枕草子 第98段 類聚的章段
あさましきもの
あきれるほど驚くものとして、挿し櫛が磨いているうちに折れたこと、牛車がひっくり返ったこと、待ちわびた人を待ちながら寝入って昼になってしまったこと、子どもが人の恥を平気で口にすることなどを挙げる。

- 1ものものもの題
- 2さしさしさしぐしぐしぐしみがくみがくみがくほどほどほどににに物物ものにににさへさへさへててて折折おれれれたるたるたる。。。車車くるまのののうちうちうちかへさかへさかえされれれたるたるたる。。。さるさるさるおほのかおほのかおおのかなるなるなるものものものはははところところところせくせくせく久久ひさしくしくしくなどなどなどやややあらあらあらむむんとととこそこそこそ思思おもひひいしかしかしか。。。唯唯ただ夢夢ゆめののの心心ここちちちしししてててあさましうあさましうあさましゅうあやなしあやなしあやなし。。。人人ひとのののためためためににに耻耻はずかしきかしきかしき事事ことつゝみつゝみつつみもももなくなくなく、、、ちごちごちごもももおとなおとなおとなもももいひいひいいたるたるたる。。。かならずかならずかならずきききなななむむんととと思思おもふふう人人ひとををを待待まちちちあかしあかしあかしててて、、、曉曉あかつきがたがたがたににに唯唯ただいさゝかいさゝかいささか忘忘わすららられれれててて寢寢ね入入いりりりたるたるたるににに、、、からすからすからすのののいといといと近近ちかくくくかうかうこうととと鳴鳴なくくくににに、、、うちうちうち見見みあげあげあげたれたれたればばば晝晝ひるににになりなりなりたるたるたるいといといとあさましあさましあさまし。。。てうばみてうばみちょうばみにににどうどうどう取取とららられれれたるたるたる。。。むげむげむげににに知知しらららずずず見見みずずずきかきかきかぬぬぬ事事ことををを人人ひとのののさしさしさし對對むかひひいてててあらがはあらがはあらがわすすすべくべくべくもももなくなくなくいひいひいいたるたるたる。。。物物ものうちうちうちこぼしこぼしこぼしたるたるたるもももあさましあさましあさまし。。。のりゆみのりゆみのりゆみにににわなゝくわなゝくわななくわなゝくわなゝくわななく久久ひさしうしうしゅうありありありてててはづしはづしはずしたるたるたる矢矢やのののもてもてもてはなれはなれはなれてててことことことかたかたかたへへへ行行ゆきききたるたるたる。。。
現代語訳
あきれるほど驚くもの。
挿し櫛を磨いているうちに、何かに当たって折れたの。牛車がひっくり返ったの。あんなに大きなものは、どっしりと長くそのままでいるものだと思っていたのに、ただ夢のような気持ちがして、あきれて、わけがわからない。人のために恥ずかしいことを、遠慮もなく、子どもも大人も言ったの。必ず来るだろうと思う人を待って夜を明かして、明け方にほんの少しうっかり寝入ってしまったところ、烏がたいそう近くで「かあ」と鳴くので、ふと見上げたら昼になっていたのは、たいそうあきれる。調食の遊びで、筒ごと取られたの。まったく知りもせず、見も聞きもしないことを、人が面と向かって、反論させようもなく言いきったの。物をこぼしたのもあきれる。賭弓で、震え震えしながら長い間構えていて、射はずした矢が、とんでもない方へ飛んでいったの。
意訳
「あさまし」は、思いがけないことにあきれて驚く気持ち。牛車がひっくり返る驚き、恋人を待ちながら寝入ってしまい、烏の声で目覚めたら昼だったという失敗、賭弓で長々と狙ったあげく矢があらぬ方へ飛んでいく場面。思いがけない出来事に呆然とする瞬間を、ユーモラスに描いている。
語釈・文法注
- あさましき
- 「あさまし」の連体形。意外なことに驚きあきれる。良い意味にも悪い意味にも用いる。
文法
- 「おほのかなる」
- 大きく、どっしりとした。
- 「あやなし」
- わけがわからない、筋が通らない。
- 「のりゆみ」
- 賭弓(のりゆみ)。正月十八日に行われた弓の競技。
解説
あきれるほど驚くものを挙げた類聚的章段である。恋人を待ちながら寝入ってしまう場面は、作者の実体験を思わせ、自分の失敗も笑いの種にしてしまう率直さがある。
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出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、247–248頁(コマ126–127)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日