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源氏物語 第15帖 蓬生(8)

惟光の訪れ

登場人物:光源氏・惟光・末摘花・少将

惟光は荒れた邸に入り、ようやく人の気配のする所を見つけて案内を請う。応対した老女房は侍従の叔母の少将で、末摘花が昔と変わらず源氏を待ち続けていることを語る。惟光の報告を聞いた源氏は、自分の薄情さを思い知り、末摘花を訪ねることにする。惟光が蓬の露を鞭で払いながら源氏を導き、末摘花は叔母から贈られた装束に着替えて、すすけた几帳の陰で源氏を待つ。

月明かりの下、露にぬれた蓬の茂る庭を、源氏が惟光の案内で寝殿へ向かう場面(AI生成)
月明かりの下、露にぬれた蓬の茂る庭を、源氏が惟光の案内で寝殿へ向かう場面
  1. 1惟光これみつ惟光これみつこれみつ入い入いいりりりてててめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐる、、、人ひと人ひとひとののの音おと音おとおとするするする方かた方かたかたやややととと見み見みみるるるににに、、、いさゝかいさゝかいささか人ひと人ひとひとげげげもももせせせずずず。。。さればこそさればこそさればこそゆきゝゆきゝゆききののの道みち道みちみちににに見み見みみ入い入いいるれるれるれどどど人ひと人ひとひと住す住すすみみみげげげもももなきなきなきものものものをををととと思おも思おもおもひひいてててかへりかへりかえり參まゐ參まゐまいるるる程ほど程ほどほどににに、、、月つき月つきつきあかくあかくあかくさしさしさし出い出いいでででたるたるたるににに見み見みみれれればばば、、、格子かうし格子かうしこうしふたまふたまふたまばかりばかりばかりあげあげあげててて簾垂すだれ簾垂すだれすだれ動うご動うごうごくくく氣色けしき氣色けしきけしきなりなりなり。。。
  2. 2僅わづか僅わづかわずかににに見み見みみつけつけつけたるたるたる心地ここち心地ここちここち恐おそろ恐おそろおそろしくしくしくさへさへさへおぼゆれおぼゆれおぼゆれどどど寄よ寄よよりりりてててこわづくれこわづくれこわずくればばば、、、いといといと物もの物ものものふりふりふりたるたるたる聲こゑ聲こゑこえにてにてにてまづまづまずしはぶきしはぶきしわぶきをををさきさきさきににに立た立たたてゝてゝてて、、、「「「かれかれかれはははたれたれたれぞぞぞ何人なにびと何人なにびとなにびとぞぞぞ」」」ととと問と問ととふふう。。。名な名ななのりのりのりしししててて、、、「「「侍從じじゆう侍從じじゆうじじゅうののの君きみ君きみきみととと聞きこ聞きこきこえええししし人ひと人ひとひとにににたいめんたいめんたいめん給たまは給たまはたまわらららむむん」」」ととといふいふいう。。。
  3. 3「「「それそれそれははは外ほか外ほかほかににになむなむなん物もの物ものものししし給たま給たまたまふふう。。。されどされどされどおぼしおぼしおぼしわくわくわくまじきまじきまじき女をんな女をんなおんななむなむなん侍はべ侍はべはべるるる」」」ととといふいふいう聲こゑ聲こゑこえいたういたういとうねびねびねび過す過すすぎぎぎたれたれたれどどど、、、聞き聞きききききしししおいびとおいびとおいびとゝゝと聞き聞ききききき知し知ししりりりたりたりたり。。。
  4. 4內うち內うちうちにににははは思おも思おもおもひひい寄よ寄よよらららずずず狩衣かりぎぬ狩衣かりぎぬかりぎぬ姿すがた姿すがたすがたなるなるなる男をとこ男をとこおとこののの忍しの忍しのしのびやかびやかびやかにににもてなしもてなしもてなしてててなごやかなごやかなごやかなれなれなればばば、、、見み見みみならはならはならわずずずなりなりなりにににけるけるけるめめめにてにてにて、、、もしもしもし狐きつね狐きつねきつねなどなどなどのののへんげへんげへんげにににやややととと覺おぼ覺おぼおぼゆれゆれゆれどどど、、、近ちか近ちかちこうううよりよりよりててて「「「たしかたしかたしかににになむなむなん承うけたまは承うけたまはうけたまわらららまほしきまほしきまほしき。。。
