枕草子 第200段 類聚的章段
見物は
見物として、行幸、祭のかへさ、賀茂詣を挙げ、臨時の祭の舞人の装束の美しさや陪従の歌を述べる。行幸に並ぶものはなく、御輿を拝すると、日ごろお仕えしていることも忘れるほど神々しいという。
- 1見見みるるるものものものははは題
- 2行幸行幸ぎょうこう、、、祭祭まつりのののかへさかへさかえさ、、、御御み賀茂詣賀茂詣かももうで。。。臨時臨時りんじののの祭祭まつり空空そらくもりくもりくもりててて寒寒さむげげげなるなるなるににに雪雪ゆき少少すこしししうちうちうち散散ちりりりてててかざしかざしかざしののの花花はな、、、靑摺靑摺あおずりなどなどなどにににかゝりかゝりかかりたるたるたるえええもももいはいはいわずずずをかしをかしおかし。。。太刀太刀たちののの鞘鞘さやのののきはやかきはやかきわやかににに黑黑くろうううまだらまだらまだらにてにてにて、、、白白しろくくく廣廣ひろううう見見みえええたるたるたるににに、、、半臂半臂はんぴののの緖緖おのののやうやうようしししたるたるたるやうやうようにににかゝりかゝりかかりたるたるたる、、、地摺地摺じずり袴袴ばかまののの中中なかよりよりより氷氷こおりかかかととと驚驚おどろくくくばかりばかりばかりなるなるなるうちうちうち目目めなどなどなど、、、すべてすべてすべていといといとめでたしめでたしめでたし。。。今今いま少少すこししし多多おおくくく渡渡わたらららせせせまほしきまほしきまほしきににに、、、使使つかいははは必必かならずにくげにくげにくげなるなるなるもももあるあるあるたびたびたびははは目目めもももとまらとまらとまらぬぬぬ。。。されどされどされど藤藤ふじののの花花はなににに隱隱かくささされれれたるたるたる程程ほどはははをかしうをかしうおかしゅう、、、猶猶なお過過すぎぎぎぬるぬるぬるかたかたかたををを見見み送送おくらららるゝるゝるるににに、、、べいじうべいじうべいじゅうのののしなしなしなおくれおくれおくれたるたるたる、、、柳柳やなぎののの下襲下襲したがさねにににかざしかざしかざしののの山吹山吹やまぶきおもなくおもなくおもなく見見みゆれゆれゆれどもどもども、、、扇扇おうぎいといといと高高たかくくくうちうちうちならしならしならしててて「「「賀茂賀茂かもののの社社やしろのののゆふだすきゆふだすきゆうだすき」」」とととうたひうたひうたいたるたるたるはははいといといとをかしをかしおかし。。。
- 3行幸行幸ぎょうこうににになずらふるなずらふるなずらうる物物ものははは何何なにかかかあらあらあらむむん。。。御輿御輿みこしににに奉奉たてまつりりりたるたるたるををを見見み參參まいらららせせせたるたるたるははは、、、明暮明暮あけくれ御御お前前まえににに侍侍さぶらひひい仕仕つこうううまつるまつるまつる事事こともももおぼえおぼえおぼえずずず。。。かうがうしうかうがうしうこうごうしゅういつくしういつくしういつくしゅう常常つねははは何何なにととともももなきなきなきつかさつかさつかさ、、、ひめまうちぎみひめまうちぎみひめもうちぎみさへさへさへぞぞぞやんごとなうやんごとなうやんごとのう珍珍めずらしうしうしゅう覺覺おぼゆるゆるゆる。。。みつなみつなみつなのののすけすけすけ中少將中少將ちゅうしょうしょうなどなどなどいといといとをかしをかしおかし。。。
現代語訳
見物は。
行幸。祭の帰りの行列。賀茂詣。臨時の祭は、空が曇って寒そうなときに、雪が少し散って、挿頭の花や青摺の衣などにかかっているのは、何とも言えずおもしろい。太刀の鞘がくっきりと黒くまだらに見え、白く広く見えているところに、半臂の緒がつやを出したようにかかっていて、地摺の袴の中から、氷かと驚くほどの打ち目の光沢が見えるのなど、すべてたいそうすばらしい。もう少し多く行列を通らせてほしいのに、勅使は必ずしも見苦しい人がいるときは目もとまらない。けれども藤の花に隠れているあいだは趣があって、やはり通り過ぎてしまった方を見送ってしまうが、陪従の品の劣った者が、柳の下襲に挿頭の山吹が不似合いに見えるけれども、扇をたいそう高く打ち鳴らして「賀茂の社のゆふだすき」と歌っているのは、たいそうおもしろい。
行幸に匹敵するものは何があろうか。帝が御輿にお乗りになっているのを拝見すると、朝夕御前にお仕えしていることも忘れてしまう。神々しく、おごそかで、ふだんは何とも思わない役人や姫大夫までが、尊く珍しく思われる。御綱の助の中将や少将などは、たいそうすばらしい。
意訳
見物として行幸や祭の行列を挙げ、とりわけ臨時の祭の装束の美しさを細かく描く。雪の散る寒空の下、青摺の衣、黒くまだらな太刀の鞘、氷のように光る打ち目。色と光の描写が鮮やかである。後半は行幸について、御輿の帝を拝すると、ふだんお側に仕えていることも忘れるほど神々しく感じられると述べる。行列の中で見ると、身近なものもまったく違って見えるのである。
語釈・文法注
文法
- 「かへさ」
- 還さ。祭の使いが帰る行列。
- 「べいじう」
- 陪従。祭で歌舞を奏する地下の楽人。
- 「賀茂の社のゆふだすき」
- 東遊の歌の一節。
- 「みつなのすけ」
- 御綱の助。行幸の際、御輿の綱を持つ役の近衛の中将・少将。
解説
行列の装束や色彩を細密に描く作者の筆が冴える段である。行幸の場面では、ふだん間近に帝に仕える女房でさえ、儀式の場では帝を遠く神々しい存在と感じることが語られている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、313頁(コマ159)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日