご様子の人を、ひとかどの人として扱いなさるのは、どういうお気持ちだったのだろうか。これも前世からの縁なのだろう。
今はもうおしまいだと見下しきって、それぞれに先を争って散り散りに去っていった上下の人々が、我も我もと参上しようと争って出てくる者もいる。末摘花のお心ばえなどは、また引っ込み思案なほどによくていらっしゃるご様子に気楽に慣れていて、たいしたこともない受領などのような家に仕えている者は、慣れないきまりの悪い気持ちがする者もいて、見え透いた心をあらわにして戻ってくる。
源氏の君は、昔にもまさるご威勢のほどで、物事への思いやりもいっそう深くおなりになったので、細やかにお指図なさったことで華やかになって、宮の中はだんだん人の姿も見えるようになり、木や草の葉も、ただもの寂しく哀れに見えていたのを、遣り水の塵を払い、前栽の根元もすっきりとさせなどして、たいして目をかけられていない下家司で、源氏にお仕えしたいと思う者は、このようにお心をとめてお思いになっている所なのだと見て取って、ご機嫌を伺いながら、追従してお仕えする。
二年ほど、この古い宮で物思いに沈んでお過ごしになって、東の院という所に、後にはお移し申し上げなさった。対面なさることなどはたいそう難しいけれども、近い敷地の内なので、ふだんもお渡りになる時に、ちょっとお顔をのぞかせなどなさりながら、少しも軽んじるようにはお扱い申し上げなさらない。
あの大弐の北の方が上京して驚いた様子や、侍従が、うれしいものの、もう少しお待ち申し上げなかった心の浅さを恥ずかしく思っている様子などを、もう少し問わず語りもしたいけれど、たいそう頭が痛く、わずらわしく、気が進まないので、またいつか機会のある折に思い出して申し上げましょう、ということだ。
意訳
源氏は末摘花に品々を贈り、蓬を払わせ、垣を修理させる。いずれ二条東院に迎えると約束する手紙に、女房たちは空を仰いで喜ぶ。かつて去っていった女房たちも戻ってきて、邸はしだいに人の気配を取り戻す。
二年ほど後、源氏は末摘花を二条東院に迎えた。語り手は、叔母や侍従のその後も語りたいが、頭が痛いのでまたの機会にと結ぶ。
語釈・文法注
- 祭ごけい
- 賀茂祭と御禊(ごけい)。四月の賀茂祭の前に、斎院が賀茂川で禊をする儀式を御禊という。
文法
- 過去推量の「けむ」(いかなりける御心にかありけむ)
- 「どういうお気持ちだったのだろうか」。語り手が源氏の心を推し量る草子地。
- 伝聞の「とぞ」(聞ゆべきとぞ)
- 「申し上げましょう、ということだ」。下に「言ふ」などが省略された形で、物語を語り伝えの形で結ぶ。
解説
巻末の草子地は、語り手が「頭が痛いので」と語りを打ち切るユーモラスなものである。物語が語り手によって語られているという枠組みを意識させ、末摘花の物語を軽妙に締めくくっている。
源氏が末摘花を二条東院に迎えるのは、彼女の容貌や才気ではなく、ひたすら待ち続けた誠実さに報いるためである。語り手はそれを「昔の契」によるものと述べ、源氏の行動の不思議さを強調している。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、318–319頁(コマ162)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日