  5. 5變かは變かはかわらららぬぬぬ御おん御おんおん有樣ありさま有樣ありさまありさまならならならばばば尋たづ尋たづたずねねね聞きこ聞きこきこえええさせさせさせ給たま給たまたまふふうべきべきべき御心こころ御心こころこころざしざしざしももも足た足たたらららずずずなむなむなんおはしますおはしますおわしますめるめるめるかしかしかし。。。こよひこよひこよいももも行ゆ行ゆゆききき過す過すすぎぎぎがてがてがてにににとまらとまらとまらせせせ給たま給たまたまへへえるるるをををいかゞいかゞいかが聞きこ聞きこきこえええさせさせさせむむん。。。後うしろ後うしろうしろやすくやすくやすくををを」」」ととといへいへいえばばば
  6. 6女をんな女をんなおんなどもどもどもうちうちうち笑わら笑わらわらひひいててて、、、「「「變かは變かはかわらららせせせ給たま給たまたまふふう御おん御おんおん有樣ありさま有樣ありさまありさまならならならばばばかゝるかゝるかかるあさぢあさぢあさじががが原はら原はらはらをををうつろひうつろひうつろい給たま給たまたまははわでででははは侍はべ侍はべはべりりりなななむむんややや、、、たゞたゞただ推お推おおししし量はか量はかはかりりりててて聞きこ聞きこきこえええさせさせさせ給たま給たまたまへへえかしかしかし。。。年とし年としとし經へ經へへたるたるたる人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころにににもももたぐひたぐひたぐいあらあらあらじじじとととのみのみのみ珍めづ珍めづめずらからからかなるなるなる世よ世よよをををこそこそこそははは見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり過す過すすぐしぐしぐし侍はべ侍はべはべれれれ」」」とととやゝやゝややくづしくづしくずし出い出いいでででゝゝて問と問ととはははずずず語がた語がたがたりりりもももしししつつつべきべきべきがががむつかしけれむつかしけれむつかしければばば、、、「「「よしよしよしよしよしよしまづまづまずかくかくかくなむなむなんととと聞きこ聞きこきこえええさせさせさせむむん」」」とととててて參まゐ參まゐまいりりりぬぬぬ。。。
  7. 7「「「などなどなどかかかいといといと久ひさ久ひさひさしかりしかりしかりつるつるつる。。。いかにいかにいかにぞぞぞ。。。昔むかし昔むかしむかしののの跡あと跡あとあとももも見み見みみえええぬぬぬ蓬よもぎ蓬よもぎよもぎのののしげさしげさしげさかなかなかな」」」とととのののたまへたまへたまえばばば、、、「「「しかじかしかじかしかじかなむなむなんたどりたどりたどりよりよりよりててて侍はべ侍はべはべりりりつるつるつる。。。侍從じじゆう侍從じじゆうじじゅうがががをばをばをばののの少將せうしやう少將せうしやうしょうしょうととといひいひいい侍はべ侍はべはべりりりしししおいおいおい人びと人びとびとなむなむなん、、、變かは變かはかわらららぬぬぬ聲こゑ聲こゑこえにてにてにて侍はべ侍はべはべりりりつるつるつる」」」とととありさまありさまありさま聞きこ聞きこきこゆゆゆ。。。
  8. 8いみじういみじういみじゅうあはれあはれあわれにににかゝるかゝるかかるしげきしげきしげき中なか中なかなかににに何なに何なになに心地ここち心地ここちここちしししてててすぐしすぐしすぐし給たま給たまたまふふうらむらむらん、、、今いま今いまいままでまでまでとはとはとはざりざりざりけるけるけるよよよととと我わ我わわががが御心みこころ御心みこころみこころのののなさけなさなさけなさなさけなさもももおぼしおぼしおぼし知し知ししらららるるる。。。「「「いかゞいかゞいかがすすすべきべきべき。。。かゝるかゝるかかるしのびありきしのびありきしのびありきももも難かた難かたかたかるかるかるべきべきべきををを、、、かゝるかゝるかかる序ついで序ついでついでならならならででではははえええ立た立たたちちち寄よ寄よよらららじじじ。。。變かは變かはかわらららぬぬぬありさまありさまありさまならならならばばばげにげにげにさささこそこそこそあらあらあらめめめととと推お推おおししし量はか量はかはからららるゝるゝるる人ひと人ひとひとざまざまざまににになむなむなん」」」とととはははのののたまひたまひたまいながらながらながら、、、ふとふとふと入い入いいりりり給たま給たまたまははわむむんことことこと猶なほ猶なほなおつゝましうつゝましうつつましゅうおぼさおぼさおぼさるるる。。。
