古典ライブラリー

枕草子 第86段 日記的章段

雪山の段(しはすの十余日のほどに)

十二月、職の御曹司の庭に大きな雪山を作る。いつまで残るか賭けになり、作者は「正月十五日まで」と言い張る。雪山は年を越しても消えず、作者は番人まで置いて見守るが、十五日の朝には消えていた。実は定子が前夜ひそかに取り捨てさせていたのだった。

冬の職の御曹司の庭に、侍たちが雪を高く積み上げて大きな雪山を作り、縁側から女房たちが見守っている場面。
冬の職の御曹司の庭に、侍たちが雪を高く積み上げて大きな雪山を作り、縁側から女房たちが見守っている場面。
  1. 1さてさてさてしはすしはすしわすののの十とを十とをとおよよよ日か日かかのののほどほどほどににに、、、雪ゆき雪ゆきゆきいといといと高たか高たかたこうううふりふりふりたるたるたるををを、、、女房にようばう女房にようばうにょうぼうどもどもどもなどなどなどしししてててものものものゝゝのふたふたふたににに入い入いいれれれつゝつゝつついといといと多おほ多おほおおくくくおくおくおくををを「「「おなじくおなじくおなじくははは庭には庭にはにわにににまことまことまことののの山やま山やまやまををを作つく作つくつくらせらせらせ侍はべ侍はべはべらららむむん」」」とてとてとてさぶらひさぶらひさぶらい召め召めめしししててて「「「仰おほ仰おほおおせせせ事ごと事ごとごとにてにてにて」」」ととといへいへいえばばば、、、あつまりあつまりあつまりてててつくるつくるつくるににに、、、とのもりとのもりとのもりづかさづかさづかさののの人ひと人ひとひとにてにてにて御み御みみきよめきよめきよめににに參まゐ參まゐまいりりりたるたるたるなどなどなどももも皆みな皆みなみなよりよりよりててていといといと高たか高たかたかくくくつくりつくりつくりなすなすなす。。。宮みや宮みやみやづかさづかさづかさなどなどなど參まゐ參まゐまいりりり集あつ集あつあつまりまりまりてててことことことくはへくはへくわえことことことにににつくれつくれつくればばば、、、所ところ所ところところののの衆しゆ衆しゆしゅ三さん三さんさん四し四しし人にん人にんにん參まゐ參まゐまいりりりたるたるたる。。。殿との殿とのとの守もり守もりもりづかさづかさづかさののの人ひと人ひとひとももも二に二にに十じふ十じふじゅう人にん人にんにんばかりばかりばかりににになりなりなりにににけりけりけり。。。里さと里さとさとなるなるなるさぶらひさぶらひさぶらい召め召めめしししににに遣つかは遣つかはつかわしししなどなどなどすすす。。。「「「今日けふ今日けふきょうこのこのこの山やま山やまやまつくるつくるつくる人ひと人ひとひとにににははは祿ろく祿ろくろく賜たま賜たまたまはすはすわすべしべしべし。。。雪ゆき雪ゆきゆき山やま山やまやまににに參まゐ參まゐまいらららざらざらざらむむん人ひと人ひとひとにににははは同おな同おなおなじじじからからからずずずとゞめとゞめとどめむむん」」」などなどなどいへいへいえばばば、、、聞き聞きききききつけつけつけたるたるたるはははまどひまどひまどいまゐるまゐるまいるもももありありあり。。。里さと里さとさと遠とほ遠とほとおきききはははえええ告つ告つつげげげやらやらやらずずず。。。作つく作つくつくりりりはてはてはてつれつれつればばば宮みや宮みやみやづかさづかさづかさ召め召めめしししてててきぬきぬきぬ二ふた二ふたふたゆひゆひゆいとらとらとらせせせてててえんえんえんににに投な投ななげげげ出い出いいづるづるずるををを、、、ひとつひとつひとつづゝづゝずつとりとりとりににによりよりよりててて、、、をがみをがみおがみつゝつゝつつ腰こし腰こしこしにににさしさしさしててて皆みな皆みなみなまかでまかでまかでぬぬぬ。。。うへうへうえのののきぬきぬきぬなどなどなど着き着ききたるたるたるはははかたへかたへかたえさらさらさらででで狩かり狩かりかり衣ぎぬ衣ぎぬぎぬにてにてにてぞぞぞあるあるある。。。
