古典ライブラリー

万葉集 巻第四 517番

神樹にも

大伴安麻呂(おおとものやすまろ)

神の宿る木にさえ手を触れるというのに、ただ人妻だというだけで、手を触れてはならないのだろうか。大伴安麻呂の歌。

神社の注連縄を張った大木のそばで、男が向こうにいる女性を見つめている

題詞大納言兼大將軍大伴卿の歌一首

  1. 1神かむ神かむかむ樹き樹ききにににももも神樹爾毛
  2. 2手て手ててははは觸ふ觸ふふるるるとととふふふををを手者觸云乎
  3. 3うつたへうつたへうつたえににに打細丹
  4. 4人ひと人ひとひと妻づま妻づまづまととといへいへいえばばば人妻跡云者
  5. 5觸ふ觸ふふれれれぬぬぬものものものかもかもかも不觸物可聞

引用の仕方

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現代語訳

神の宿る木にさえ手を触れるというのに、ひたすらに人妻だというだけで、手を触れてはならないものだろうか。

意訳

神聖な木にさえ人は手を触れることがあるのに、人妻だというだけで決して触れてはいけないのかと、禁じられた恋への思いを歌う。大胆な内容だが、宴などで詠まれた戯れの歌ともみられる。

語釈・文法注

文法・本文

觸るとふを
「とふ」は「といふ」の約。触れるというのに。
うつたへに
ひたすらに、もっぱら。

和歌

作者
大伴安麻呂(?–714)
大伴旅人・坂上郎女の父。大納言兼大将軍を務めた。底本の頭注に「大伴卿は安麻呂」とある。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・517番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
大納言兼大将軍の大伴卿(安麻呂)の歌。

解説

安麻呂は旅人や坂上郎女の父で、大伴氏の中心人物であった。次の518番の石川郎女は、安麻呂の妻の石川内命婦とする説がある。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、151頁(コマ79)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、158頁(コマ85)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日