枕草子 第201段 随想的章段
祭のかへさ
賀茂祭の翌日の還さの行列見物を描く。前日の暑さと違い、早朝の雲林院のあたりはほととぎすが鳴き、斎院の還りを待つ間の様子、行列の装束の美しさ、帰り道に先を争う車、卯の花の枝を車に挿す楽しさ、後をついてきた男の車が「峰に別るる」と言って別れていく趣などを述べる。
- 1祭祭まつりのののかへさかへさかえさいみじういみじういみじゅうをかしをかしおかし。。。昨日昨日きのうははは萬萬よろずののの事事こと麗麗うるわしうしうしゅうててて、、、一條一條いちじょうののの大路大路おおじののの廣廣ひろううう清清きよらららなるなるなるににに日日ひののの影影かげももも暑暑あつくくく車車くるまにににさしさしさし入入いりりりたるたるたるもももまばゆけれまばゆけれまばゆければばば、、、扇扇おうぎにてにてにて隱隱かくししし、、、居居い直直なおりりりなどなどなどしししててて久久ひさしうしうしゅう待待まちちちつるつるつるももも見見み苦苦ぐるしうしうしゅう汗汗あせなどなどなどもももあえあえあえしししををを、、、今日今日きょうはははいといといと疾疾とくくく出出いでゝでゝでて雲林院雲林院うりんいん、、、知足院知足院ちそくいんなどなどなどのののもともともとににに立立たてるてるてる車車くるまどもどもども葵葵あおい鬘鬘かずらもももうちうちうちなえなえなえててて見見みゆゆゆ。。。日日ひははは出出いでででたれたれたれどどど空空そらははは猶猶なおうちうちうち曇曇くもりりりたるたるたるににに、、、いかでいかでいかで聞聞きかかかむむんととと目目めをををさましさましさまし起起おききき居居いててて待待またたたるゝるゝるる杜鵑杜鵑ほととぎすのののあまたあまたあまたさへさへさへあるあるあるにににやややととと聞聞きこゆるゆるゆるまでまでまで鳴鳴なききき響響ひびかかかせせせばばばいみじういみじういみじゅうめでたしめでたしめでたしととと思思おもふふう程程ほどににに、、、鶯鶯うぐいすののの老老おいいいたるたるたる聲聲こえにてにてにてかれかれかれ似似にせせせむむんととと覺覺おぼしくしくしくうちうちうち添添そへへえたるたるたるこそこそこそ憎憎にくけれけれけれどどど又又またをかしをかしおかし。。。いつしかいつしかいつしかととと待待まつつつににに、、、御社御社みやしろののの方方かたよりよりより赤赤あかききききぬきぬきぬなどなどなど着着きたるたるたるものものものどもどもどもなどなどなど連連つれれれ立立だちちちてててくるくるくるををを「「「いかにいかにいかにぞぞぞ。。。事事こと成成なりりりぬぬぬややや」」」などなどなどいへいへいえばばば「「「まだまだまだむごむごむご」」」などなどなどいらへいらへいらえててて御輿御輿みこしたごしたごしたごしなどなどなどもてもてもてかへるかへるかえる。。。これこれこれににに奉奉たてまつりりりててておはしますおはしますおわしますらむらむらんもももめでたくめでたくめでたくけぢかくけぢかくけじかく、、、いかでいかでいかでさるさるさるげすげすげすなどなどなどののの侍侍さぶらふふうにににかかかとととおそろしおそろしおそろし。。。はるかげはるかげはるかげにににいふいふいう程程ほどもももなくなくなく歸歸かえらららせせせ給給たまふふう葵葵あおいよりよりより始始はじめめめててて靑朽葉靑朽葉あおくちばどもどもどものののいといといとをかしくをかしくおかしく見見みゆるゆるゆるににに、、、所所ところののの衆衆しゅうののの靑色靑色あおいろ白白しらがさねがさねがさねををを、、、けしきけしきけしきばかりばかりばかり引引ひきききかけかけかけたるたるたるははは卯卯うののの花花はな垣根垣根かきね近近ちこううう覺覺おぼえええててて、、、杜鵑杜鵑ほととぎすもももかげかげかげににに隠隠かくれれれぬぬぬべうべうびょうおぼゆおぼゆおぼゆかしかしかし。。。