古典ライブラリー

万葉集 巻第四 693番

斯くのみに

大伴千室(おおとものちむろ)

こんなにも恋い続けていくのだろうか。秋津野にたなびく雲のように、過ぎ去ることもなく。大伴千室の歌。

吉野の秋津野の上に雲が低くたなびき、動かずにいる

題詞大伴宿禰千室の歌一首(いまだ詳ならず)

  1. 1斯か斯かかくくくのみのみのみににに如此耳
  2. 2戀こ戀ここひひいやややわたらわたらわたらむむん戀哉將度
  3. 3秋津あきつ秋津あきつあきつ野ぬ野ぬぬににに秋津野爾
  4. 4たなびくたなびくたなびく雲くも雲くもくもののの多奈引雲能
  5. 5過す過すすぐぐぐとととははは無な無ななしししににに過跡者無二

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

こうしてばかり恋い続けていくのだろうか。秋津野にたなびく雲のように、過ぎ去ることもなく。

意訳

秋津野にたなびく雲がいつまでも動かないように、恋の思いも過ぎ去ることなく続いていくのだろうかと嘆く歌である。

語釈・文法注

文法・本文

過ぐとは無しに
過ぎ去るということもなく。

和歌

作者
大伴千室(生没年未詳)
伝未詳。題詞の注に「いまだ詳ならず」とある。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・693番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴千室の歌。

修辞

序詞
「秋津野にたなびく雲の」が「過ぐ」を導く。

解説

秋津野は吉野の宮滝のあたりの野。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、175頁(コマ91)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、184頁(コマ98)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日