紫式部日記 第13章
大晦日の引きはぎと正月の装い
大晦日の夜、追儺のあと中宮の御前で悲鳴があがる。駆けつけると、引きはぎに衣を奪われた女房が二人、裸で震えていた。男手は皆退出していて、作者は恥も忘れて人を呼ぶ。明けて寛弘六年の正月、戴餅の儀の給仕役の装束と、宰相の君・大納言の君・宣旨の君の姿を描く。
- 1とととぞぞぞひとりひとりひとりごたごたごたれれれししし。。。
- 2つごもりつごもりつごもりののの夜夜よ、、、はははいといといととくとくとくはてはてはてぬれぬれぬればばば、、、はぐろめはぐろめはぐろめつけつけつけなどなどなどはかなきはかなきはかなきつくろひつくろひつくろいどもどもどもすすすとてとてとてうちとけうちとけうちとけ居居いたるたるたるににに、、、辨辨べんののの內內ない侍侍しきききててて物物もの語語がたりしししててて臥臥ふししし給給たまへへえりりり。。。
- 3たくみたくみたくみのののくらくらくら人人うどはははなげしなげしなげしのののしもしもしもににに居居いててて、、、あてきあてきあてきがががぬふぬふぬうものものものゝゝのかさねかさねかさね、、、ひねりひねりひねり敎敎おしへへへなどなどなど、、、つくづくつくづくつくづくとととしししゐゐいたるたるたるににに、、、おおおまへまへまえののの方方かたにににいみじくいみじくいみじくのゝしるのゝしるののしる。。。
- 4內內ない侍侍しおこせおこせおこせどどどとみとみとみにににももも起起おきききずずず。。。人人ひとののの泣泣なきききさわぐさわぐさわぐ音音おとののの聞聞きこゆるゆるゆるににに、、、いといといとゆゝしくゆゝしくゆゆしくものものものももも覺覺おぼえええずずず。。。火火ひかかかととと思思おもへへえどどどさささにににはははあらあらあらずずず。。。
- 5たくみたくみたくみののの君君きみ、、、「「「いざいざいざいざいざいざ」」」とととさきさきさきにににおしおしおしたてたてたてゝゝて、、、「「「ともかうもともかうもともこうも宮宮みやしもしもしもにににおはしますおはしますおわします、、、まづまづまずまゐりまゐりまいりててて見見み奉奉たてまつらららむむん」」」ととと內內ない侍侍しををを荒荒あららからからかににに突突つきききおどろかしおどろかしおどろかしててて、、、
- 6三三さん人人にんふるふふるふふるふふるふふるうふるう足足あしももも空空そらにてにてにて參參まいりりりたれたれたればばば、、、はだかはだかはだかなるなるなる人人ひとぞぞぞ二二ふた人人りゐゐいたるたるたる。。。ゆげひゆげひゆげい、、、小小こ兵兵ひょう部部ぶなりなりなりけりけりけり。。。かくかくかくなりなりなりけりけりけりととと見見みるるるににに、、、いよいよいよいよいよいよむくつけしむくつけしむくつけし。。。
- 7みづしみづしみずし所所どころののの人人ひとももも皆皆みな出出いででで、、、宮宮みやのののさぶらひさぶらひさぶらいももも瀧瀧たき口口ぐちももも、、、なやらひなやらひなやらいはてはてはてけるけるけるまゝまゝままににに皆皆みなまかでまかでまかでゝゝてけりけりけり。。。手手てををを叩叩たたきききのゝしれのゝしれののしれどどど、、、いらへいらへいらえするするする人人ひともももなしなしなし。。。
- 8おものおものおものやどりやどりやどりのののとじとじとじををを呼呼よびびびいでいでいでたるたるたるににに、、、「「「殿殿てん上上じょうににに兵兵ひょう部部ぶ丞丞じょうととといふいふいう藏藏くら人人うどよべよべよべよべよべよべ」」」ととと耻耻はじもももわすれわすれわすれててて、、、口口くちづからづからづからいひいひいいたれたれたればばば、、、尋尋たずねねねけれけれけれどどどまかでまかでまかでにににけりけりけり。。。つらきつらきつらきことことことかぎりかぎりかぎりなしなしなし。。。
