枕草子 第236段 随想的章段
雪高う降りて
雪が高く降り積もり、なお降り続くとき、五位や四位の若い殿上人が宿直姿で紫の指貫に紅や山吹の衣を出し、唐傘をさして、風に吹かれて少し傾きながら歩いてくると、深沓や半靴にまで雪が白くかかっているのが美しいという。
場面イラスト(準備中)
- 1雪雪ゆきたかうたかうたこう降降ふりりりててて今今いまもももなほなほなおふるふるふるににに、、、五位五位ごいももも四位四位しいももも色色いろうるはしううるはしううるわしゅう若若わかやかやかやかなるなるなるががが、、、うへのきぬうへのきぬうえのきぬののの色色いろいといといと清清きよらららにてにてにて革革かわののの帶帶おびのののかたかたかたつきつきつきたるたるたるををを、、、とのゐとのゐとのいすがたすがたすがたにににひきひきひきはこへはこへはこえててて、、、紫紫むらさきののの指指さし貫貫ぬきももも雪雪ゆきにににはえはえはえててて濃濃こさささまさりまさりまさりたるたるたるををを着着きててて、、、袙袙あこめののの紅紅くれないならならならずずずばばばおどろおどろしきおどろおどろしきおどろおどろしき山吹山吹やまぶきををを出出いだしししててて、、、からからからかさかさかさをををさしさしさしたるたるたるににに、、、風風かぜのののいたくいたくいたく吹吹ふきききててて橫橫よこざまざまざまににに雪雪ゆきををを吹吹ふきききかくれかくれかくればばば、、、少少すこしししかたぶきかたぶきかたぶきててて步步あゆみみみくるくるくるふかぐつふかぐつふかぐつはうくわはうくわほうかなどなどなどのののきはきはきわまでまでまで、、、雪雪ゆきのののいといといと白白しろくくくかゝりかゝりかかりたるたるたるこそこそこそをかしけれをかしけれおかしけれ。。。
現代語訳
雪が深く降り積もって、今もなお降っているときに、五位の人も四位の人も、顔色がうるわしく若々しいのが、袍の色がたいそう清らかで、石帯の跡がついているのを、宿直姿に裾をたくし上げて、紫の指貫も雪に映えて濃さがまさっているのを着て、袙が紅でなければ派手な山吹色のを出して、唐傘をさしているところに、風がひどく吹いて横なぐりに雪を吹きつけるので、少し傘を傾けて歩いてくる、その深沓や半靴などの際まで、雪がたいそう白くかかっているのは趣がある。
意訳
雪の日の若い殿上人の姿を、色彩豊かに描いた段である。白い雪の中に、袍の色、紫の指貫、紅や山吹の袙が映える。横なぐりの雪に傘を傾けて歩く姿、沓の際まで白くかかった雪。一枚の絵のように美しい情景である。
語釈・文法注
文法
- 「とのゐすがた」
- 宿直姿。束帯を略した、宿直のときの姿。
- 「ふかぐつ」
- 深沓。雪や雨のときに履く、深い革の沓。
解説
雪と装束の色の対比が鮮やかな段である。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、326–327頁(コマ169–170)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日