  9. 9故ゆゑ故ゆゑゆえあるあるある御おん御おんおん消せう消せうしょうそこそこそこもももいといといと聞きこ聞きこきこえええまほしけれまほしけれまほしけれどどど、、、見み見みみ給たま給たまたまひひいししし程ほど程ほどほどののの口くち口くちくちおそさおそさおそさもももまだまだまだかはらかはらかわらずずずばばば御おん御おんおん使つかひ使つかひつかいののの立た立たたちちちわづらはわづらはわずらわむむんもももいとほしういとほしういとおしゅうおぼしおぼしおぼしとゞめとゞめとどめつつつ。。。
  10. 10惟光これみつ惟光これみつこれみつももも「「「更さら更さらさらにににえええ分わ分わわけけけさせさせさせ給たま給たまたまふふうまじきまじきまじき蓬よもぎ蓬よもぎよもぎののの露つゆ露つゆつゆけさけさけさににになむなむなん侍はべ侍はべはべるるる。。。露つゆ露つゆつゆ少すこ少すこすこししし拂はら拂はらはらははわせせせてててなむなむなん入い入いいらららせせせ給たま給たまたまふふうべきべきべき」」」ととと聞きこ聞きこきこゆれゆれゆればばば、、、「「「尋たづ尋たづたずねねねてててももも我わ我わわこそこそこそとはとはとはめめめ道みち道みちみちもももなくなくなく深ふか深ふかふかきききよもぎよもぎよもぎのののもともともとのののこゝろこゝろこころををを」」」とととひとりごちひとりごちひとりごちててて猶なほ猶なほなおおりおりおり給たま給たまたまへへえばばば御おん御おんおんさきさきさきののの露つゆ露つゆつゆををを馬むま馬むまうまののの鞭むち鞭むちむちしししててて拂はら拂はらはらひひいつゝつゝつつ入い入いいれれれ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるる。。。
  11. 11あまぞゝぎあまぞゝぎあまぞそぎももも猶なほ猶なほなお秋あき秋あきあきののの時雨しぐれ時雨しぐれしぐれめきめきめきてててうちうちうちそゝげそゝげそそげばばばみかさみかさみかささぶらふさぶらふさぶらう。。。「「「げにげにげにこのこのこの下露したつゆ下露したつゆしたつゆははは雨あめ雨あめあめにににまさりまさりまさりてててととと聞きこ聞きこきこゆゆゆ。。。御おん御おんおん指貫さしぬき指貫さしぬきさしぬきののの裾すそ裾すそすそはははいたういたういとうそぼちそぼちそぼちぬぬぬめりめりめり。。。昔むかし昔むかしむかしだにだにだにあるあるあるかかかなきなきなきかかかなりなりなりししし中門ちゆうもん中門ちゆうもんちゅうもんなどなどなどましてましてましてかたかたかたもももなくなくなくなりなりなりててて、、、入い入いいりりり給たま給たまたまふふうにににつけつけつけてててもももいといといとむとくむとくむとくなるなるなるををを立た立たたちちちまじりまじりまじり見み見みみるるる人ひと人ひとひとなきなきなきぞぞぞ心こころ心こころこころ安やす安やすやすかりかりかりけるけるける。。。
  12. 12姫君ひめぎみ姫君ひめぎみひめぎみはははさりともさりともさりともとととまちまちまちすぐしすぐしすぐし給たま給たまたまへへえるるる心こころ心こころこころもももしるくしるくしるく嬉うれ嬉うれうれしけれしけれしけれどどど、、、いといといと耻はづか耻はづかはずかしきしきしき御おん御おんおんありさまありさまありさまにてにてにてたいめんたいめんたいめんせせせむむんもももいといといとつゝましくつゝましくつつましくおぼしおぼしおぼしたりたりたり。。。
  13. 13大貳だいに大貳だいにだいにののの北きた北きたきたののの方かた方かたかたののの奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり置お置おおきききししし御おん御おんおんぞぞぞどもどもどもをををももも心こころ心こころこころゆかゆかゆかずずずととと思おぼ思おぼおぼささされれれしししゆかりゆかりゆかりににに見み見みみ入い入いいれれれ給たま給たまたまははわざりざりざりけるけるけるをををこのこのこの人々びと人々びとびとのののかうかうこうののの御おん御おんおんからびつからびつからびつににに入い入いいれれれたりたりたりけるけるけるがががいといといとなつかしきなつかしきなつかしきかかかしししたるたるたるををを奉たてまつ奉たてまつたてまつりりりけれけれければばば、、、いかゞいかゞいかがはははせせせむむんににに着き着ききかへかへかえ給たま給たまたまひひいててて、、、かのかのかの煤すす煤すすすすけけけたるたるたる御おん御おんおん几帳きちやう几帳きちやうきちょうひきひきひきよせよせよせててておはすおはすおわす。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

