枕草子 第88段 類聚的章段
なまめかしきもの
優美なものとして、ほっそりした公達の直衣姿、汗衫を着た童女、几帳のかげで手習いをする若い女房、薄様の草子、端午の節句の菖蒲の蔵人、臨時の祭の舞人、五節の童女などを挙げる。

- 1なまめかしきなまめかしきなまめかしきものものもの題
- 2ほそやかほそやかほそやかにににきよげきよげきよげなるなるなるきんだちきんだちきんだちののの直衣直衣のうしすがたすがたすがた、、、をかしげをかしげおかしげなるなるなる童童わらわ女女めのののうへうへうえのののはかまはかまはかまなどなどなどわざとわざとわざとにににはははあらあらあらででで、、、ほころびほころびほころびがちがちがちなるなるなるかざみかざみかざみばかりばかりばかり着着きてててくすだまくすだまくすだまなどなどなど長長ながくくくつけつけつけてててかうらんかうらんこうらんのののもともともとににに扇扇おうぎさしさしさしかくしかくしかくしててて居居いたるたるたる。。。若若わかききき人人ひとのののをかしげをかしげおかしげなるなるなる夏夏なつののの凡凡き帳帳ちょうのののしたしたしたうちうちうち懸懸かけけけててて、、、しろきしろきしろき綾綾あやふたふたふたあゐあゐあい引引ひききき重重かさねねねててて手手てならひならひならいしししたるたるたる。。。うすうすうすえふえふようののの草草そう紙紙しむらごむらごむらごののの糸糸いとしししてててをかしくをかしくおかしくとぢとぢとじたるたるたる。。。柳柳やなぎのののもえもえもえたるたるたるににに靑靑あおきききうすうすうすえふえふようににに書書かきききたるたるたる文文ふみつけつけつけたるたるたる。。。ひげこひげこひげこのののをかしうをかしうおかしゅう染染そめめめたるたるたるごごごえふえふようののの枝枝えだにににつけつけつけたるたるたる。。。三三みへへえがさねがさねがさねののの扇扇おうぎいついついつへへへはははあまりあまりあまりあつくあつくあつくなりなりなりてててもともともとなどなどなどにくげにくげにくげなりなりなり。。。よくよくよくしししたるたるたるひわりごひわりごひわりご、、、白白しろきききくみくみくみのののほそきほそきほそき。。。新新あたらしくしくしくもももなくなくなくててていたくいたくいたくふりふりふりてててもももなきなきなきひはだひはだひわだやややにににさうぶさうぶそうぶうるはしくうるはしくうるわしくふきふきふきわたしわたしわたしたるたるたる。。。靑靑あおやかやかやかなるなるなるみすみすみすのののしたしたしたよりよりより、、、くちきがたくちきがたくちきがたのののあざやかあざやかあざやかににに、、、ひもひもひもいといといとつやゝかつやゝかつややかにてにてにてかゝりかゝりかかりたるたるたる。。。ひもひもひもののの吹吹ふきききなびかなびかなびかされされされたるたるたるもももをかしをかしおかし。。。夏夏なつのののもかうもかうもこうのののあざやかあざやかあざやかなるなるなるすすすのののとととののの高高こう欄欄らんのののわたりわたりわたりにににいといといとをかしげをかしげおかしげなるなるなるねこねこねこののの、、、赤赤あかきききくびくびくびつなつなつなににに白白しろきききふだふだふだつきつきつきててて碇碇いかりののの緒緒おくひくひくいつきつきつきててて引引ひきききありくありくありくもももなまめいなまめいなまめいたりたりたり。。。