昨日昨日きのうははは車車くるまひとつひとつひとつにににあまたあまたあまた乘乘のりりりててて二藍二藍ふたあいののの直衣直衣のうし、、、あるあるあるははは狩衣狩衣かりぎぬなどなどなど亂亂みだれれれ着着きててて、、、すだれすだれすだれ取取とりりりおろしおろしおろし、、、物物ものぐるほしきぐるほしきぐるおしきまでまでまで見見みえええししし君達君達きんだちののの齋院齋院さいいんのののゑんがゑんがえんがにてにてにて、、、ひひひのののさうぞくさうぞくそうぞくうるはしくうるはしくうるわしくててて今日今日きょうははは一人一人ひとりづゝづゝずつをさをさしくをさをさしくおさおさしく乘乘のりりりたるたるたるしりしりしりににに殿上殿上てんじょうわらはわらはわらわのせのせのせたるたるたるもももをかしをかしおかし。。。わたりわたりわたりはてはてはてぬるぬるぬる後後のちにににははは、、、などなどなどかかかさしもさしもさしも惑惑まどふふうらむらむらん、、、我我われももも我我われもももとととあやふくあやふくあやうくおそろしきおそろしきおそろしきまでまでまでさきさきさきににに立立たたたたむむんととと急急いそぐぐぐををを、、、「「「かうかうこうななな急急いそぎぎぎそそそ。。。のどやかのどやかのどやかににに遣遣やれれれ」」」ととと扇扇おうぎをををさしさしさし出出いでゝでゝでて制制せいすれすれすれどどど、、、聞聞ききききももも入入いれれれねねねばばば、、、わりなくわりなくわりなくててて、、、少少すこししし廣廣ひろききき所所ところににに强强しひひいてててとゞめとゞめとどめさせさせさせててて立立たちちちたるたるたるををを、、、心心こころもとなくもとなくもとなくにくしにくしにくしとととぞぞぞ思思おもひひいたるたるたる。。。きほひきほひきおいかゝるかゝるかかる車車くるまどもどもどもををを見見みやりやりやりてててあるあるあるこそこそこそをかしけれをかしけれおかしけれ。。。少少すこしししよろしきよろしきよろしきほどほどほどにににやりやりやり過過すぐしししててて道道みちののの山里山里やまざとめきめきめき哀哀あわれなるなるなるににに、、、うつうつうつ木木ぎ垣根垣根かきねととといふいふいう物物もののののいといといとあらあらしうあらあらしうあらあらしゅうおどろかしげおどろかしげおどろかしげにににさしさしさし出出いでででたるたるたる枝枝えだどもどもどもなどなどなど多多おおかるかるかるににに、、、花花はなはははまだまだまだよくよくよくもももひらけひらけひらけはてはてはてずずず、、、つぼみつぼみつぼみがちがちがちににに見見みゆるゆるゆるををを折折おらららせせせててて、、、車車くるまのののこなたこなたこなたかなたかなたかなたなどなどなどにににさしさしさしたるたるたるももも鬘鬘かずらなどなどなどのののしぼみしぼみしぼみたるたるたるががが口口くちをしきをしきおしきににに、、、をかしうをかしうおかしゅうおぼゆおぼゆおぼゆ。。。遠遠とおきききほどほどほどはははえええももも通通とおるるるまじうまじうまじゅう見見みゆるゆるゆる行行ゆくくくさきさきさきををを、、、ちかうちかうちこう行行ゆきききもてもてもてゆけゆけゆけばばば、、、さしもさしもさしもあらあらあらざりざりざりつるつるつるこそこそこそをかしけれをかしけれおかしけれ。。。男男おとこののの車車くるまののの誰誰たれともともとも知知しらららぬぬぬがががしりしりしりににに引引ひきききつゝきつゝきつつきてててくるくるくるももも、、、たゞたゞただなるなるなるよりよりよりはははをかしをかしおかしととと見見みゆるゆるゆる程程ほどににに、、、引引ひききき別別わかるゝるゝるる所所ところにてにてにて「「「峯峯みねにににわかるゝわかるゝわかるる」」」ととといひいひいいたるたるたるもももをかしをかしおかし。。。
現代語訳