- 9式式しき部部ぶののの丞丞じょうすけなりすけなりすけなりぞぞぞ參參まいりりりててて、、、ところどころところどころところどころのののさしさしさし油油あぶらどもどもどもたゞたゞただ一一ひと人人りさしさしさしいれいれいれられられられてててありくありくありく。。。人人ひと々々びと物物ものおぼえおぼえおぼえずずずむかひむかひむかい居居いたるたるたるもももありありあり。。。
- 10上上うえよりよりより御御おおん使使つかいなどなどなどありありあり、、、いみじういみじういみじゅうおそろしうおそろしうおそろしゅうこそこそこそ侍侍はべりりりしかしかしか。。。をさめをさめおさめ殿殿どのにににあるあるある御御おおんぞぞぞとりとりとりいでいでいでさせさせさせてててこのこのこの人人ひと々々びとにににたまふたまふたまう。。。
- 11ついたちついたちついたちのののさうぞくさうぞくそうぞくはははとらとらとらざりざりざりけれけれければばばさりげさりげさりげもももなくなくなくてててあれあれあれどどど、、、はだかはだかはだかすがたすがたすがたははは忘忘わすららられれれずずず恐恐おそろしきろしきろしきものものものからからから、、、をかしうをかしうおかしゅうともともともいはいはいわずずず、、、こといみこといみこといみもももしししあへあへあえずずず。。。
- 12正正しょう月月がつ一日一日ついたちかんかんかんなりなりなりけれけれければばば、、、若若わか宮宮みやののの御御おおんいたゞきいたゞきいただきのののことことこと留留とどまりまりまりぬぬぬ。。。三日三日みかぞぞぞまうまうもうのぼらのぼらのぼらせせせ給給たまふふう。。。
- 13ことしことしことしののの御御おおんまかなひまかなひまかないははは大大だい納納な言言ごんののの君君きみ、、、さうぞくさうぞくそうぞく、、、ついたちついたちついたちののの日日ひははは紅紅くれない、、、えびえびえび染染ぞめ、、、からからからぎぬぎぬぎぬははは赤赤あか色色いろ、、、地地じ摺摺ずりののの裳裳も。。。
- 14二日二日ふつか紅紅こう梅梅ばいののの織織おり物物ものかいねりかいねりかいねりににに濃濃こききき靑靑あお色色いろのののからからからぎぬぎぬぎぬ、、、いろいろいろずりずりずりののの裳裳も。。。
- 15三日三日みかはははからからからあやあやあやののの櫻櫻さくらがさねがさねがさね、、、からからからぎぬぎぬぎぬははは蘇蘇す枋枋おうののの織織おり物物もの、、、搔搔かい練練ねりははは、、、濃濃こきききをををきるきるきる日日ひははは紅紅くれないはははなかなかなかににに、、、紅紅くれないをををきるきるきる日日ひははは濃濃こきききををを中中なかににになどなどなど、、、例例れいのののことことことなりなりなり。。。
- 16萠萠もえ黃黃ぎ、、、蘇蘇す枋枋おう、、、山山やま吹吹ぶきのののこきこきこきうすきうすきうすき、、、紅紅こう梅梅ばい、、、薄薄うす色色いろなどなどなど、、、常常つねのののいろいろいろいろいろいろををを一一ひとたびたびたびににに六六むつつつつばかりばかりばかりとととうはぎうはぎうわぎとととぞぞぞいといといとさまさまさまよきよきよき程程ほどにににさぶらふさぶらふさぶらう。。。
- 17宰宰さい相相しょうののの君君きみののの御御みはかしはかしはかしとりとりとりててて殿殿とののののいだきいだきいだき奉奉たてまつらららせせせ給給たまへへえるるるにににつゞきつゞきつづきてててまうまうもうのぼりのぼりのぼり給給たまふふう。。。