惟光は邸の中に入って、あちこちと回りながら、人の声のする方はないかと見るが、少しも人の気配がしない。思ったとおりだ、行き来の道で中を見ていたが、人の住んでいる様子もないものをと思って、帰参しようとするうちに、月が明るく差し出てきたので見ると、格子を二間ほど上げて、簾が動く様子である。やっと見つけた気がして、恐ろしくさえ思われるけれど、近寄って咳払いをすると、たいそう年寄りじみた声で、まず咳をしてから、「そこにいるのは誰です。何者ですか」と尋ねる。惟光は名乗って、「侍従の君と申し上げた人にお目にかかりたい」と言う。

「その人はよそにおります。けれども、侍従と同じようにお思いいただいてよい女がおります」と言う声は、ひどく年老いているけれど、聞き覚えのある老女房だと、惟光は聞き分けた。中では思いもよらず、狩衣姿の男がひそやかに振る舞って、物腰が柔らかなので、見慣れなくなってしまった目には、もしや狐などの化けたものではないかと思われるけれど、惟光は近寄って、「はっきりと伺いたいのです。姫君が昔と変わらぬご様子ならば、主人にはお訪ね申し上げなさるお気持ちもないわけではないようです。今夜も通り過ぎかねて車をお止めになったのですが、どう申し上げましょう。ご安心ください」と言うと、

女房たちは笑って、「お変わりになったご様子なら、こんな浅茅が原から移らずにいられましょうか。ただ推し量って申し上げてくださいませ。年老いた者の心にも、またとないと思われるほどの珍しいご境遇を、見申し上げて過ごしてまいりました」と、少しずつ話し出して、問わず語りもしそうなのが面倒なので、惟光は「よしよし、まずはこうだと申し上げましょう」と言って帰参した。

源氏は「どうしてこんなに長くかかったのか。どうであった。昔の跡も見えない蓬の茂りようだな」とおっしゃると、惟光は「これこれで、ようやくたどりつきました。侍従の叔母の少将と申しました老女房が、昔と変わらない声でおりました」と、様子を申し上げる。源氏はたいそうしみじみとして、こんな茂みの中でどんな気持ちで過ごしていらっしゃったのだろう、今まで訪ねなかったことよと、ご自分の薄情さを思い知りなさる。

