枕草子 第159段 類聚的章段
心もとなきもの
待ち遠しく気がかりなものとして、急ぎの縫い物を頼んで待つ間、物見の行列を待つ心持ち、出産の遅れ、固く封をした手紙を開けるとき、暗い所で針に糸を通すこと、迎えの車を待つ間、歌の返しが詠めないとき、夜明けを待つ心細さなどを挙げる。
- 1こゝろもとなきこゝろもとなきこころもとなきものものもの題
- 2人人ひとののの許許もとにににとみとみとみののの物物ものぬひぬひぬいにににやりやりやりててて待待まつつつほどほどほど。。。物見物見ものみににに急急いそぎぎぎ出出いでゝでゝでて、、、今今いまややや今今いまやややとととくるしうくるしうくるしゅう居居い入入いりりりつゝつゝつつ、、、あなたあなたあなたをををまもらへまもらへまもらえたるたるたる心心ここちちち。。。子子こ產產うむむむべきべきべき人人ひとののの、、、ほどほどほど過過すぐるぐるぐるまでまでまでさるさるさるけしきけしきけしきのののなきなきなき。。。遠遠とおききき所所ところよりよりより思思おもふふう人人ひとののの文文ふみををを得得えてててかたくかたくかたくふんじふんじふんじたるたるたるそくひそくひそくいなどなどなど放放はなちちちあくるあくるあくる心心こころもとなしもとなしもとなし。。。物見物見ものみににに急急いそぎぎぎ出出いでゝでゝでて、、、事事ことなりなりなりにににけりけりけり白白しろきききしもとしもとしもとなどなどなど見見みつけつけつけたるたるたるににに、、、近近ちかくくくやりやりやりよするよするよする程程ほどわびしうわびしうわびしゅうおりおりおりてててもももいぬいぬいぬべきべきべき心心ここちちちこそこそこそすれすれすれ。。。知知しららられれれじじじととと思思おもふふう人人ひとのののあるあるあるににに、、、前前まえなるなるなる人人ひとににに敎敎おしへへへててて物物ものいはいはいわせせせたるたるたる。。。いつしかいつしかいつしかととと待待まちちち出出いでででたるたるたるちごちごちごのののいかいかいかもゝかもゝかももかなどなどなどのののほどほどほどににになりなりなりたるたるたる、、、行行ゆくくく末末すえいといといと心心こころもとなしもとなしもとなし。。。とみとみとみのののものものもの縫縫ぬふふうにににくらきくらきくらきをりをりおり針針はりににに糸糸いとつくるつくるつくる。。。されどされどされど我我われはははさるさるさるものものものにてにてにてありありありぬぬぬべきべきべき所所ところをををとらへとらへとらえててて、、、人人ひとにににつけつけつけさするさするさするににに、、、それそれそれももも急急いそげげげばばばにににやややあらあらあらむむん、、、とみにとみにとみにもももえええさしさしさし入入いれれれぬぬぬををを、、、「「「いでいでいで唯唯ただなななすげすげすげそそそ」」」ととといへいへいえどどど、、、さすがさすがさすがににになどなどなどてててかかかはははととと思思おもひひいがほがほがおにににえええさらさらさらぬぬぬははは、、、にくさにくさにくささへさへさへそひそひそいぬぬぬ。。。何事何事なにごとにににもももあれあれあれ、、、急急いそぎぎぎててて物物ものへへへ行行ゆくくく折折おり、、、まづまづまずわがわがわがさるべきさるべきさるべき所所ところへへへ行行ゆくくくとてとてとて、、、唯今唯今ただいまおこせおこせおこせむむんとてとてとて出出いでででぬるぬるぬる車車くるま待待まつつつほどほどほどこそこそこそ心心こころもとなけれもとなけれもとなけれ。。。大路大路おおじいきいきいきけるけるけるををを、、、さささなりなりなりけるけるけるととと喜喜よろこびびびたれたれたればばば、、、外外ほかざまざまざまにににいぬるいぬるいぬるいといといとくちをしくちをしくちおし。。。ましてましてまして物見物見ものみににに出出いでででむむんとてとてとてあるあるあるににに「「「事事ことはははなりなりなりぬぬぬらむらむらん」」」などなどなどいふいふいうををを聞聞きくくくこそこそこそわびしけれわびしけれわびしけれ。。。子子こうみうみうみけるけるける人人ひとののののちのちのちのののことことこと久久ひさしきしきしき。。。物見物見ものみにににややや、、、又又また御寺御寺みてらまうでまうでもうでなどなどなどににに諸共諸共もろともにににあるあるあるべきべきべき人人ひとををを乘乘のせせせにににいきいきいきたるたるたるををを車車くるまさしさしさし寄寄よせせせたてるたてるたてるがががとみにとみにとみにももも乘乘のらららでででまたまたまたするするするもももいといといと心心こころもとなくもとなくもとなく、、、うちうちうちすてゝすてゝすててもももいぬいぬいぬべきべきべき心心ここちちちするするする。。。とみにとみにとみにいりずみいりずみいりずみおこすおこすおこすいといといとひさしひさしひさし。。。人人ひとののの歌歌うたののの返返かえしししとくとくとくすすすべきべきべきをををえええ詠詠よみみみ得得えぬぬぬほどほどほどいといといと心心こころもとなしもとなしもとなし。。。