祭の還さは、たいそうおもしろい。昨日は何もかもきちんとしていて、一条大路の広くきれいなところに、日の光も暑く車に差し込んでまぶしいので、扇で隠し、座り直したりして長い間待っていたのも見苦しく、汗なども流れたが、今日はたいそう早く出かけて、雲林院や知足院などのあたりに止めてある車どもは、葵鬘もしおれて見える。日は出ているけれど空はまだ曇っているところに、何とかして聞きたいと目を覚まし、起きて待っていたほととぎすが、たくさんいるのかと聞こえるほど鳴き響かせるので、たいそうすばらしいと思っていると、鶯が年老いた声で、ほととぎすに似せようと思っているらしく、声を添えているのは憎らしいけれど、またおもしろい。早く早くと待っていると、社の方から赤い衣などを着た者たちが連れ立ってやって来るので、「どうですか。もう終わりましたか」などと言うと、「まだまだ」などと答えて、御輿や腰輿などを持って帰って行く。斎院がこれにお乗りになっていらっしゃるのだろうと思うのもすばらしく、身近に感じられて、どうしてあんな身分の低い者たちがお仕えしているのかと恐れ多い。遠いと言っていたほどもなく、お帰りになる。葵をはじめとして青朽葉などがたいそう美しく見えるところに、蔵人所の衆が青色の袍に白襲を、形ばかり引っかけているのは、卯の花垣根のように思われて、ほととぎすもその陰に隠れてしまいそうに思われる。昨日は車一台に大勢乗って、二藍の直衣や、あるいは狩衣などを乱れ着て、簾を取り下ろし、正気とも思えないほどはしゃいで見えた貴公子たちが、斎院の饗宴の役で、日の装束をきちんと整えて、今日は一人ずつ大人びた様子で乗っている、その車の後ろに殿上童を乗せているのもおもしろい。行列が通り過ぎてしまった後は、どうしてあんなに慌てるのだろう、我も我もと危なく恐ろしいほど先に立とうと急ぐのを、「そんなに急ぐな。ゆっくり車を進めよ」と扇を差し出して制止するけれど、聞き入れもしないので、どうしようもなくて、少し広い所に無理に止めさせて立っているのを、供の者は待ちきれず憎らしいと思っている。先を争う車どもを眺めているのはおもしろい。ほどよく車をやり過ごして、道が山里めいてしみじみとしているところに、卯木垣根というものがたいそう荒々しく、驚くほどに突き出している枝などが多いところで、花はまだすっかり開ききらず、つぼみがちに見えるのを折らせて、車のあちこちに挿したのも、葵鬘などがしおれているのが残念なので、おもしろく思われる。遠くからはとても通れそうもなく見えた行く手を、近くまで進んで行くと、それほどでもなかったのはおもしろい。男の車で、誰とも知らないのが後ろについて来るのも、ただの時よりはおもしろいと見ていると、道が分かれる所で「峰に別るる」と言ったのもおもしろい。
意訳
賀茂祭の翌日、斎院が上賀茂神社から紫野の斎院に還る行列を見物した記録である。前日の祭の暑さと比べて、還さの日は早朝の涼しさ、曇り空にほととぎすの声と、すがすがしい。行列を待つ間のやりとり、祭の日にははしゃいでいた若い貴公子が今日はかしこまって車に乗っている姿、帰り道に先を争う車。作者は「かうな急ぎそ」と車を止めさせ、卯の花の枝を折らせて車に挿す。最後に、名も知らぬ男の車が後をついてきて、別れ際に古歌の一節を言い置いていくのが、何とも風流である。
語釈・文法注
文法
- 「かへさ」
- 還さ。祭の翌日、斎院が上社から紫野の斎院御所に還る行列。
- 「たごし」
- 手輿(腰輿)。手で腰のあたりに持って運ぶ輿。
- 「齋院のゑんが」
- 斎院の饗宴(えんが)。
- 「峯にわかるゝ」
- 『古今和歌集』の壬生忠岑の歌「風吹けば峰に別るる白雲の絶えてつれなき君が心か」による。別れの挨拶として古歌の一節を言いかけたもの。
解説
祭の当日ではなく、翌日の還さの行列を楽しむところに、作者の通好みの趣味がうかがえる。早朝の空気、鳥の声、卯の花など、初夏の自然が生き生きと描かれている。
最後の、見知らぬ男の車が古歌を言いかけて別れていく場面は、行きずりの風流として印象深い。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、313–315頁(コマ159–160)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日