枕草子 第305段 随想的章段
夏薄物
夏の薄物を片方の裄丈だけ長く着ている人は憎らしい。たくさん重ね着すると引っぱられて着にくい。綿の厚いものも胸がはだけて見苦しい。昔からの着方がよく、左右の裄丈がそろっているのがよい。器量のよい貴公子が弾正台の官人であるのはひどく見苦しいとも述べる。
場面イラスト(準備中)
- 1夏夏なつうすものうすものうすもの片片かたつつつ方方かたのののゆだけゆだけゆだけきたるきたるきたる人人ひとこそこそこそにくけれにくけれにくけれどどど、、、數多數多あまた重重かさねねね着着きたれたれたればばばひかひかひかれれれててて著著きにくしにくしにくし。。。綿綿わたなどなどなど厚厚あつきききははは胸胸むねなどなどなどもももきれきれきれててていといといと見見みぐるしぐるしぐるし。。。まぜまぜまぜててて着着きるるるべきべきべき物物ものにににはははあらあらあらずずず。。。猶猶なお昔昔むかしよりよりよりさまさまさまよくよくよく着着きたるたるたるこそこそこそよけれよけれよけれ。。。左右左右そうのののゆだけゆだけゆだけなるなるなるはははよしよしよし。。。それそれそれももも猶猶なお女房女房にょうぼうのののさうさうそう束束ぞくにてにてにてははは所所ところせかせかせかめりめりめり。。。男男おとこののの數多數多あまたかさぬるかさぬるかさぬるももも片片かた袴袴ばかま重重おもくくくぞぞぞあらあらあらむむんかしかしかし。。。清清きよらららなるなるなるさうさうそう束束ぞくののの織物織物おりものうすものうすものうすものなどなどなど今今いまははは皆皆みなさささこそこそこそあああめれめれめれ。。。今今いまやうやうようににに又又またさまさまさまよきよきよき人人ひとののの着着き給給たまははわむむんいといといとびんなきびんなきびんなきものものものぞぞぞかしかしかし。。。かたちかたちかたちよきよきよき君達君達きんだちののの彈正彈正だんじょうにてにてにておはするおはするおわするいといといと見見みぐるしぐるしぐるし。。。宮宮みやののの中將中將ちゅうじょうなどなどなどのののくちをしかりくちをしかりくちおしかりしかしかしかななな。。。
現代語訳
夏の薄物で、片方の裄丈が長いのを着ている人は憎らしいけれど、たくさん重ねて着ていると、引っぱられて着にくい。綿などの厚いのは、胸などもはだけてたいそう見苦しい。混ぜて着るべきものではない。やはり昔から体裁よく着ているのこそよい。左右の裄丈がそろっているのはよい。それもやはり女房の装束としては窮屈なようだ。男がたくさん重ねて着るのも、片袴が重いことだろう。清らかな装束の織物や薄物なども、今はみなそういうふうであるようだ。今風に、また体裁のよい人がお召しになるのは、たいそう不都合なものだよ。器量のよい貴公子が弾正台の官人でいらっしゃるのは、たいそう見苦しい。宮の中将などが弾正であったのは残念だった。
意訳
着こなしについての細かな注文である。裄丈が左右で違う着方や、厚いものと薄いものを混ぜる着方を嫌い、昔ながらのきちんとした着方を好む。後半では、見目よい貴公子が地味な弾正台の官職にあるのはもったいないと述べている。
語釈・文法注
文法
- 「ゆだけ」
- 裄丈。着物の背中心から袖口までの長さ。
- 「彈正」
- 弾正台。役人の不正を取り締まる役所。地味な官職とされた。
- 「宮の中將」
- 源頼定とされる。弾正大弼を務めた。
解説
衣装の着こなしへの作者のこだわりが表れた段である。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、360–361頁(コマ192)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日