古典ライブラリー

万葉集 巻第四 518番

春日野の 山邊の道を

石川郎女(いしかわのいらつめ)

春日野の山辺の道を、恐れることもなく通ってきたあなたが、このごろは姿を見せないことよ。訪れの絶えた恋人を思う石川郎女の歌。

春日野の山辺の道を、女性が誰も来ない道の先を見つめて立っている

題詞石川郎女の歌一首

  1. 1春日かすが春日かすがかすが野ぬ野ぬぬののの春日野之
  2. 2山やま山やまやま邊べ邊べべののの道みち道みちみちををを山邊道乎
  3. 3恐おそり恐おそりおそりなくなくなく於曾理無
  4. 4通かよ通かよかよひひいししし君きみ君きみきみががが通之君我
  5. 5見み見みみえええぬぬぬ頃ころ頃ころころかもかもかも不所見許呂香裳

引用の仕方

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現代語訳

春日野の山辺の道を、恐れもせずに通ってきたあなたが、見えないこのごろであることよ。

意訳

かつては、夜の山道も恐れずに通ってきてくれた恋人が、このごろはさっぱり姿を見せない。心変わりを恐れる女心を歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

恐なく
恐れることもなく。

和歌

作者
石川郎女(生没年未詳)
大伴安麻呂の妻で、坂上郎女の母の石川内命婦とする説がある。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・518番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
石川郎女の歌。

解説

517番の大伴安麻呂の歌と並べられていることから、安麻呂に贈った歌とみる説がある。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、151頁(コマ79)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、158頁(コマ85)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日