古典ライブラリー

万葉集 巻第四 618番

さ夜中に

大神女郎(おおみわのいらつめ)

真夜中に友を呼ぶ千鳥が、物思いに沈んでいる時に、むやみに鳴いている。大伴家持に贈った大神女郎の歌。

真夜中の川辺で千鳥が鳴き交わし、屋敷の女性が眠れずにそれを聞いている

題詞大神女郎、大伴宿禰家持に贈れる歌一首

  1. 1さささ夜よ夜よよ中なか中なかなかににに狹夜中爾
  2. 2友とも友ともとも喚よ喚よよぶぶぶ千ち千ちち鳥どり鳥どりどり友喚千鳥
  3. 3ものものもの念おも念おもおもふふうととと物念跡
  4. 4侘わ侘わわびびび居を居をおるるる時とき時ときときににに和備居時二
  5. 5鳴な鳴ななきききつつつつつつもとなもとなもとな鳴乍本名

引用の仕方

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現代語訳

真夜中に友を呼んで鳴く千鳥よ。物思いに沈んでつらく思っている時に、むやみに鳴き続けて。

意訳

真夜中、友を呼ぶ千鳥の声が聞こえる。恋の物思いに沈んで眠れずにいる時に、その声がいっそう心にしみて、むやみに鳴かないでくれと思う。千鳥が仲間を呼ぶ声に、恋しい人を求める自分の心を重ねている。

語釈・文法注

文法・本文

侘び居る
思い悩んで、つらく思っている。
もとな
むやみに。

和歌

作者
大神女郎(生没年未詳)
伝未詳。大伴家持に歌を贈った女性。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・618番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大神女郎が大伴家持に贈った歌。

解説

結句を「もとな」で言いさした余情のある歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、164頁(コマ86)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、173頁(コマ92)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日