枕草子 第168段 類聚的章段
近うて遠きもの
近いようで遠いものとして、宮のほとりの祭、仲の悪い兄弟親族の間柄、鞍馬のつづら折りの道、大晦日と元日との間を挙げる。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
近いようで遠いもの。
宮のほとりの祭。仲のよくない兄弟や親族の間柄。鞍馬のつづら折りという道。十二月の大晦日と、正月の元日との間。
意訳
距離や時間は近いのに、実際には遠く感じられるものを集めた短い段である。血のつながった兄弟や親族も、心が離れていれば他人より遠い。鞍馬のつづら折りの道は、目の前に見えていてもなかなかたどり着けない。大晦日と元日は一日違いなのに、年が改まるので一年も隔たっている。
語釈・文法注
文法
- 「宮のほとりの祭」
- 宮咩(みやのめ)の祭とする説がある。正月と十二月の初午の日に行われた祭で、二つの祭が近いのに年が隔たることをいうか。
- 「つゞらをり」
- 九十九折り。幾重にも折れ曲がった坂道。
解説
次段の「遠くてちかきもの」と対になる段である。物理的な距離と心理的な距離のずれに着目した、作者らしい発想である。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、299頁(コマ152)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日