古典ライブラリー

万葉集 巻第四 663番

佐保渡り

安都年足(あとのとしたり)

佐保川を渡って、わが家の屋根の上で鳴く鳥の声のように、なつかしく、いとしい妻よ。安都年足の歌。

屋敷の屋根の上で小鳥がさえずり、縁側の男が家の中の妻を振り返っている

題詞安都宿禰年足の歌一首

  1. 1佐保さほ佐保さほさほ渡わた渡わたわたりりり佐穗度
  2. 2吾わぎ吾わぎわぎ家へ家へへののの上うへ上うへうえににに吾家之上二
  3. 3鳴な鳴ななくくく鳥とり鳥とりとりののの鳴鳥之
  4. 4聲こゑ聲こゑこえなつかしきなつかしきなつかしき音夏可思吉
  5. 5愛は愛ははしきしきしき妻つま妻つまつまののの兒こ兒ここ愛妻之兒

引用の仕方

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現代語訳

佐保川を渡って来て、わが家の屋根の上で鳴く鳥の声のように、心ひかれる、いとしい妻よ。

意訳

佐保川を越えて飛んできて、家の屋根で鳴く鳥の声はなつかしい。その声のように心ひかれる妻を、いとおしく思う歌である。

語釈・文法注

文法・本文

妻の兒
「兒」は親しみをこめた呼び方。

和歌

作者
安都年足(生没年未詳)
伝未詳。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・663番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
安都年足の歌。

修辞

序詞
「佐保渡り吾家の上に鳴く鳥の」が「聲なつかしき」を導く。

解説

原文の「夏可思吉」は「なつかしき」の当て字である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、169頁(コマ88)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、180頁(コマ96)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日