古典ライブラリー

万葉集 巻第十三 3245〜3246番

天橋も 長くもがも

作者未詳

天への梯子も長くあってほしい、高い山も高くあってほしい、月読の持つ若返りの水を取って来て君に奉り、若返らせたいのに、と詠む長歌と、月日のように思う君が日ごとに老いていくのが惜しいという反歌。

高い山の上で、月読の持つ若返りの水を汲もうとしている

題詞(雑歌)

  1. 1天あま天あまあま橋はし橋はしはしももも長なが長ながながくくくもももがががももも天橋文 長雲鴨長歌
  2. 2高たか高たかたか山やま山やまやまももも高たか高たかたかくくくもももがががももも高山文 高雲鴨
  3. 3月つく月つくつくよみよみよみののの持も持ももたたたるるる變若をち變若をちおち水みづ水みづみず月夜見乃 持有越水
  4. 4いいい取と取ととりりり來き來ききててて君きみ君きみきみににに奉まつ奉まつまつりりりててて變若をち變若をちおち得え得ええしむしむしむものものもの伊取來而 公奉而 越得之牟物
  5. 5天あめ天あめあめなるなるなるややや天有哉反歌
  6. 6月つき月つきつき日ひ日ひひののの如ごと如ごとごとくくく月日如
  7. 7吾わ吾わわががが思も思ももへへへるるる吾思有
  8. 8公きみ公きみきみががが日ひ日ひひにににけけけににに公之日異
  9. 9老お老おおゆらくゆらくゆらく惜を惜ををしもしもしも老落惜毛

引用の仕方

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現代語訳

〔3245〕天に昇る梯子も長くあってほしい。高い山も高くあってほしい。月読の神が持っている若返りの水を取って来て、あなたに差し上げて、若返らせたいものを。

〔3246〕天にある月や日のように私が大切に思っているあなたが、日ごとに老いていくのが惜しいことだ。

意訳

天まで届く梯子や高い山があれば、月読の神が持つ若返りの水を取って来て愛する人を若返らせたいと願う長歌である。反歌では、月日のように大切な人が日ごとに老いていくのを惜しむ。月に若返りの水があるという古代の信仰を伝える。

語釈・文法注

文法・本文

天橋
「あまはし」。天へ昇る梯子。
もがも
〜であってほしい。
月よみ
「つくよみ」。月の神。
變若水
「をちみづ」。若返りの水。
變若得しむ
「をちえしむ」。若返らせる。
日にけに
日ごとに。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第十三・雑歌・3245〜3246番
歌体
長歌(五七をくり返し、五七七で結ぶ)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
雑歌。作者未詳。

修辞

対句
「天橋も長くもがも」と「高山も高くもがも」。
比喩
3246番は愛する人を月日にたとえる。

解説

月の神が若返りの水を持つという信仰は、不老不死の水を求める古代の思想を伝え、竹取物語の不死の薬の話とも通じる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、502頁(コマ44)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、579頁(コマ53)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日