  2. 2「「「これこれこれいついついつまでまでまでありありありなななむむん」」」ととと人々ひとびと人々ひとびとひとびとののの給たま給たまたまはするはするわするににに「「「十じふ十じふじゅう餘よ餘よよ日にち日にちにちはははありありありなななむむん」」」唯ただ唯ただただこのこのこの頃ころ頃ころころののの程ほど程ほどほどをををあるあるある限かぎ限かぎかぎりりり申まう申まうもうせせせばばば「「「いかにいかにいかに」」」ととと問と問ととはははせせせ給たま給たまたまへへえばばば、、、「「「むむむ月つき月つきつきののの十じふ十じふじゅう五日ごにち五日ごにちごにちまでまでまで候さぶら候さぶらさぶらひひいなななむむん」」」ととと申まう申まうもうすすすををを、、、御お御おお前まへ前まへまえにににもももえええさささはははあらあらあらじじじとととおぼすおぼすおぼすめりめりめり。。。女房にようばう女房にようばうにょうぼうなどなどなどはははすべてすべてすべて「「「年とし年としとしののの內うち內うちうちつごもりつごもりつごもりまでまでまでもももあらあらあらじじじ」」」とととのみのみのみ申まう申まうもうすすすににに、、、餘あま餘あまあまりりり遠とほ遠とほとおくくくももも申まう申まうもうしししてててけるけるけるかなかなかな、、、げにげにげにえええしもしもしもさささはははあらあらあらざらざらざらむむん、、、ついたちついたちついたちなどなどなどぞぞぞ申まう申まうもうすすすべかりべかりべかりけるけるけるととと下した下したしたにににはははおもへおもへおもえどどど「「「さばれさばれさばれさささまでまでまでなくなくなくととと言い言いいひひいそめそめそめてててむむんことことことははは」」」とてとてとてかたうかたうかとうあらがひあらがひあらがいつつつ。。。二は二はは十つ十つつ日か日かかのののほどほどほどににに雨あめ雨あめあめなどなどなど降ふ降ふふれれれどどど消き消ききゆゆゆべくべくべくもももなしなしなし。。。たけたけたけぞぞぞ少すこ少すこすこしししおとりおとりおとりもてもてもてゆくゆくゆく。。。「「「白しら白しらしら山やま山やまやまののの觀くわん觀くわんかん音おん音おんおんこれこれこれきやさきやさきやさせせせ給たま給たまたまふふうななな」」」ととと祈いの祈いのいのるるるももも物もの物ものものぐるほしぐるほしぐるおし。。。さてさてさてそのそのその山やま山やまやまつくりつくりつくりたるたるたる日ひ日ひひ、、、式しき式しきしき部ぶ部ぶぶのののぞうぞうぞうたゞたかたゞたかただたか御おほん御おほんおおん使つかひ使つかひつかいにてにてにて參まゐ參まゐまいりりりたれたれたればばば、、、しとねしとねしとねさしさしさし出いだ出いだいだししし、、、物もの物ものものなどなどなどいふいふいうににに「「「けふけふきょうののの雪ゆき雪ゆきゆき山やま山やまやまつくらつくらつくらせせせ給たま給たまたまははわぬぬぬ所ところ所ところところなむなむなんなきなきなき。。。御お御おお前まへ前まへまえのののつぼつぼつぼにににももも作つく作つくつくらせらせらせ給たま給たまたまへへえりりり。。。春とう春とうとう宮ぐう宮ぐうぐうにににももも弘こ弘ここ徽き徽きき殿でん殿でんでんにににもももつくらつくらつくらせせせ給たま給たまたまへへえりりり。。。京きやう京きやうきょう極ごく極ごくごく殿どの殿どのどのにににもももつくらつくらつくらせせせ給たま給たまたまへへえりりり」」」などなどなどいへいへいえばばば、、、
