新古今和歌集 巻第一 春歌上 34番
朝霞
朝霞がひときわ深く見えるのは、煙が立つという室の八島のあたりなのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕崇徳院に百首歌を献上しました時の歌。
朝霞がひときわ深く見えるのは、煙が立つという室の八島のあたりなのだろうか。
意訳
朝霞がとりわけ深く立ちこめている所がある。あれはきっと、煙が立つことで知られる室の八島のあたりなのだろう。歌枕の言い伝えと目の前の霞を重ね合わせる。
語釈・文法注
- 室の八島
- 下野国(栃木県)の歌枕。そこから立つ水気が煙のように見えるとされ、「煙」とともに詠まれた。
- 見ゆるや
- 「や」は疑問の係助詞で、「なるらむ」が結び。
和歌
- 作者
- 藤原清輔(ふじわらのきよすけ) 1104–1177
藤原顕輔の子。六条藤家の歌学を継ぎ、歌学書『袋草紙』『奥義抄』を著した。二条天皇の命で『続詞花和歌集』を撰んだが、天皇の死で勅撰集にならなかった。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・34番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「崇德院に百首の歌奉りける時」(崇徳院に百首歌を献上しました時の歌)。
解説
『久安百首』での作。作者の清輔は六条藤家の歌学者で、歌枕についての知識を生かしている。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、6〜7頁(コマ13)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日