古典ライブラリー

枕草子 第202段 随想的章段

五月ばかり山里にありく

五月ごろ、牛車で山里を行くのはたいそうおもしろい。草の茂る沢を進むと下の水がはね上がり、垣の枝が車の中に入るのをつかもうとして逃し、車輪に押しつぶされた蓬の香が漂う。

  1. 1五月ごぐわつ五月ごぐわつごがつばかりばかりばかり山里やまざと山里やまざとやまざとにににありくありくありくいみじくいみじくいみじくをかしをかしおかし。。。澤水さはみづ澤水さはみづさわみずもももげにげにげに唯ただ唯ただただいといといと靑あを靑あをあおくくく見み見みみえええわたるわたるわたるににに、、、うへうへうえはははつれなくつれなくつれなく草くさ草くさくさ生お生おおひひい茂しげ茂しげしげりりりたるたるたるををを、、、ながながとながながとながながとたゞたゞたださまさまさまににに行ゆ行ゆゆけけけばばば、、、下した下したしたはははえええならならならざりざりざりけるけるける水みづ水みづみずののの深ふか深ふかふこうううはははあらあらあらねねねどどど、、、人ひと人ひとひとののの歩あゆ歩あゆあゆむむむにににつけつけつけてててとばしりとばしりとばしりあげあげあげたるたるたるいといといとをかしをかしおかし。。。左右ひだりみぎ左右ひだりみぎひだりみぎにににあるあるある垣かき垣かきかきののの枝えだ枝えだえだなどなどなどのののかゝりかゝりかかりててて車くるま車くるまくるまのののやかたやかたやかたににに入い入いいるるるももも急いそ急いそいそぎぎぎてててとらへとらへとらえててて折を折をおらららむむんととと思おも思おもおもふふうににに、、、ふとふとふとはづれはづれはずれててて過す過すすぎぎぎぬるぬるぬるももも口くち口くちくちをしをしをし。。。蓬よもぎ蓬よもぎよもぎののの、、、車くるま車くるまくるまににに押お押おおしししひしがひしがひしがれれれたるたるたるががが輪わ輪わわのののまひまひまいたちたちたちたるたるたるににに近ちか近ちかちこうううかゝへかゝへかかえたるたるたる香か香かかもももいといといとをかしをかしおかし。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

五月ごろに山里を出歩くのは、たいそうおもしろい。沢の水も、なるほどただ一面に青く見えわたっているところに、表面はそ知らぬ顔で草が生い茂っているのを、長々とまっすぐに行くと、下は何とも言えずきれいな水で、深くはないけれど、人が歩くにつれてはね上がっているのは、たいそうおもしろい。左右にある垣根の枝などが引っかかって、車の屋形に入ってくるのも、急いでつかまえて折ろうと思うのに、ふっと外れて通り過ぎてしまうのも残念だ。蓬が車に押しつぶされたのが、車輪が回るにつれて近くに漂ってくる香りも、たいそうおもしろい。

意訳

初夏の山里を牛車で行く楽しさを描いた短い段である。一面の青さの下に隠れた澄んだ水が、人の歩みにつれてはね上がる。車の中に入ってくる垣根の枝をつかもうとして逃してしまう。車輪に押しつぶされた蓬の香りがふっと漂う。目、手、鼻で感じる小さな発見が、生き生きと書きとめられている。

語釈・文法注

文法

「つれなく」
素知らぬ顔で。下に水があることを感じさせない様子。
「とばしり」
飛び散ること。しぶき。
「やかた」
牛車の屋形。人が乗る箱形の部分。

解説

『枕草子』の中でもよく知られた段の一つである。視覚・触覚・嗅覚にわたる感覚の描写が、初夏の山里の空気をみずみずしく伝えている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、315頁(コマ160)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日