- 18紅紅くれないののの三三みへへえ五五いつへへえ三三みへへえ五五いつへへえとととまぜまぜまぜつゝつゝつつ、、、おなじおなじおなじ色色いろのののうちうちうちたるたるたる七七ななへへえににに、、、一一ひとへへえをををぬひぬひぬいかさねかさねかさねぬひぬひぬいかさねかさねかさねまぜまぜまぜつゝつゝつつ、、、うへうへうえににに同同おなじじじ色色いろのののかたもんかたもんかたもんののの五五いつへへえ、、、
- 19袿袿うちき、、、えびえびえび染染ぞめのののうきうきうきもんもんもんのののかたきかたきかたきののの紋紋もんををを織織おりりりたるたるたる、、、縫縫ぬひひいざまざまざまさへさへさへかどかどしかどかどしかどかどし。。。三三みへへえがさねがさねがさねののの裳裳も、、、あかあかあか色色いろのののからからからぎぬぎぬぎぬ、、、一一ひとへへえののの紋紋もんををを織織おりりりててて、、、しししざまざまざまもももいといといとからからからめいめいめいたりたりたり。。。
- 20いといといとをかしげをかしげおかしげににに髪髪かみなどなどなどももも常常つねよりよりよりつくろひつくろひつくろい、、、ましてましてまして、、、やうだいやうだいようだいもてなしもてなしもてなしらうらうしくらうらうしくろうろうしくをかしをかしおかし。。。たけだちたけだちたけだちよきよきよき程程ほどにににふくらかふくらかふくらかなるなるなるひとひとひとののの、、、顏顏かおいといといとこまかこまかこまかににににほひにほひにおいをかしげをかしげおかしげなりなりなり。。。
- 21大大だい納納な言言ごんののの君君きみははは、、、いといといとさゝやかさゝやかささやかにににちひさしちひさしちいさしととといふいふいうべきべきべきかたかたかたなるなるなる人人ひとののの、、、白白しろううううつくしげうつくしげうつくしげにににつぶつぶつぶつぶつぶつぶととと肥肥こえええたるたるたるががが、、、うはべうはべうわべはははいといといとそびやかそびやかそびやかににに、、、
- 22髪髪かみたけたけたけににに三三さん寸寸ずんばかりばかりばかりあまりあまりあまりたるたるたるすそすそすそつきつきつき、、、かんざしかんざしかんざしなどなどなどぞぞぞすべてすべてすべて似似にるるるものものものなくなくなくこまかこまかこまかにににうつくしきうつくしきうつくしき。。。顏顏かおもももいといといとらうらうしくらうらうしくろうろうしく、、、もてなしもてなしもてなしなどなどなどらうたげらうたげろうたげににになよびかなよびかなよびかなりなりなり。。。
- 23宣宣せん旨旨じのののははは、、、さゝやけさゝやけささやけ人人びとのののいといといとほそやかほそやかほそやかにににそびえそびえそびえててて、、、髮髮かみののの筋筋すじこまやかこまやかこまやかににに淸淸きよらららにてにてにて、、、おひおひおいさがりさがりさがりのののすゑすゑすえよりよりより、、、一一いつ尺尺しゃくばかりばかりばかりあまりあまりあまり給給たまへへえりりり。。。
- 24いといといと心心こころ恥恥はずかしげかしげかしげににに、、、きはきはきわもももなくなくなくあてあてあてなるなるなるさまさまさまししし給給たまへへえりりり。。。ものものものよりよりよりさしさしさし步步あゆみみみててて出出いでででおはしおはしおわしたるたるたるもももわづらはしうわづらはしうわずらわしゅう心心こころづかひづかひずかいせせせらるゝらるゝらるるこゝちこゝちここちすすす。。。あてあてあてなるなるなる人人ひとはははかうかうこうこそこそこそあらあらあらめめめととと、、、心心こころざまざまざまものものものうちうちうちのたまへのたまへのたまえるるるももも覺覺おぼゆゆゆ。。。
現代語訳
と、思わずひとりごとが口をついて出た。
