枕草子 第313段 日記的章段
ある所に中の君とかや
ある所の中の君という女性のもとに、風流な男が九月ごろに訪ね、有明の月の美しい夜に別れを惜しむ言葉を尽くして帰った。女が見送るのを、男は帰ったと見せかけて物陰から見ていると、女が「有明の月のありつつも」と口ずさむ。月の光に照らされて、男はそっと立ち去ったと語ったという。
場面イラスト(準備中)
- 1あるあるある所所ところににに中中なかののの君君きみとととかやかやかやいひいひいいけるけるける人人ひとののの許許もとににに、、、君達君達きんだちにににはははあらあらあらねねねどもどもどもそのそのその心心こころいたくいたくいたくすきすきすきたるたるたる者者ものにににいはいはいわれれれ、、、心心こころばせばせばせなどなどなどあるあるある人人ひとのののながつきながつきながつきばかりばかりばかりにににいきいきいきててて、、、「「「有明有明ありあけののの月月つきのののいみじういみじういみじゅう照照てりりりててておもしろきおもしろきおもしろきににに、、、名殘名殘なごり思思おもひひい出出いでででられられられむむん」」」ととと言言ことののの葉葉はををを盡盡つくしししててていへいへいえるるるににに、、、今今いまはははいぬいぬいぬらむらむらんととと遠遠とおくくく見見み送送おくるるるほどほどほどににに、、、えええももも言言いははわずずず艶艶えんなるなるなる程程ほどなりなりなり。。。出出いづるづるずるやうやうようににに見見みせせせててて立立たちちち歸歸かえりりり、、、立蔀立蔀たてじとみあいあいあいたるたるたる陰陰かげのののかたかたかたににに添添そひひい立立たちちちててて、、、猶猶なおゆきゆきゆきやらやらやらぬぬぬさまさまさまもももいひいひいい知知しらららせせせむむんととと思思おもふふうににに「「「有明有明ありあけののの月月つきのののありありありつゝつゝつつももも」」」とととうちうちうちいひいひいいててて、、、さしさしさしのぞきのぞきのぞきたるたるたる髪髪かみののの頭頭かしらにににももも寄寄よりりりこここずずず、、、五寸五寸ごすんばかりばかりばかりさがりさがりさがりててて火火ひともしともしともしたるたるたるやうやうようなるなるなる月月つきののの光光ひかり、、、催催もよおささされれれててて驚驚おどろかかかさるゝさるゝさるる心心ここちちちしししけれけれければばば、、、やをらやをらやおら立立たちちち出出いでででにににけりけりけりとととこそこそこそかたりかたりかたりしかしかしか。。。
現代語訳
ある所に、中の君とかいう人のもとに、貴公子ではないけれど、たいそう風流な心の持ち主と人に言われ、気立てなどもよい人が、九月ごろに訪ねて行って、「有明の月がたいそう照って趣深いので、名残が思い出されるでしょう」と言葉を尽くして言ったのに、女は、今はもう帰ってしまっただろうと遠く見送っている、その様子は何とも言えず優美である。男は出て行くように見せて引き返し、立蔀の開いている物陰に寄り添って立って、やはり立ち去りがたい様子も知らせようと思っていると、女が「有明の月のありつつも」と口ずさんで、のぞき出した髪の頭にも届かず、五寸ほど下がったところに、灯火をともしたような月の光が差していて、その美しさにうながされて、はっとするような気持ちがしたので、そっと立ち去ってしまったと、その男が語った。
意訳
風流な男が語った、ある女性との別れの一夜の話である。帰ったふりをして物陰から見ていると、女が古歌を口ずさみながら月を見ている。灯火のような月の光に照らされた女の姿の美しさに、男は声をかけることもできず、そっと立ち去った。言葉を交わさないことで余韻を残す、平安時代の恋の美学がよく表れた小品である。
語釈・文法注
文法
- 「有明の月のありつゝも」
- 古歌「長月の有明の月のありつつも君し来まさば我恋ひめやも」(『拾遺和歌集』など)の一節。
- 「立蔀」
- 目隠しのための衝立。
- 「やをら」
- そっと、静かに。
解説
物語のような美しい恋の一場面を伝える段である。話をした男の名は明かされていない。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、363–364頁(コマ193–194)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日