枕草子 第117段 類聚的章段
かきまさりするもの
絵に描くと実物よりまさるものとして、松の木、秋の野、山里、山路、鶴、鹿、ひどく寒い冬、とても暑い夏を挙げる短い段。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
絵に描くとまさるもの。
松の木。秋の野。山里。山路。鶴。鹿。冬はひどく寒い景色。夏は世にまたとなく暑い景色。
意訳
前の段とは逆に、絵に描くとかえって引き立つもの。松や鶴、鹿などの絵画の定番の画題、秋の野や山里の風景。そして厳しい寒さや暑さも、絵で見るなら趣がある。実際に体験するとつらいものも、絵の中では美しい景色となる、という機知のきいた結びである。
語釈・文法注
文法
- 「かきまさり」
- 絵に描くと、実物よりまさって見えること。
解説
前段と対になる短い類聚的章段である。最後に冬の寒さと夏の暑さを挙げるのは、実際には耐えがたいものも、絵に描けば風情となる、というユーモアである。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、263–264頁(コマ134–135)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日