枕草子 第148段 類聚的章段
いやしげなるもの
下品に見えるものとして、式部丞の笏、黒い髪の筋が太いもの、新しい布屏風、桜の花を多く描いて胡粉や朱砂で彩った絵、遣戸や厨子、田舎風の物、筵張りの車の覆い、検非違使の袴、伊予簾の筋の太いもの、太った法師の子、本物の出雲筵の畳を挙げる。
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- 1いやしげいやしげいやしげなるなるなるものものもの題
- 2式部式部しきぶのののぞうぞうぞうののの爵爵しゃく、、、黑黑くろききき髪髪かみのののすぢすぢすじふときふときふとき、、、布布ぬの屏風屏風びょうぶののの新新あたらしきしきしき、、、ふりふりふり黑黑ぐろみみみたるたるたるはははさるさるさるいふかひいふかひいうかいなきなきなき物物ものにてにてにて、、、なかなかなかなかなかなか何何なにとととももも見見みえええずずず。。。新新あたらしくしくしくしししたてゝたてゝたてて櫻櫻さくらののの花花はな多多おおくくくさかさかさかせせせててて胡粉胡粉ごうんすさすさすさなどなどなど色色いろどりどりどりたるたるたる繪繪え書書かきききたるたるたる。。。遣戶遣戶やりど、、、厨子厨子ずし、、、何何なにももも田舍物田舍物いなかものはははいやしきいやしきいやしきなりなりなり。。。むしろむしろむしろばりばりばりののの車車くるまのののおそひおそひおそい、、、檢非違使檢非違使けびいしののの袴袴はかま、、、伊豫伊豫いよすすすののの筋筋すじふときふときふとき、、、人人ひとののの子子こにににほふしほふしほうし子子ごのののふとりふとりふとりたるたるたる、、、まことまことまことののの出雲出雲いずもむしろむしろむしろののの疊疊たたみ。。。
現代語訳
下品に見えるもの。
式部丞の笏。黒い髪の筋の太いの。布屏風の新しいの。古びて黒ずんだのは、それはそれで取るに足りない物で、かえって何とも思われない。新しく仕立てて、桜の花をたくさん咲かせて、胡粉や朱砂などで彩った絵を描いたの。遣戸や厨子。何でも田舎で作った物は下品である。筵張りの車の覆い。検非違使の袴。伊予簾の筋の太いの。人の子で、法師の子の太っているの。本物の出雲筵の畳。
意訳
洗練されていない、品のないものを並べた段である。新しい布屏風に派手な桜を描いた絵、筋の太い簾、田舎で作られた家具。作者の美意識からすると、上品さとは控えめで繊細なものであり、けばけばしさや粗さは「いやしげ」に見えるのである。
語釈・文法注
文法
- 「式部のぞうの爵」
- 式部丞の笏(しゃく)とする説、六位から五位に叙される式部丞の叙爵とする説などがある。
- 「胡粉すさ」
- 胡粉(白色の顔料)と朱砂(赤色の顔料)。
- 「伊豫す」
- 伊予簾。伊予国産の篠竹で編んだ簾。
解説
作者の上品・下品の基準がよくわかる段である。新しさや派手さ、太さや粗さが「いやしげ」とされ、古びて落ち着いたものはかえって気にならないという感覚が示されている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、288頁(コマ147)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日