枕草子 第153段 類聚的章段
見るにことなることなきものの文字に書きてことごとしきもの
見た目は平凡なのに、漢字で書くと大げさなものとして、いちご、つゆくさ、みずぶき、くるみ、文章博士、皇后宮権大夫、やまももを挙げ、いたどりは「虎杖」と書くが、杖などなくてもよさそうな顔つきだと茶化す。
場面イラスト(準備中)
- 1見見みるるるにににことなることなることなることことことなきなきなきものゝものゝものの文字文字もじにににかきかきかきてててことごとしきことごとしきことごとしきものものもの題
- 2いちごいちごいちご、、、露草露草つゆくさ、、、みづぶきみづぶきみずぶき、、、くるみくるみくるみ、、、文章博士文章博士もんじょうはかせ、、、皇后宮皇后宮こうごうぐうののの權大夫權大夫ごんのだいぶ、、、やまもゝやまもゝやまもも。。。いたどりいたどりいたどりはははましてましてまして、、、虎虎とらののの杖杖つえととと書書かきききたるたるたるとととかかか。。。杖杖つえなくなくなくともともともありありありぬぬぬべきべきべき顏顏かおつきつきつきををを。。。
現代語訳
見た目はたいしたことのないものなのに、漢字で書くと大げさなもの。
いちご(覆盆子)。つゆくさ(鴨頭草)。みずぶき(水蕗)。くるみ(胡桃)。文章博士。皇后宮の権大夫。やまもも(楊梅)。いたどりはなおさらで、「虎の杖」と書くとか。杖などなくてもよさそうな顔つきなのに。
意訳
ふだん目にする平凡な植物などが、漢字で書くと急にいかめしく見える。そのおかしさに目をつけた段である。とりわけ、いたどりを「虎杖」と書くことについて、虎が杖をつくなど大げさだ、杖などなくても平気な顔をしているのに、と茶化すところに、作者のユーモアがある。文章博士や皇后宮権大夫のような官職名が交じっているのも、肩書きのいかめしさへの皮肉であろう。
語釈・文法注
文法
- 「文字にかきて」
- 漢字で書いて。和語の物の名を漢字で表すと、仰々しい印象になる。
- 「ことごとしき」
- 大げさな、仰々しい。
解説
前段の「名おそろしきもの」と同じく、言葉の印象をテーマにした段である。仮名で書けば何でもないものが、漢字で書くと大層に見えるという、仮名文化の中にいた女性ならではの感覚がうかがえる。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、290頁(コマ148)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日