枕草子 第214段 日記的章段
成信の中将こそ
源成信の中将は人の声をよく聞き分けた。同じ所に仕える人の声でも、ふだん聞かない人には聞き分けられず、特に男は声も筆跡も区別できないものなのに、成信はひそやかな声まで聞き分けたという。
場面イラスト(準備中)
- 1ののの中將中將ちゅうじょうこそこそこそ人人ひとののの聲聲こえはははいみじういみじういみじゅうようようよう聞聞きききき知知しりりり給給たまひひいしかしかしか。。。同同おなじじじ所所ところののの人人ひとののの聲聲こえなどなどなどははは常常つねににに聞聞きかかかぬぬぬ人人ひとははは更更さらにににえええ聞聞きききき分分わかかかずずず。。。殊殊ことににに男男おとこははは人人ひとののの聲聲こえをををももも手手てをををももも見見みわきわきわき聞聞ききききわかわかわかぬぬぬものものものををを、、、いみじういみじういみじゅうみそかみそかみそかなるなるなるもももかしこうかしこうかしこう聞聞きききき分分わききき給給たまひひいしししこそこそこそ。。。
現代語訳
成信の中将こそ、人の声をたいそうよく聞き分けなさった。同じ所に仕える人の声などは、ふだん聞かない人はまったく聞き分けられない。とりわけ男は、人の声も筆跡も見分けたり聞き分けたりできないものなのに、たいそうひそやかな声でも、うまく聞き分けなさったことよ。
意訳
御簾や几帳越しに暮らす女房たちは、声で相手が誰かを判断されることが多かった。その声を、ひそひそ声でさえ聞き分けたという成信の耳のよさを、作者は感心して書きとめている。次段の「耳とき人」の話へと続く。
語釈・文法注
- 成信
- 源成信。致平親王の子で、藤原道長の養子となった。容姿にすぐれ、作者と親しかったが、のちに出家した。
文法
- 「手」
- 筆跡。
解説
次段とともに、人の聴覚の鋭さをめぐる逸話である。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、319頁(コマ162)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日