古典ライブラリー

万葉集 巻第七 1068番

天の海に 雲の波立ち

作者未詳

天の海に雲の波が立ち、月の船が星の林の中へ漕ぎ隠れていくのが見える。夜空を海に見立てた、柿本人麻呂歌集の歌。巻第七の巻頭歌。

夜空いっぱいに雲が波のように流れ、三日月が船のように星々の間へ隠れていく

題詞天を詠める

  1. 1天あめ天あめあめののの海うみ海うみうみににに天海丹
  2. 2雲くも雲くもくもののの波なみ波なみなみ立た立たたちちち雲之波立
  3. 3月つき月つきつきののの船ふね船ふねふね月船
  4. 4星ほし星ほしほしののの林はやし林はやしはやしににに星之林丹
  5. 5榜こ榜ここぎぎぎ隱かく隱かくかくるるる見み見みみゆゆゆ榜隱所見

引用の仕方

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現代語訳

天の海に雲の波が立ち、月の船が星の林に漕ぎ隠れていくのが見える。

意訳

夜空を大海に、雲を波に、月を船に、星の群れを林に見立てている。雲間に月が隠れていく夜空の景色を、壮大な海の景に描きかえた、想像力豊かな歌である。

語釈・文法注

文法・本文

榜ぎ隱る見ゆ
終止形+「見ゆ」。漕ぎ隠れるのが見える。

和歌

作者
作者未詳
出典
『万葉集』巻第七・雑歌・1068番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
巻第七の雑歌の初め、「天を詠める」歌。柿本人麻呂歌集に出る。

修辞

見立て
天を海に、雲を波に、月を船に、星を林に見立てる。

解説

漢詩の「月船」「星林」などの表現に学んだとみられ、人麻呂歌集の中でも特に知られた歌である。巻第七は、天・月・雲・雨・山・河など、詠む対象ごとに歌を分類している。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、259頁(コマ133)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、283頁(コマ147)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日