大晦日の夜、追儺の儀はたいそう早く終わったので、お歯黒をつけるなどちょっとした身づくろいをしようとくつろいでいると、弁の内侍がやって来て話をして、横になっていらっしゃった。
内匠の蔵人は長押の下に座って、あてきが縫う衣の重ねや、ひねりの縫い方を教えたりして、熱心にしていたところに、中宮さまの御前の方でひどく大声がする。
(わたしは)内侍を起こすけれど、すぐには起きない。人が泣き騒ぐ声が聞こえるので、たいそう恐ろしくて何もわからない。火事かと思ったが、そうではない。
内匠の君を「さあさあ」と先に押し立てて、「ともかくも中宮さまは下の御座所にいらっしゃる。まず参上してお見舞い申し上げましょう」と、内侍を荒々しく突き起こして、
三人で震えながら足も地につかずに参上すると、裸の人が二人座っている。靫負と小兵部であった。こういうことだったのかと見ると、いよいよ気味が悪い。
御厨子所の人もみな退出し、中宮職の侍も滝口の武士も、追儺が終わるとすぐにみな退出してしまっていた。手を叩いて大声で呼ぶけれど、返事をする人もいない。
御膳宿りの刀自を呼び出して、「殿上の間に兵部丞という蔵人がいるはず。呼んで、呼んで」と、恥も忘れて自分の口で言ったところ、探したけれど退出してしまっていた。つらいことこのうえない。
式部丞の資業が参上して、あちこちの灯台の油を、ただ一人で差して回っている。女房たちの中には、呆然として向かい合って座っている者もある。
帝のもとからもお見舞いのお使いなどがあった。たいそう恐ろしゅうございました。納殿にある御衣を取り出させて、この(裸にされた)人々にお与えになる。
元日の装束は盗まれなかったので、何事もなかったようにしているが、裸の姿は忘れられず恐ろしいものの、おかしいとも言わない。縁起の悪い言葉を慎むこともできないほどだった。
正月一日は坎日だったので、若宮の戴餅の儀は取りやめになった。三日に(清涼殿へ)参上なさる。
今年の(戴餅の儀の)お給仕役は大納言の君で、装束は、元日は紅と葡萄染、唐衣は赤色、地摺の裳。
二日は紅梅の織物の掻練に、濃い青色の唐衣、色摺の裳。
三日は唐綾の桜襲、唐衣は蘇芳の織物で、掻練は、濃い色を着る日は紅を中に、紅を着る日は濃い色を中に着るなど、いつもの決まりどおりである。
萌黄、蘇芳、山吹の濃いのや薄いの、紅梅、薄色など、いつもの色々を一度に六つほどと表着とを重ねて、たいそう見た目のよいほどにお仕えしている。
宰相の君は御佩刀を持って、殿が若宮をお抱き申し上げなさっているあとに続いて参上なさる。
紅の三重と五重を交互に混ぜ、同じ色の打ち衣七重に、一重を縫い重ね縫い重ねして混ぜ、上に同じ色の固紋の五重を着て、
袿は葡萄染の浮紋の、かたきの紋を織ったもので、縫い方まで気がきいている。三重襲の裳、赤色の唐衣は一重の紋を織り出して、仕立て方もたいそう唐風である。
たいそう美しく髪などもいつもより整えて、ましてや姿や身のこなしも洗練されていて趣深い。背丈はほどよく、ふっくらとした人で、顔はたいそうこまやかで、つややかに美しい。
大納言の君は、たいそう小柄で、小さいと言ってよいほうの人で、色白でかわいらしく、ころころと太っているが、見た目はたいそうすらりとしていて、
髪は身の丈より三寸ほど長く、その裾のようすや髪の生えぎわなどは、すべて比べるものがないほどこまやかで美しい。顔もたいそう洗練されていて、身のこなしなどもかわいらしく、しなやかである。
宣旨の君は、小柄な人で、たいそうほっそりと背が高く、髪の筋はこまやかで美しく、髪の生え下がりの末から一尺ほど長くていらっしゃる。
たいそうこちらが気後れするほどで、この上なく上品なようすをしていらっしゃる。物陰から歩み出ていらっしゃるのも、気づまりで気をつかわせられる心地がする。高貴な人とはこうあるべきなのだろうと、その気立てや、ちょっとおっしゃる言葉にも思われる。