  3. 3「「「こゝこゝここにににのみのみのみめづらしめづらしめずらしととと見み見みみるるる雪ゆき雪ゆきゆきののの山やま山やまやまところどころところどころところどころにににふりふりふりにににけるけるけるかなかなかな」」」歌
  4. 4とととかたはらかたはらかたわらなるなるなる人ひと人ひとひとしししててていはいはいわすれすれすればばば、、、たびたびたびたびたびたび傾かた傾かたかたぶきぶきぶきててて、、、「「「返かへ返かへかえしししはははえええ仕つか仕つかつかうまつりうまつりうまつりけがさけがさけがさじじじ。。。あざれあざれあざれたりたりたり。。。みすみすみすののの前まへ前まへまえにてにてにて人ひと人ひとひとにににをををかたりかたりかたり侍はべ侍はべはべらららむむん」」」とてとてとてたちたちたちにににききき。。。歌うた歌うたうたはははいみじくいみじくいみじく好この好このこのむむむととと聞き聞きききききしししにににあやしあやしあやし。。。御お御おお前まへ前まへまえにににきこしめしきこしめしきこしめしててて「「「いみじくいみじくいみじくよくよくよくとととぞぞぞ思おも思おもおもひひいつつつらむらむらん」」」とととぞぞぞのたまはするのたまはするのたまわする。。。つもごりつもごりつもごりがたがたがたににに少すこ少すこすこしししちひさくちひさくちいさくなるなるなるやうやうようなれなれなれどどど猶なほ猶なほなおいといといと高たか高たかたかくくくてててあるあるあるににに、、、晝ひる晝ひるひるつつつ方かた方かたかた椽えん椽えんえんににに人々ひとびと人々ひとびとひとびと出い出いいでででゐゐいなどなどなどしししたるたるたるににに、、、常ひた常ひたひた陸ち陸ちちののの介すけ介すけすけ出い出いいででできききたりたりたり。。。「「「などなどなどいといといと久ひさ久ひさひさしくしくしく見み見みみえええざりざりざりつるつるつる」」」ととといへいへいえばばば、、、「「「なにかなにかなにか、、、いといといと心こころ心こころこころ憂う憂ううききき事こと事ことことののの侍はべ侍はべはべりりりしかしかしかばばば」」」ととといふいふいうににに、、、「「「いかにいかにいかに、、、何なに何なになに事ごと事ごとごとぞぞぞ」」」ととと問と問ととふふうににに、、、「「「猶なほ猶なほなおかくかくかく思おも思おもおもひひい侍はべ侍はべはべりりりしししなりなりなり」」」とてとてとてながやかながやかながやかににによみよみよみ出い出いいづづず、、、
  5. 5「「「うらやましうらやましうらやまし足あし足あしあしもももひかひかひかれれれずずずわたつうみわたつうみわたつうみのののいかなるいかなるいかなるあまあまあまににに物もの物ものものたまふたまふたまうらむらむらん歌
  6. 6とととなむなむなん思おも思おもおもひひい侍はべ侍はべはべりりりししし」」」ととといふいふいうをををにくみにくみにくみ笑わら笑わらわらひひいててて、、、人ひと人ひとひとののの、、、目め目めめももも見み見みみいれいれいれねねねばばば、、、雪ゆき雪ゆきゆきののの山やま山やまやまにににのぼりのぼりのぼりかゝづらひかゝづらひかかずらいありきありきありきててていぬるいぬるいぬるのちのちのちににに、、、右う右うう近こん近こんこんののの內ない內ないない侍し侍ししにににかくかくかくなむなむなんととと言い言いいひひいやりやりやりたれたれたればばば「「「などなどなどかかか人ひと人ひとひとそへそへそえてててこゝこゝここにににははは賜たま賜たまたまははわせせせざりざりざりししし。。。かれかれかれがががはしたなくはしたなくはしたなくててて雪ゆき雪ゆきゆきののの山やま山やまやままでまでまでかゝりかゝりかかりつたひつたひつたいけむけむけんこそこそこそいといといと悲かな悲かなかなしけれしけれしけれ」」」とととあるあるあるををを、、、又また又またまたわらふわらふわらう。。。