けさうけさうけそう人人びとなどなどなどはははさしもさしもさしも急急いそぐぐぐまじけれまじけれまじけれどどど、、、おのづからおのづからおのずから又又またさるべきさるべきさるべきをりをりおりもももありありあり。。。又又またましてましてまして女女おんなももも男男おとこもももたゞたゞただににに言言いひひいかはすかはすかわすほどほどほどははは、、、時時ときのみのみのみこそこそこそはははととと思思おもふふうほどほどほどににに、、、あいなくあいなくあいなくひがひがひが事事ごとももも出出いでででくるくるくるぞぞぞかしかしかし。。。又又また心心ここちちちあしくあしくあしく物物ものおそろしきおそろしきおそろしきほどほどほど夜夜よののの明明あくるくるくるまつまつまつこそこそこそいみじういみじういみじゅう心心こころもとなけれもとなけれもとなけれ。。。まつばくろめまつばくろめまつばくろめのののひるひるひるほどほどほどももも心心こころもとなしもとなしもとなし。。。
現代語訳
待ち遠しく、気がかりなもの。
人のもとに急ぎの縫い物を頼みにやって、待っている間。物見に急いで出かけて、今か今かと苦しいほどに車の中に引きこもって、あちらの方をじっと見守っている気持ち。子を産むはずの人が、予定の時期を過ぎてもその気配がないの。遠い所から、思う人の手紙を受け取って、固く封じてある糊などをはがして開けるときは、待ち遠しい。物見に急いで出かけて、もう行列は通ってしまったのだ、白い笞などを見つけたときに、車を近くに寄せる間は、つらくて、降りて帰ってしまいたい気持ちがする。知られまいと思う人がいるときに、前にいる人に教えて、取り次ぎの言葉を言わせているの。早く生まれてほしいと待ちかねて生まれた幼児が、五十日や百日の祝いのころになったのは、その将来がたいそう気がかりだ。急ぎの縫い物をするのに、暗いときに針に糸を通すの。もっとも、それは自分でするのは当然として、針のしかるべき所を持って、人に糸を通させるのに、その人も急ぐからだろうか、すぐには通せないのを、「いいわ、もう通さなくても」と言うけれど、やはりどうしてできないことがあろうと思っている顔で、手を放そうとしないのは、憎らしささえ加わる。何事であれ、急いでどこかへ行く折に、まず自分の用のある所へ行くといって、すぐに迎えによこそうと言って出て行った車を待つ間は、気がかりだ。大路を車が行くのを、あれだと喜んでいると、よその方へ行ってしまうのは、たいそう残念だ。まして物見に出かけようとしているときに、「もう行列は通ってしまったでしょう」などと言うのを聞くのはつらい。子を産んだ人の、後産が長引くの。物見や、また寺参りなどに、一緒に行くはずの人を乗せに行ったところ、車を寄せて待っているのに、すぐには乗らないで待たせるのも、たいそう気がかりで、置き去りにして行ってしまいたい気持ちがする。急いで炭火をおこすときは、たいそう時間がかかる。人の歌の返歌を早くしなければならないのに、詠めないでいる間は、たいそう気がかりだ。恋人などへの返事はそれほど急ぐこともないだろうけれど、自然とまた急がなければならない折もある。まして女でも男でも、普通に言葉を交わすときは、早いのが何よりと思ううちに、つまらない間違いも出てくるものだよ。また、気分が悪く、何となく恐ろしいときに、夜が明けるのを待つのは、たいそう待ち遠しい。お歯黒の乾く間も待ち遠しい。
意訳
「こゝろもとなし」は、待ち遠しくて落ち着かない気持ちをいう。急ぎの縫い物、行列の到着、手紙の封、迎えの車、炭火のおこるまで、返歌がまとまるまで。どれも、結果を早く知りたいのに思うように進まない時間である。なかでも、針に糸が通らず「もういい」と言っても相手が意地になって手を放さない場面は、待つもどかしさに苛立ちまで加わって、思わず笑ってしまう。
語釈・文法注
文法
- 「そくひ」
- 続飯。飯粒を練って作った糊。手紙の封に用いた。
- 「白きしもと」
- 行列の先払いが持つ白い笞。それが落ちているのは行列がすでに通った証拠である。
- 「いかもゝか」
- 五十日(いか)・百日(もゝか)の祝い。生後五十日・百日目に行う祝い。
- 「まつばくろめ」
- 「まつ」は待つ、「はくろめ」は歯黒め(お歯黒)か。お歯黒が乾くのを待つ間とする説がある。
解説
日常の細かな待ち時間を、数多く積み重ねた段である。前段の「とくゆかしきもの」に比べ、待つことの苛立ちやもどかしさがより強く表れている。
針に糸を通す場面や、乗せに行った人がなかなか乗らない場面など、人間関係の小さな摩擦を描くところに作者の観察眼の鋭さがある。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、293–294頁(コマ149–150)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日