古典ライブラリー

万葉集 巻第四 665番

向ひ坐て

安倍虫麻呂(あべのむしまろ)

向かい合って座って見ても見飽きない妻のもとから、立ち去っていく手だてもわからない。安倍虫麻呂の歌。

向かい合って座る男女。男が立ち上がりかけて、名残惜しそうに女性を見つめている

題詞安倍朝臣蟲麻呂の歌一首

  1. 1向むか向むかむかひひい坐ゐ坐ゐいててて向座而
  2. 2見み見みみれれれどもどもども飽あ飽ああかかかぬぬぬ雖見不飽
  3. 3吾わぎ吾わぎわぎ妹も妹もも子こ子ここににに吾妹子二
  4. 4立た立たたちちち離はな離はなはなれれれ行ゆ行ゆゆかかかむむん立離徃六
  5. 5たづきたづきたずき知し知ししらららずずずももも田付不知毛

引用の仕方

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現代語訳

向かい合って座って見ても見飽きない妻のもとから、立ち離れて行く手だてもわからないことだ。

意訳

いくら見ても見飽きない人のもとから、どうやって立ち去ればよいのかわからないと、別れがたい気持ちを歌う。

語釈・文法注

文法・本文

たづき
手段、方法。

和歌

作者
安倍虫麻呂(?–752)
奈良時代の官人。母の安曇外命婦は坂上郎女の母と姉妹で、郎女とは従兄妹にあたる。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・665番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
安倍虫麻呂の歌。次の666・667番の坂上郎女の歌と問答の形になっている。

解説

左注(667番)によれば、虫麻呂と坂上郎女は母どうしが姉妹で、親しく行き来していたので、戯れに恋の歌を交わしたという。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、170頁(コマ89)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、180頁(コマ96)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日