ゆきゆきゆき山やま山やまやまはははつれなくつれなくつれなくててて年とし年としとしもももかへりかへりかえりぬぬぬ。。。ついたちついたちついたちののの日ひ日ひひ又また又またまた雪ゆき雪ゆきゆき多おほ多おほおおくくくふりふりふりたるたるたるををを、、、うれしくうれしくうれしくももも降ふ降ふふりりり積つ積つつみみみたるたるたるかなかなかなととと思おも思おもおもふふうににに「「「これこれこれはははあいなしあいなしあいなし。。。初はじめ初はじめはじめのののをををばばばおきおきおきててて今いま今いまいまのののをををばばばかきかきかき棄す棄すすてててよよよ」」」ととと仰おほ仰おほおおせせせらるらるらる。。。うへうへうえにてにてにて局つぼね局つぼねつぼねへへへいといといととうとうとうおるれおるれおるればばば侍さぶらひ侍さぶらひさぶらいのののをさをさおさなるなるなるものものもの、、、ゆのはゆのはゆのはののの如ごと如ごとごとくくくなるなるなるとのゐとのゐとのいぎぬぎぬぎぬののの袖そで袖そでそでののの上うへ上うへうえににに靑あを靑あをあおききき紙かみ紙かみかみののの松まつ松まつまつにににつけつけつけたるたるたるをををおきおきおきてててわなゝきわなゝきわななき出い出いいでででたりたりたり。。。「「「そそそはははいづこいづこいずこのののぞぞぞ」」」ととと問と問ととへへへばばば「「「齋さい齋さいさいよりよりより」」」ととといふいふいうににに、、、ふとふとふとめでたくめでたくめでたく覺おぼ覺おぼおぼえええててて取と取ととりりりててて參まゐ參まゐまいりりりぬぬぬ。。。まだまだまだおほとのごもりおほとのごもりおおとのごもりたれたれたればばば母も母もも屋や屋ややにににあたりあたりあたりたるたるたるみかうしみかうしみこうしおこなはおこなはおこなわむむんなどなどなど、、、かきかきかきよせよせよせててて一ひと一ひとひと人り人りり念ねん念ねんねんじじじてててあぐるあぐるあぐる、、、いといといと重おも重おもおもししし。。。片かた片かたかたつかたつかたつかたなけれなけれなければばばひしめくひしめくひしめくにににおどろかおどろかおどろかせせせ給たま給たまたまひひいててて「「「などなどなどさささはははするするする」」」とととののの給たま給たまたまはすれはすれわすればばば「「「齋さい齋さいさい院ゐん院ゐんいんよりよりより御おほん御おほんおおん文ふみ文ふみふみののの候さぶら候さぶらさぶらははわむむんにににはははいかでいかでいかでかかか急いそ急いそいそぎぎぎあけあけあけ侍はべ侍はべはべらららざらざらざらむむん」」」ととと申まう申まうもうすすすににに、、、「「「げにげにげにいといといととかりとかりとかりけりけりけり」」」とてとてとて起お起おおきききさせさせさせ給たま給たまたまへへえりりり。。。御おほん御おほんおおん文ふみ文ふみふみあけあけあけさせさせさせ給たま給たまたまへへえれれればばば、、、五ご五ごご寸すん寸すんすんばかりばかりばかりなるなるなる卯う卯うう槌づち槌づちずち二ふた二ふたふたつつつををを卯う卯うう杖づゑ杖づゑづえのののさまさまさまにににかしらかしらかしらつゝみつゝみつつみなどなどなどしししててて山やま山やまやまたちばなたちばなたちばな、、、ひかげひかげひかげ、、、やまやまやますげすげすげなどなどなどうつくしげうつくしげうつくしげににに飾かざ飾かざかざりりりててて御おほん御おほんおおん文ふみ文ふみふみはははなしなしなし。。。「「「唯ただ唯ただただなるなるなるやうやうようあらあらあらむむんやはやはやは」」」とてとてとて御ご御ごご覽らん覽らんらんずれずれずればばば、、、うづちうづちうずちののの頭かしら頭かしらかしらつゝみつゝみつつみたるたるたるちひさきちひさきちいさき紙かみ紙かみかみににに、、、
