枕草子 第277段 随想的章段
方違へなどして
方違えなどをして夜更けに帰ったとき、凍えそうな寒さの中で火桶を引き寄せ、細かな灰の中から黒ずみのない火をおこし出すのはうれしい。話に夢中のうちに、他の人が炭を入れて火をおこしてしまうのは憎らしく、炭を山のように積み上げてその上に火を置くのは見苦しいという。
場面イラスト(準備中)
- 1方違方違かたたがえなどなどなどしししててて夜夜よふかくふかくふかくかへるかへるかえる、、、寒寒さむきききことことこといといといとわりなくわりなくわりなく、、、頤頤おとがいなどなどなどももも皆皆みなおちおちおちぬぬぬべきべきべきををを、、、辛辛からうじてうじてうじてきききつきつきつきててて火桶火桶ひおけ引引ひききき寄寄よせせせたるたるたるににに、、、火火ひののの多多おおきききにてにてにてつゆつゆつゆ黑黑くろみみみたるたるたる所所ところなくなくなくめでたきめでたきめでたきををを、、、こまかこまかこまかなるなるなる灰灰はいののの中中なかよりよりよりおこしおこしおこし出出いでででたるたるたるこそこそこそいみじういみじういみじゅう嬉嬉うれしけれしけれしけれ。。。物物ものなどなどなどいひいひいいててて火火ひののの消消きゆゆゆらむらむらんももも知知しらららずずず居居いたるたるたるににに、、、ことことこと人人びとののの來來きててて炭炭すみ入入いれれれててておこすおこすおこすこそこそこそいといといとにくけれにくけれにくけれ。。。されどされどされどめぐりめぐりめぐりににに置置おきききててて中中なかににに火火ひをををあらせあらせあらせたるたるたるはははよしよしよし。。。皆皆みな火火ひををを外外ほかざまざまざまににに搔搔かききき造造やりりりててて炭炭すみををを重重かさねねね置置おきききたるたるたるいたゞきいたゞきいただきににに、、、火火ひどもどもども置置おきききたるたるたるがががいといといとむづかしむづかしむずかし。。。
現代語訳
方違えなどをして、夜更けに帰ってくるのは、寒いことがたいそうひどく、あごなども落ちてしまいそうなのを、やっとのことで帰り着いて火桶を引き寄せたところ、火がたくさんあって、少しも黒ずんだ所がなくすばらしいのを、細かな灰の中からおこし出したのは、たいそううれしい。話などをして、火が消えそうなのも気づかずに座っているところへ、ほかの人が来て炭を入れておこすのは、たいそう憎らしい。けれども、周りに炭を置いて、真ん中に火をあらせておくのはよい。火をみな外側にかき寄せて、炭を重ね置いたてっぺんに火を置いたのは、たいそう見苦しい。
意訳
寒い冬の夜の火桶をめぐる小さな喜びと不満である。凍えて帰り着き、灰の中から真っ赤な火を掘り出したときのうれしさ。話に夢中になっている間に、ほかの人が勝手に炭をつぎ足すのは腹立たしい。炭の積み方にまで注文をつけるところが、作者らしいこだわりである。
語釈・文法注
文法
- 「方違」
- 方違え。陰陽道で、行き先の方角が悪いとき、いったん別の所に泊まって方角を変えること。
- 「頤なども皆おちぬべき」
- あごが外れて落ちそうなほど寒い、という誇張表現。
解説
冬の夜の日常を描いた小品である。前の「にくきもの」の段にも通じる、身近な不満を率直に述べている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、351頁(コマ187)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日