古典ライブラリー

枕草子 第124段 類聚的章段

無徳なるもの

体裁が悪く、格好のつかないものとして、干潟に乗り上げた大きな舟、かもじを外した髪の短い人、根こそぎ倒れた大木、相撲に負けて引き下がる後ろ姿、すねて隠れたのに探してもらえず自分から出てくる妻などを挙げる。

  1. 1むとくむとくむとくなるなるなるものものもの題
  2. 2しほひしほひしおいのののかたかたかたなるなるなる大おほ大おほおおきききなるなるなる舟ふね舟ふねふね。。。かみかみかみみじかきみじかきみじかき人ひと人ひとひとのののかづらかづらかずらとりとりとりおろしおろしおろしててて髪かみ髪かみかみけづるけづるけずるほどほどほど。。。大おほ大おほおおきききなるなるなる木き木ききののの風かぜ風かぜかぜににに吹ふ吹ふふきききたふさたふさたうされれれててて根ね根ねねをををさゝげさゝげささげてててよこたはれよこたはれよこたわれふせるふせるふせる。。。すまひすまひすまいのののまけまけまけててているいるいるうしろうしろうしろ手で手でで。。。えせえせえせものゝものゝもののずさずさずさかんがふるかんがふるかんがうる。。。翁おきな翁おきなおきなのののもとゞりもとゞりもとどりはなちはなちはなちたるたるたる。。。人ひと人ひとひとのののめめめなどなどなどのののすゞろすゞろすずろなるなるなる物もの物ものものゑんじゑんじえんじしししててて隱かく隱かくかくれれれたるたるたるををを、、、必かならず必かならずかならず尋たづ尋たづたずねねねさわがさわがさわがむむんものものものをををととと思おも思おもおもひひいたるたるたるにににさしもさしもさしも思おも思おもおもひひいたらたらたらずずず、、、ねたげねたげねたげにににもてなしもてなしもてなしたるたるたるににに、、、さてさてさてもももえええ旅たび旅たびたびだちだちだち居ゐ居ゐいたらたらたらねねねばばば心こころ心こころこころととと出い出いいででできききたるたるたる。。。こまいぬこまいぬこまいぬしくしくしく舞ま舞ままふふうものゝものゝもののおもしろがりおもしろがりおもしろがりはやりはやりはやり出い出いいでゝでゝでてをどるをどるおどる足音あしおと足音あしおとあしおと。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

体裁が悪く、格好のつかないもの。

潮の引いた干潟にある大きな舟。髪の短い人が、かもじを取り外して髪をとかしているところ。大きな木が風に吹き倒されて、根を上に向けて横倒しになっているの。相撲に負けて引き下がる後ろ姿。たいしたこともない者が従者を叱っているの。老人が髻をほどいているの。人の妻などが、わけもないことで嫉妬して隠れたのを、夫がきっと探して騒ぐだろうと思っていたのに、夫はそれほどにも思わず、平然とふるまっているので、そうかといって、いつまでもよそにいるわけにもいかないので、自分から出て来たの。狛犬や獅子の舞を舞う者が、おもしろがって調子に乗り、飛び出して踊る足音。

意訳

「無徳」は、本来の値打ちや威厳を失って、格好がつかない様子をいう。水があってこそ立派な大舟が干潟に乗り上げた姿、かもじを外した女性、根を見せて倒れた大木。いずれも、ふだん隠れているものがあらわになって、見栄えがしなくなった状態である。すねて家出した妻の話は、思惑が外れて自分から戻るしかない気まずさがよく出ていて、思わず笑ってしまう。

語釈・文法注

文法

「かづら」
鬘。髪の不足を補うために添える入れ髪。かもじ。
「ずさかんがふる」
従者を叱る。「勘ふ」は罪を問いただす意。
「心と」
自分の心から。自分から進んで。

解説

どの例も、立派なもの、体裁を保っていたものが、その支えを失った瞬間をとらえている。舟と水、大木と大地、相撲取りと勝負、妻と夫の関心。作者は、その落差に「むとく」の本質を見ている。

すねて隠れた妻の例は、小さな物語になっていて特に印象深い。夫婦の心理の駆け引きを、外から冷静に見ている作者の目が感じられる。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、270頁(コマ138)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日