  7. 7「「「山やま山やまやまとよむとよむとよむ斧をの斧をのおののののひゞきひゞきひびきをををたづぬれたづぬれたずぬればばばいはひいはひいわいののの杖つゑ杖つゑつえのののおとおとおとにににぞぞぞありありありけるけるける」」」。。。歌
  8. 8御おほん御おほんおおん返かへ返かへかえしししかゝかゝかかせせせ給たま給たまたまふふうほどほどほどもももいといといとめでたしめでたしめでたし。。。齋さい齋さいさい院ゐん院ゐんいんにににはははこれこれこれよりよりより聞きこ聞きこきこえええさせさせさせ給たま給たまたまふふう。。。御おほん御おほんおおん返かへ返かへかえしししももも猶なほ猶なほなお心こころ心こころこころことことことにににかきかきかきけがしけがしけがし、、、多おほ多おほおおくくく御おほん御おほんおおん用よう用ようよう意い意いい見み見みみえええたるたるたる。。。御おほん御おほんおおん使つかひ使つかひつかいににに白しろ白しろしろききき織おり織おりおり物もの物ものもののののひとへひとへひとえすはうすはうすおうなるなるなるははは梅むめ梅むめうめなななめりめりめりかしかしかし、、、雪ゆき雪ゆきゆきののの降ふ降ふふりりりしきしきしきたるたるたるににに、、、かづきかづきかずきてててまゐるまゐるまいるもももをかしうをかしうおかしゅう見み見みみゆゆゆ。。。このこのこのたびたびたびののの御おほん御おほんおおんかへりかへりかえりごとごとごとををを知し知ししらららずずずなりなりなりにににしししこそこそこそくちをしかりくちをしかりくちおしかりしかしかしか。。。雪ゆき雪ゆきゆきののの山やま山やまやまはははまことまことまことにににこしこしこしのののにににやややあらあらあらむむんととと見み見みみえええててて消き消ききえええげげげもももなしなしなし。。。くろくくろくくろくなりなりなりててて見み見みみるるるかひかひかいもももなきなきなきさまさまさまぞぞぞしししたるたるたる。。。勝か勝かかちちちぬるぬるぬる心ここ心ここここちちちしししててていかでいかでいかで十じふ十じふじゅう五日ごにち五日ごにちごにちまちまちまちつけつけつけさせさせさせむむんととと念ねん念ねんねんずれずれずれどどど、、、「「「七なぬ七なぬなぬ日か日かかをををだにだにだにえええ過す過すすぐさぐさぐさじじじ」」」ととと猶なほ猶なほなおいへいへいえばばば、、、いかでいかでいかでこれこれこれ見み見みみはてはてはてむむんととと皆みな皆みなみな人ひと人ひとひと思おも思おもおもふふう程ほど程ほどほどににに、、、俄にはか俄にはかにわかににに三み三みみ日か日かか內うち內うちうちへへへ入い入いいらららせせせ給たま給たまたまふふうべしべしべし。。。いみじういみじういみじゅう口くち口くちくちをしくをしくおしくこのこのこの山やま山やまやまのののはてはてはてををを知し知ししらららずずずなりなりなりなななむむん事こと事ことことととと、、、まめやかまめやかまめやかににに思おも思おもおもふふう程ほど程ほどほどににに、、、人ひと人ひとひとももも「「「げにげにげにゆかしかりゆかしかりゆかしかりつるつるつるものものものををを」」」などなどなどいふいふいう。。。御お御おおまへまへまえにににももも仰おほ仰おほおおせせせらるらるらる。。。