万葉集 巻第十一 2812〜2813番
吾妹子に 戀ひて術なみ
妹を恋うてどうしようもなく袖を折り返して寝たのは、夢に見えたか、と問う。背子が袖を折り返した夜の夢らしい、本当に君に逢ったようだった、と答える。問答の歌。
場面イラスト(準備中)
題詞(問答)
現代語訳
〔2812〕いとしい人を恋しく思ってどうしようもなく、白妙の袖を折り返して寝たのは、夢に見えたか。
〔2813〕あなたが袖を折り返して寝た夜の夢であったらしい。本当にあなたに逢ったようだった。
意訳
問答の歌である。袖を折り返して寝ると恋人の夢に現れるという俗信をふまえ、男が自分は夢に見えたかと問い、女が、本当に逢ったような夢を見たのはその夜だったらしいと答える。
語釈・文法注
文法・本文
- 術なみ
- 「すべなみ」。どうしようもなく。
- 袖反し
- 袖を折り返して寝ると、恋人の夢に現れるという俗信。
- 夢ならし
- 夢であったらしい。
和歌
- 作者
- 作者未詳
- 出典
- 『万葉集』巻第十一・相聞・2812〜2813番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 作者未詳(時代を問わない)
- 状況
- 問答。作者未詳。
修辞
- 俗信
- 袖を折り返して寝ることを、恋人の夢に現れるまじないとする。
- 問答
- 男の問いに女が同じ言葉を受けて答える。
解説
夢で逢えるかどうかを確かめ合う、恋人同士の親密なやりとりである。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、458頁(コマ22)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、528頁(コマ28)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日