古典ライブラリー

万葉集 巻第十三 3247番

渟名河の 底なる玉

作者未詳

渟名川の底にある玉を、探し求めて得た玉か、拾って得た玉か、そのように大切な君が老いていくのが惜しい、と詠む長歌。

渟名川の澄んだ川底に、美しい玉が光っている

題詞(雑歌)

  1. 1渟名ぬな渟名ぬなぬな河がは河がはがわののの底そこ底そこそこなるなるなる玉たま玉たまたま沼名河之 底奈流玉
  2. 2求もと求もともとめめめててて得え得ええししし玉たま玉たまたまかもかもかも求而 得之玉可毛
  3. 3拾ひり拾ひりひりひひいててて得え得ええししし玉たま玉たまたまかもかもかも拾而 得之玉可毛
  4. 4惜あたら惜あたらあたらしきしきしき君きみ君きみきみががが老お老おおゆらくゆらくゆらく惜を惜ををしもしもしも安多良思吉 君之 老落惜毛

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

渟名川の底にある玉。探し求めて手に入れた玉なのか、拾って手に入れた玉なのか。それほど惜しいあなたが、老いていくのが惜しいことだ。

意訳

天上の渟名川の底にある玉のように、苦労して手に入れた大切な人が老いていくのを惜しむ長歌である。

語釈・文法注

文法・本文

渟名河
「ぬなかは」。天上の川とされる。
拾ひて
「ひりひて」。拾って。
惜しき
「あたらしき」。惜しい、もったいないほどすぐれた。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十三・雑歌・3247番
歌体
長歌(五七をくり返し、五七七で結ぶ)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
雑歌。作者未詳。

修辞

対句
「求めて得し玉かも」と「拾ひて得し玉かも」。
比喩
愛する人を川底の玉にたとえる。

解説

渟名川の玉は、記紀神話の天の真名井や玉と結びつく神聖な玉で、愛する人の尊さを表している。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、503頁(コマ44)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、580頁(コマ54)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日