同おな同おなおなじくじくじくはははいひいひいいあてゝあてゝあてて御ご御ごご覽らん覽らんらんぜぜぜさせさせさせむむんととと思おも思おもおもへへえるるるかひかひかいなけれなけれなければばば、、、御おほん御おほんおおん物もの物ものものののの具ぐ具ぐぐはこびはこびはこび、、、いみじういみじういみじゅうさわがしきさわがしきさわがしきにににあはせあはせあわせててて、、、こもりこもりこもりととといふいふいう者もの者ものもののののついぢついぢついじののの程ほど程ほどほどににに廂ひさし廂ひさしひさしさしさしさしててて居ゐ居ゐいたるたるたるをををえんえんえんのののもともともと近ちか近ちかちかくくく呼よ呼よよびびびよせよせよせててて「「「このこのこの雪ゆき雪ゆきゆきののの山やま山やまやまいみじくいみじくいみじく守まも守まもまもりりりてててわらはべわらはべわらわべなどなどなどににに踏ふ踏ふふみみみちらさちらさちらさせせせこぼたこぼたこぼたせせせででで十じふ十じふじゅう五日ごにち五日ごにちごにちまでまでまで侍さぶら侍さぶらさぶらははわせせせ。。。よくよくよく守まも守まもまもりりりてててそのそのその日ひ日ひひにににあたらあたらあたらばばばめでたきめでたきめでたき祿ろく祿ろくろくたまはたまはたまわせせせむむんとととすすす。。。わたくしわたくしわたくしにににももも、、、いみじきいみじきいみじきよろこびよろこびよろこびいはいはいわむむん」」」などなどなど語かた語かたかたらひらひらいててて常つね常つねつねににに臺だい臺だいだい盤ばん盤ばんばん所どころ所どころどころののの人ひと人ひとひと、、、げすげすげすなどなどなどにににこひこひこいてててくるゝくるゝくるるくだものくだものくだものややや何なに何なになにやややととと、、、いといといと多おほ多おほおおくくくとらせとらせとらせたれたれたればばばうちうちうち笑ゑ笑ゑえみみみててて「「「いといといとやすきやすきやすきととと、、、たしかたしかたしかににに守まも守まもまもりりり侍はべ侍はべはべらららむむん。。。わらはべわらはべわらわべなどなどなどぞぞぞのぼりのぼりのぼり侍はべ侍はべはべらららむむん」」」ととといへいへいえばばば「「「それそれそれをををせいしせいしせいしててて聞き聞ききかかかざらざらざらむむんものものものははは事こと事ことことのののよしよしよしををを申まう申まうもうせせせ」」」などなどなどいひいひいい聞き聞ききかかかせせせててて入い入いいらららせせせ給たま給たまたまひひいぬれぬれぬればばば、、、七なぬ七なぬなぬ日か日かかまでまでまで侍さぶら侍さぶらさぶらひひいててて出い出いいでででぬぬぬ。。。
  9. 9そのそのそのほどほどほどもももこれこれこれがががうしろめたきうしろめたきうしろめたきまゝまゝままににに、、、おほやけおほやけおおやけ人びと人びとびと、、、すましすましすまし、、、をさめをさめおさめなどなどなどしししててて、、、絕た絕たたえええずずずいましめいましめいましめにににやりやりやり、、、七なぬ七なぬなぬ日か日かかののの御お御おお節せ節せせ供く供くくのののおろしおろしおろしなどなどなどをををやりやりやりたれたれたればばば、、、拜をが拜をがおがみみみつるつるつることことことなどなどなど、、、かへりかへりかえりてててははは笑わら笑わらわらひひいあへあへあえりりり。。。里さと里さとさとにてにてにてもももあくるあくるあくるすなはちすなはちすなわちこれこれこれををを大だい大だいだい事じ事じじにににしししててて見み見みみせせせにににやるやるやる。。。十とを十とをとお日か日かかのののほどほどほどにににははは、、、五ご五ごご六ろく六ろくろく尺しやく尺しやくしゃくばかりばかりばかりありありありととといへいへいえばばば、、、うれしくうれしくうれしく思おも思おもおもふふうににに、、、十じふ十じふじゅう三さん三さんさん日にち日にちにちののの夜よ夜よよ雨あめ雨あめあめいみじくいみじくいみじく降ふ降ふふれれればばば、、、これこれこれにににぞぞぞ消き消ききえええぬぬぬらむらむらんととといみじういみじういみじゅう口くち口くちくちをしをしおし。。。