枕草子 第205段 随想的章段
よくたきしめたる薫物の
よく焚きしめた薫物の香りを、何日かたって忘れていたころ、衣をかぶったときに感じると、今焚いたものよりもすばらしいと述べる。
場面イラスト(準備中)
- 1よくよくよくたきたきたきしめしめしめたるたるたるたきたきたきものゝものゝものの昨日昨日きのう、、、をとゝひをとゝひおととい、、、けふけふきょうなどなどなどはははうちうちうち忘忘わすれれれたるたるたるににに、、、きぬきぬきぬををを引引ひきききかづきかづきかずきたるたるたる中中なかににに、、、煙煙けぶりののの殘殘のこりりりたるたるたるははは今今いまのののよりよりよりもももめでたしめでたしめでたし。。。
現代語訳
よく焚きしめた薫物の香りを、昨日、一昨日、今日などは忘れていたのに、衣を引きかぶった中に、煙の香りが残っているのは、今焚いたものよりもすばらしい。
意訳
衣に焚きしめた香を、何日もたって忘れたころに、ふと衣をかぶった瞬間に感じる。その残り香は、焚いたばかりの香りよりもずっと奥ゆかしい。前段と同じく、思いがけずよみがえる香りの魅力を語っている。
語釈・文法注
文法
- 「たきもの」
- 薫物。香木の粉を練り合わせた香。衣服に焚きしめた。
解説
前段とともに、香りの余韻を愛する平安時代の美意識をよく示している。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、316頁(コマ161)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日