枕草子 第105段 日記的章段
作物所の別当するころ
信経が作物所の別当だったころ、職人に送った指図書の漢字がひどく下手だったのを作者が見つけ、「この通りに作ったら妙なものになるでしょう」と書き添えて殿上に回したので、人々が大笑いし、信経はひどく腹を立てた。
場面イラスト(準備中)
- 1つくもつくもつくもののの別別べつ當當とうするするする頃頃ころ、、、たれたれたれがががもともともとにににやりやりやりけるけるけるにににかかかあらあらあらむむん、、、物物ものののの繪繪えやうやうようやるやるやるとてとてとて「「「これこれこれがががやうやうようににに仕仕つかるるるべしべしべし」」」ととと書書かきききたるたるたるまんなまんなまんなのののやうやうよう、、、もじもじもじののの世世よにににしらしらしらずずずあやしきあやしきあやしきををを見見みつけつけつけててて、、、それそれそれがががかたはらかたはらかたわらににに「「「これこれこれがががまゝまゝままにににつかうまつらつかうまつらつこうまつらばばばことことことやうやうようにににこそこそこそあるあるあるべけれべけれべけれ」」」とてとてとて殿上殿上てんじょうにににやりやりやりたれたれたればばば、、、人々人々ひとびと取取とりりりててて見見みててていみじういみじういみじゅう笑笑わらひひいけるけるけるににに、、、おほおほおおはらだちはらだちはらだちてててこそこそこそうらみうらみうらみしかしかしか。。。
現代語訳
信経が作物所の別当をしていたころ、誰のもとにやったのだろうか、何かの絵図を送るといって、「これのように作るべし」と書いた漢字の様子、文字が世にまたとなく奇妙なのを見つけて、その横に「これのとおりにお作りしたら、妙なものになるでしょう」と書いて殿上に回したところ、人々が手に取って見てひどく笑ったので、信経はひどく腹を立てて恨んだ。
意訳
前段に続く信経の話。字の下手な信経が書いた指図書を見つけた作者は、「この字のとおりに作ったら、とんでもないものができるでしょう」と書き添えて殿上に回してしまう。殿上人たちは大笑いし、信経はひどく腹を立てた。作者のいたずら心と、からかわれる信経との対比が、ユーモラスに描かれている。
語釈・文法注
- つくもどころ
- 作物所(つくもどころ)。宮中の調度品などを作る役所。
文法
- 「まんな」
- 真名。漢字。
- 「ことやう」
- 異様。普通とは違う、妙な様子。
解説
前段に続き、信経をからかった逸話である。作者の機知といたずら心がよく表れているが、からかわれた信経が本気で怒ったことも正直に書きとめている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、255–256頁(コマ130–131)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日