古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1451番

水鳥の 鴨の羽の色の

笠女郎(かさのいらつめ)

鴨の羽の色のような春の山がぼんやりとかすむように、あなたのことが心もとなく思われる。笠女郎が大伴家持に贈った歌。

青くかすむ春の山並みを、女性が不安げな面持ちで眺めている

題詞笠女郎、大伴家持に贈れる歌一首

  1. 1水みづ水みづみず鳥どり鳥どりどりののの水鳥之
  2. 2鴨かも鴨かもかもののの羽は羽ははののの色いろ色いろいろののの鴨乃羽色乃
  3. 3春はる春はるはる山やま山やまやまののの春山乃
  4. 4おぼつかなくおぼつかなくおぼつかなくももも於保束無毛
  5. 5念おも念おもおもほほおゆるゆるゆるかもかもかも所念可聞

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

(水鳥の)鴨の羽の色のような春山がぼんやりとかすんでいるように、あなたのことが心もとなく思われることだ。

意訳

青緑にかすむ春の山のように、相手の心がぼんやりとして頼りなく思われると、家持の気持ちをはかりかねる不安を歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

鴨の羽の色
鴨の羽のような青緑色。
おぼつかなく
ぼんやりとして、心もとなく。

和歌

作者
笠女郎(生没年未詳)
大伴家持に多くの恋の歌を贈った女性歌人。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1451番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
笠女郎が大伴家持に贈った歌。

修辞

序詞
「水鳥の鴨の羽の色の春山の」が「おぼつかなく」を導く。

解説

春山の色を鴨の羽にたとえた、色彩感豊かな歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、307頁(コマ157)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、344頁(コマ178)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日