「どうしたものか。こういうお忍び歩きも難しいだろうから、こういう機会でなければ立ち寄ることもできまい。昔と変わらぬ様子ならば、本当にそうだろうと推し量られる人柄なのだ」とはおっしゃりながら、すぐにお入りになることは、やはり気がひけるようにお思いになる。気の利いたお手紙もたいそう差し上げたいけれど、昔ご覧になった時の返事の遅さも変わっていないならば、使いが待ちあぐねるのも気の毒だとお思いとどまりになった。

惟光も、「まったくお分け入りになれそうもない蓬の露の深さでございます。露を少し払わせてからお入りになるべきでしょう」と申し上げると、源氏は「たとえ道もなく深い蓬の中であっても、私こそが訪ねていこう。昔と変わらぬあの人の心を」とひとり言をおっしゃって、やはり車をお降りになるので、惟光はお先の露を馬の鞭で払いながらお入れ申し上げる。

木々から落ちるしずくも、やはり秋の時雨のように降りかかるので、御傘を差しかける。惟光が「本当に、この木の下露は雨にまさって」と申し上げる。御指貫の裾はひどく濡れてしまったようだ。昔でさえあるかないかだった中門などは、まして跡形もなくなって、お入りになるにつけてもたいそう見苦しいのを、そばで見る人がいないのが気楽であった。

姫君は、いくら何でもと待ち続けていらっしゃった心のかいもあってうれしいけれど、たいそう恥ずかしいご様子で対面するのも、たいそう気がひけるとお思いになっている。大弐の北の方が差し上げておいたお召し物も、気に入らないとお思いになっていた縁の者からのものなので、見向きもなさらなかったのを、この女房たちが香の唐櫃に入れておいたのが、たいそう慕わしい香りがしているのを差し上げたので、仕方なくお着替えになって、あのすすけた御几帳を引き寄せていらっしゃる。

意訳

惟光は荒れた邸に入り、老女房の少将と対面して、末摘花が昔と変わらず源氏を待ち続けていることを知る。報告を聞いた源氏は、自分の薄情さを思い知り、末摘花を訪ねることにする。

源氏は、蓬の露を分けて訪ねる決意を歌に詠み、惟光が鞭で露を払いながら源氏を導く。末摘花は、叔母から贈られた装束に着替えて、すすけた几帳の陰で源氏を待つ。

語釈・文法注

この下露は雨にまさりて
「みさぶらひ御笠と申せ宮城野の木の下露は雨にまされり」(古今集・東歌)による。源氏に傘を差しかける惟光が、この歌をふまえて言う。

文法

「こそ…め」(我こそとはめ)
「私こそ訪ねていこう」。「こそ」の結びで、意志の「む」が已然形「め」となる。
推定の「めり」(そぼちぬめり)
「濡れてしまったようだ」。語り手の目に映る様子を推定する。

和歌

尋ねても我こそとはめ道もなく深きよもぎのもとのこゝろを

詠者
光源氏
状況
蓬の生い茂る邸に入ろうとして詠んだ歌。たとえ道もなく深い蓬の中であっても、私こそが訪ねていこう。昔と変わらぬあの人の心を。

修辞

掛詞
「もと」に「(蓬の)根もと」と「もとの(昔の)」をかける。

解説

蓬の露を分けて訪れる源氏の姿は、巻名「蓬生」の象徴的な場面である。惟光が東歌をふまえて傘を差しかけるやりとりは、深刻な場面に軽妙な味わいを添えている。

末摘花が叔母の贈った装束に着替えるのは、叔母への反発よりも、源氏を迎える喜びが勝ったことを示す。かつての末摘花の巻での滑稽な装束の描写と比べると、彼女の心の変化がうかがえる。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、314–317頁(コマ160–161)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日