古典ライブラリー

万葉集 巻第四 690番

照らす日を

大伴三依(おおとものみより)

照っている日も闇のように見えて、泣く涙で衣をぬらしてしまった。干してくれる人もいなくて。別れを悲しむ大伴三依の歌。

明るい日の照る野道で、旅の男が袖で顔をおおって泣いている

題詞大伴宿禰三依、別を悲しめる歌一首

  1. 1照て照ててらすらすらす日ひ日ひひををを照日乎
  2. 2闇やみ闇やみやみににに見み見みみなしなしなしててて闇爾見成而
  3. 3哭な哭ななくくく涙なみだ涙なみだなみだ哭淚
  4. 4衣ころも衣ころもころもぬらしぬらしぬらしつつつ衣沾津
  5. 5干ほ干ほほすすす人ひと人ひとひと無な無ななしししににに干人無二

引用の仕方

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現代語訳

照っている日を闇のように見なして、泣く涙で衣をぬらしてしまった。干してくれる人もいないのに。

意訳

別れの悲しみのあまり、照る日さえ闇のように思われ、涙で衣がぬれてしまった。旅先では、ぬれた衣を干してくれる妻もいないと嘆いている。

語釈・文法注

文法・本文

闇に見なして
闇のように見なして。

和歌

作者
大伴三依(?–774)
大伴御行の子。大宰府に赴任したことがある。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・690番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴三依が別れを悲しんで詠んだ歌。

解説

「干す人無しに」は旅の歌によく見られる表現で、衣の世話をしてくれる妻と離れた心細さを表す。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、172頁(コマ90)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、183頁(コマ97)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日