「「「今いま今いまいまひとひとひと日ひ日ひひもももまちまちまちつけつけつけででで」」」とととよるよるよるももも起お起おおききき居ゐ居ゐいててて歎なげ歎なげなげけけけばばば聞き聞ききくくく人ひと人ひとひとももも「「「物もの物ものものくるほしくるほしくるおし」」」ととと笑わら笑わらわらふふう。。。人ひと人ひとひとののの起お起おおきききててて行ゆ行ゆゆくくくにににやがてやがてやがて起お起おおききき居ゐ居ゐいてててげすげすげすおこさおこさおこさするするするににに、、、更さら更さらさらににに起お起おおきききねねねばばばにくみにくみにくみ腹はら腹はらはらだゝだゝだたれれれててて起お起おおきききいでいでいでたるたるたるををを遣や遣ややりりりててて見み見みみすれすれすればばば「「「わらふだわらふだわろうだばかりばかりばかりににになりなりなりててて侍はべ侍はべはべるるる。。。こもりこもりこもりいといといとかしこうかしこうかしこうわらはべわらはべわらわべももも寄よ寄よよせせせででで守まも守まもまもりりりてててあすあすあすあさてあさてあさてまでまでまでももも侍さぶら侍さぶらさぶらひひいぬぬぬべしべしべし、、、祿ろく祿ろくろく賜たま賜たまたまはらはらわらむむんととと申まう申まうもうすすす」」」ととといへいへいえばばば、、、いみじくいみじくいみじくうれしくうれしくうれしく、、、いつしかいつしかいつしかあすあすあすにににならならならばばば、、、いといといととうとうとう歌うた歌うたうたよみよみよみててて物もの物ものものににに入い入いいれれれてててまゐらせまゐらせまいらせむむんととと思おも思おもおもふふうもももいといといと心こころ心こころこころもとなうもとなうもとのうわびしうわびしうわびしゅう、、、まだまだまだくらきくらきくらきににに、、、大おほ大おほおおきききなるなるなるをりをりおりびつびつびつなどなどなどもたもたもたせせせててて「「「これこれこれにににしろからしろからしろからむむん所ところ所ところところひたひたひたものものもの入い入いいれれれてててもてもてもてこここ。。。きたなげきたなげきたなげならならならむむんはははかきかきかき捨す捨すすてゝてゝてて」」」などなどなど、、、言い言いいひひいくゝめくゝめくくめててて遣や遣ややりりりたれたれたればばば、、、いといといととくとくとくもたもたもたせせせてててやりやりやりつるつるつる物もの物ものものひきひきひきさげさげさげててて「「「はやうはやうはよう失う失ううせせせ侍はべ侍はべはべりりりにににけりけりけり」」」ととといふいふいうににに、、、いといといとあさましあさましあさまし。。。をかしうをかしうおかしゅうよみよみよみ出い出いいでゝでゝでて人ひと人ひとひとにににももも語かた語かたかたりりりつたへつたへつたえさせさせさせむむんとととうめきうめきうめきずんじずんじずんじつるつるつる歌うた歌うたうたもももいといといとあさましくあさましくあさましくかひかひかいなくなくなく「「「いかにいかにいかにしししつるつるつるならならならむむん。。。きのふきのふきのうさばかりさばかりさばかりありありありけむけむけん物もの物ものものをををよよよのののほどほどほどににに消き消ききえええぬぬぬらむらむらんことことこと」」」ととと言い言いいひひいくんずれくんずれくんずればばば、、、こもりこもりこもりががが申まう申まうもうしししつるつるつるははは「「「きのふきのふきのういといといと暗くら暗くらくろうううなるなるなるまでまでまで侍はべ侍はべはべりりりききき。。。祿ろく祿ろくろくをををたまはらたまはらたまわらむむんととと思おも思おもおもひひいつるつるつるものものものををを、、、たまはらたまはらたまわらずずずなりなりなりぬるぬるぬる事こと事ことことととと手て手ててをををうちうちうちててて申まう申まうもうししし侍はべ侍はべはべりりりつるつるつる」」」ととといひいひいいさわぐさわぐさわぐににに、、、
