枕草子 第131段 日記的章段
などて官得はじめたる
職の御曹司の夜、女房たちと、六位の笏の材料や、衣服の名前の付け方のおかしさについて、あれこれ言い合う。「もう寝なさい」と言われたところ、夜居の僧が「一晩じゅうお話しください」と口をはさみ、皆を驚かせる。
- 1などてなどてなどてつかさつかさつかさえええはじめはじめはじめたるたるたる六位六位ろくいににに、、、しきしきしきののの御御みざうしざうしぞうしのののたつみたつみたつみののの隅隅すみのののついぢついぢついじののの板板いたをををせせせしししぞぞぞ。。。更更さらににに西西にし東東ひがしをををもももせよせよせよかしかしかし。。。又又また五位五位ごいもももせよせよせよかしかしかし」」」などなどなどいふいふいうことことことををを言言いひひい出出いでゝでゝでて、、、あぢきなきあぢきなきあじきなき事事ことどもどもどもをををきぬきぬきぬなどなどなどにににすゞろすゞろすずろなるなるなる名名などもどもどもをををつけゝつけゝつけけむむんいといといとあやしあやしあやし。。。「「「きぬきぬきぬののの名名なにににほそながほそながほそながをををばばばさささもももいひいひいいつつつべしべしべし。。。なぞなぞなぞかざみかざみかざみはははしりながしりながしりながととといへいへいえかしかしかし。。。をのわらはをのわらはおのわらわのののきるきるきるやうやうようににに、、、なぞなぞなぞからぎぬからぎぬからぎぬははは短短みじかききききぬきぬきぬとととこそこそこそいはいはいわめめめ。。。されどされどされどそれそれそれはははもろこしもろこしもろこしののの人人ひとののの着着きるるるものものものなれなれなればばば。。。うへのきぬうへのきぬうえのきぬののの袴袴はかまさささいふいふいうべしべしべし。。。下襲下襲したがさねもももよしよしよし。。。又又また大口大口おおくち、、、長長ながさささよりよりよりははは口口くちひろけれひろけれひろければばば。。。袴袴はかまいといといとあぢきなしあぢきなしあじきなし。。。指指さし貫貫ぬきもももなぞなぞなぞ、、、あしぎぬあしぎぬあしぎぬ、、、もしはもしはもしはさやうさやうさようのののものものものははは足足あしぶくろぶくろぶくろなどなどなどもももいへいへいえかしかしかし」」」などなどなどよろづよろづよろずののの事事ことをををいひいひいいのゝしるのゝしるののしるををを、、、「「「いでいでいであなあなあなかしがましかしがましかしがまし。。。今今いまはははいはいはいわじじじ。。。ねねね給給たまひひいねねね」」」ととといふいふいういらへいらへいらえににに、、、よゐよゐよいののの僧僧そうののの「「「いといといとわろからわろからわろからむむん。。。夜夜よひとひといと夜夜よこそこそこそ猶猶なおのたまはのたまはのたまわめめめ」」」ととと憎憎にくしししととと思思おもひひいたるたるたる聲聲こえざまざまざまにてにてにていひいひいい出出いでででたりたりたりしししこそこそこそをかしかりをかしかりおかしかりしししにににそへそへそえててて驚驚おどろかかかれれれにににしかしかしか。。。
現代語訳
「どうして、官職を得たばかりの六位の笏に、職の御曹司の東南の隅の築地の板を使ったのだろう。それなら西や東の板も使えばよいのに。また、五位の笏にもすればよいのに」などということを言い出して、つまらないことの数々を話し、衣服などにわけのわからない名をつけたのだろう、たいそう不思議だ、と言い合う。「衣の名で、細長は、そう言うのももっともでしょう。なぜ汗衫は尻長と言わないの。男の童が着るように。なぜ唐衣は短い衣と言わないの。でもそれは唐土の人が着るものだから。袍や表袴は、そう言ってもよい。下襲もよい。また大口も、長さよりは口が広いのだから。袴はたいそうつまらない名だ。指貫もどうしてそう言うの。足の衣、または、そういうものは足袋などとでも言えばいいのに」などと、あらゆることを言って騒いでいるのを、「まあ、やかましい。もう言いません。お休みなさい」と答えたところ、夜居の僧が、「それはたいそうよくないでしょう。一晩じゅう、やはりお話しなさいませ」と、いまいましいと思っている声の調子で口をはさんだのは、おもしろかったうえに、びっくりさせられた。
意訳
職の御曹司での夜更けの雑談である。女房たちは、六位の笏の材料の話から、衣服の名前の付け方へと話を広げる。細長はその通りだが、汗衫は尻長と呼ぶべきだ、袴という名はつまらない、などと言いたい放題である。ところが「もう寝なさい」と言われると、隣で夜通し祈祷をしていた夜居の僧が、「一晩じゅうお話しなさい」と口をはさむ。僧も実は楽しんで聞いていたのである。前の「はづかしきもの」で書かれた、夜居の僧に話を聞かれている気恥ずかしさが、ここでは笑い話になっている。
語釈・文法注
- しやく
- 笏。束帯のとき右手に持つ細長い板。六位は木製のものを用いた。
文法
- 「かざみ」
- 汗衫。童女が着る上着で、裾を長く引く。
- 「をのわらは」
- 男の童。男の子の汗衫は丈が短かった。
- 「よゐの僧」
- 夜居の僧。夜通し貴人のそばで加持祈祷をする僧。
解説
冒頭に会話の始まりの「「」がなく、前段から続く形で書き出されている。三巻本などでは独立した段とされることが多い。
言葉の由来や名付けのおかしさを話題にするのは、作者らしい言葉への関心の表れである。夜居の僧の一言で場面が締めくくられる展開は、小話としてよくできている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、274–275頁(コマ140)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日