枕草子 第144段 随想的章段
碁をやんごとなき人の打つとて
身分の高い人が碁を打つときは、紐を解いてくつろいだ様子で打ち、相手の身分の低い人は、かしこまって盤から少し離れ、袖を片手で押さえながら打つ。その対照をおもしろく描く。
場面イラスト(準備中)
- 1棊棊ごをををやんごとなきやんごとなきやんごとなきひとひとひとのののうつうつうつとてとてとて紐紐ひもうちうちうち解解とききき、、、ないがしろないがしろないがしろなるなるなるけしきけしきけしきににに、、、ひろひひろひひろいおくおくおくにににおとりおとりおとりたるたるたる人人ひとのののゐずまひゐずまひいずまいもももかしこまりかしこまりかしこまりたるたるたるけしきけしきけしきににに、、、棊盤棊盤ごばんよりよりよりははは少少すこししし遠遠とおくくくててて及及およびびびつゝつゝつつ、、、袖袖そでののの下下したいまいまいま片手片手かたてにてにてにて引引ひきききやりやりやりつゝつゝつつうちうちうちたるたるたるもももをかしをかしおかし。。。
現代語訳
碁を、身分の高い人が打つというので、直衣の紐を解いて、くつろいだ様子で石を拾ったり置いたりするのに対して、身分の劣った人は、座り方もかしこまった様子で、碁盤からは少し離れて、身を乗り出しながら、袖の下をもう片方の手で押さえつつ打っているのもおもしろい。
意訳
同じ碁盤を囲みながら、身分の違いが姿勢やしぐさにはっきりと表れる様子を描いている。くつろいで打つ貴人と、遠慮して身を乗り出しながら袖を押さえて打つ相手。作者は、その対照を楽しんで見ている。
語釈・文法注
文法
- 「ないがしろなる」
- うちとけた、くつろいだ。
- 「及びつゝ」
- 身を乗り出して手を伸ばしながら。
解説
前段の双六とともに、遊びの場での人の姿を描いた段である。わずかな動作の違いから身分の上下を読み取る、作者の観察の細かさがよく表れている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、287頁(コマ146)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日