五月五月ごがつのののせちせちせちのののあやめあやめあやめののの藏藏くら人人うど、、、さうぶさうぶそうぶのののかづらかづらかずら、、、あかあかあかひもひもひもののの色色いろにににはははあらあらあらぬぬぬをををひれひれひれくたいくたいくたいなどなどなどしししてててくすだまくすだまくすだまをををみこみこみこたちたちたち上上かん達達だち部部めなどなどなどののの立立たちちちなみなみなみたまへたまへたまえるるるににに奉奉たてまつるるるもももいみじういみじういみじゅうなまめかしなまめかしなまめかし。。。取取とりりりててて腰腰こしにににひきひきひきつけつけつけててて舞舞ぶ踏踏とうししし拜拜はいしししたまふたまふたまうもももいといといとをかしをかしおかし。。。ひとりひとりひとりのののわらはわらはわらわ。。。をみをみおみののの君君きん達達だちもももいといといとなまめかしなまめかしなまめかし。。。六六ろく位位いののの靑靑あお色色いろのののとのゐとのゐとのいすがたすがたすがた、、、臨臨りん時時じののの祭祭まつりののの舞舞まい人人びと。。。五五ご節節せちのののわらはわらはわらわなまめかしなまめかしなまめかし。。。
現代語訳
優美なもの。
ほっそりとしてきれいな公達の直衣姿。かわいらしい童女が、表袴などをわざわざ着けるのではなく、ほころびがちな汗衫だけを着て、薬玉などを長く垂らして、高欄のもとで扇で顔を隠して座っているの。若い女房のかわいらしいのが、夏の几帳の帷子の下に体をもたせかけて、白い綾の衣に二藍の衣を重ねて、手習いをしているの。薄様の草子を、斑濃の糸で趣深く綴じたの。芽吹いた柳に、青い薄様に書いた手紙を付けたの。鬚籠のきれいに染めたのを、五葉の松の枝に付けたの。三重がさねの扇。五重がさねは、あまり厚くなって、根元などが見苦しい。上手に作った檜破子。白い組紐の細いもの。新しすぎず、ひどく古びてもいない檜皮葺きの屋根に、菖蒲をきちんと一面に葺いてあるの。青々とした御簾の下から、几帳の朽木形の模様が鮮やかで、紐もたいそうつややかに掛かっているの。紐が風に吹きなびいているのも趣がある。夏の帽額の鮮やかな御簾の外の高欄のあたりで、たいそうかわいらしい猫が、赤い首綱に白い札をつけて、碇の緒をくわえて引きずって歩くのも優美だ。五月の節句の菖蒲の蔵人が、菖蒲の鬘をつけ、赤紐の色とは違う領巾や裙帯などを着けて、薬玉を親王たちや上達部などが立ち並んでいらっしゃるところに差し上げるのも、たいそう優美だ。受け取って腰に結びつけて、舞踏して拝礼なさるのも、たいそう趣がある。火取りの童。小忌の公達もたいそう優美だ。六位の蔵人の青色の宿直姿。臨時の祭の舞人。五節の童女は優美だ。
意訳
「なまめかし」は、若々しくみずみずしい、優美で上品な美しさを言う。ほっそりした公達の姿、無造作に汗衫を着た童女、几帳のかげで手習いをする若い女房、薄様の紙で作った草子、菖蒲を葺いた屋根、碇の緒をくわえて歩く猫。華美ではなく、さりげない中に品のある美しさが集められている。
語釈・文法注
文法
- 「ひげこ」
- 鬚籠。竹で編んだ籠で、編み残しの端をひげのように出したもの。
- 「ひはだや」
- 檜皮葺きの屋根。
- 「くちきがた」
- 朽木形。几帳の帷子などに用いた、朽ちた木の模様。
- 「をみの君達」
- 小忌の公達。大嘗祭・新嘗祭などで小忌衣(青摺りの衣)を着て奉仕する公達。
解説
優美なものを挙げた類聚的章段で、さまざまな衣装や調度、人の姿が並べられている。「なまめかし」は、現代語の「色っぽい」とは異なり、若々しく清新で上品な美しさを表す語である。
碇の緒をくわえて歩く猫の描写は、宮中で猫が飼われていた様子を伝える貴重な一文でもある。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、240頁(コマ123)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日