意訳
前章の「年くれて」の歌は、作者が思わず口にしたひとりごとだった。
大晦日の夜。追儺が早く終わり、作者たちはくつろいでいる。
女房たちはそれぞれ針仕事などをしていた。そこへ中宮の御前から大きな叫び声が聞こえる。
火事かと思ったが違う。作者は恐ろしさで何もわからなくなる。
作者は弁の内侍を荒っぽく起こし、とにかく中宮のもとへ駆けつけようとする。
御前には、衣をはぎ取られて裸にされた女房が二人いた。引きはぎ(追いはぎ)の仕業である。
追儺のあとで、警護の男たちはみな退出していた。呼んでも誰も来ない。
作者は恥も忘れて、自分の口で蔵人を呼んでくれと頼むが、すでに退出していた。ふだん人前に出るのを嫌う作者が、必死に動いている。
式部丞の資業がただ一人来て、灯台に油を差して回る。女房たちは呆然としている。
帝からも見舞いの使いが来る。中宮は裸にされた女房に衣を与えた。
元日の装束は無事だったが、裸の姿は忘れられない。作者はおかしいとも言わず、恐ろしさが勝っていた。
寛弘六年の元日は坎日(凶日)だったので、戴餅の儀は三日に延期された。
戴餅の儀の給仕役は大納言の君で、日ごとの装束を書きとめる。
二日の装束。
三日の装束と、重ねの決まり。
女房たちの衣の色の取り合わせ。
宰相の君は若宮の守り刀を持って従う。
宰相の君の装束。紅を何重にも重ねた豪華なもの。
袿や裳、唐衣の紋様。唐風の仕立てである。
宰相の君の姿の美しさ。
ここから、作者は親しい女房たちの容姿を描いてゆく。まず大納言の君。小柄でふっくらしている。
大納言の君は髪が美しく、身のこなしもかわいらしい。
宣旨の君は、ほっそりと背が高く、髪が長い。
宣旨の君の気品は、作者が気後れするほどだった。この女房評は、次の章の「消息文」へと続いてゆく。
語釈・文法注
- つゐな
- 追儺(ついな)。大晦日の夜に宮中で行う鬼やらいの儀式。
- かん日
- 坎日(かんにち)。陰陽道で万事に凶とされる日。
- 御いたゞきもちひ
- 戴餅(いただきもちい)。正月に幼児の頭に餅を戴かせ、祝いの言葉を唱えて前途を祝う儀式。
- 宣旨の君
- 中宮付きの上臈女房。源伊陟(これただ)の娘とされる。
文法
- 「宮しもにおはします」
- 底本のまま。中宮が下の御座所(局に近い方)にいらっしゃる、の意と解した。
- 「ゆげひ」
- 靫負(ゆげい)。女房の呼び名。
- 「なやらひはてけるまゝに」
- 「なやらひ」は追儺(なやらい)。追儺が終わるとすぐに。
- 「こといみもしあへず」
- 縁起の悪いことを口にしないようにする「言忌み」もできないほど、の意。
- 「さゝやけ人」
- 小柄な人。
解説
寛弘五年の大晦日の夜、宮中に引きはぎ(追いはぎ)が入り、女房二人が衣をはぎ取られた。警護の男たちが退出したあとの出来事で、作者は恥も忘れて人を呼び回る。後に、作者が人前に出るのを嫌う性格として繰り返し語られる姿とは対照的な、緊迫した場面である。
明けて寛弘六年(1009)の正月、若宮の戴餅の儀が行われる。作者は給仕役の女房たちの装束を日ごとに書き分ける。
章の後半から、宰相の君・大納言の君・宣旨の君と、同僚の女房たちの容姿や人柄の描写が始まる。この人物評は、次章以降の日付のない「消息文」へと連なってゆく。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(紫式部日記) 板倉屋書房、明治36年(1903)、399–401頁(コマ211–212)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日