  10. 10うちうちうちよりよりより仰おほ仰おほおおせせせ事ごと事ごとごとありありありててて「「「さてさてさて雪ゆき雪ゆきゆきははは今日けふ今日けふきょうまでまでまでありありありつつつややや」」」とととのたまはのたまはのたまわせせせたれたれたればばば、、、いといといとねたくねたくねたく口くち口くちくちをしけれをしけれおしけれどどど「「「年とし年としとしのののうちうちうちついたちついたちついたちまでまでまでだにだにだにあらあらあらじじじととと人々ひとびと人々ひとびとひとびとけいしけいしけいし給たま給たまたまひひいししし。。。きのふきのふきのうののの夕ゆふ夕ゆふゆう暮ぐれ暮ぐれぐれまでまでまで侍はべ侍はべはべりりりしししをををいといといとかしこしかしこしかしこしとととなむなむなん思おも思おもおもひひい給たま給たまたまふるふるうる。。。けふけふきょうまでまでまではははあまりあまりあまりののの事こと事ことことににになむなむなん、、、夜よ夜よよのののほどほどほどににに人ひと人ひとひとのののにくがりにくがりにくがりててて取と取ととりりりすてすてすて侍はべ侍はべはべるるるにににやややとととなむなむなん推お推おおしししはかりはかりはかりはべるはべるはべるとととけいせけいせけいせさせさせさせ給たま給たまたまへへえ」」」ととと聞きこ聞きこきこえええさせさせさせつつつ。。。さてさてさて二は二はは十つ十つつ日か日かかににに參まゐ參まゐまいりりりたるたるたるにににももも、、、まづまづまずこのこのこの事こと事ことことををを御お御おお前まへ前まへまえにてにてにてもももいふいふいう。。。皆みな皆みなみな消き消ききえええつつつとてとてとてふたふたふたのののかぎりかぎりかぎりひきひきひきさげさげさげててて持も持ももてててきききたりたりたりつるつるつる、、、帽ぼう帽ぼうぼう子し子ししのののやうやうようにてにてにてすなはちすなはちすなわちまうでまうでもうで來き來ききたりたりたりつるつるつるがががあさましかりあさましかりあさましかりししし事こと事ことこと、、、物もの物ものもののののふたふたふたにににこここ山やま山やまやま美うつ美うつうつくしうくしうくしゅうつくりつくりつくりててて白しろ白しろしろききき紙かみ紙かみかみににに歌うた歌うたうたいみじくいみじくいみじく書か書かかきききててて參まゐ參まゐまいらせらせらせむむんとととせせせしししことことことなどなどなどけいすれけいすれけいすればばば、、、いみじくいみじくいみじく笑わら笑わらわらははわせせせ給たま給たまたまふふう。。。おまへおまへおまえなるなるなる人々ひとびと人々ひとびとひとびとももも笑わら笑わらわらふふうににに「「「かうかうこう心こころ心こころこころににに入い入いいれれれててて思おも思おもおもひひいけるけるける事こと事ことことをををたがへたがへたがえたれたれたればばば罪つみ罪つみつみ得う得ううらむらむらむ。。。まことまことまことにににははは四よ四よよ日か日かかののの夕ゆふ夕ゆふゆうさりさりさり、、、侍さぶらひ侍さぶらひさぶらいどもどもどもやりやりやりててて取と取ととりりりすてすてすてさせさせさせしししぞぞぞ。。。かへりかへりかえりごとごとごとにににいひいひいいあてあてあてたりたりたりしししこそこそこそをかしかりをかしかりおかしかりしかしかしか。。。そのそのその翁おきな翁おきなおきな出い出いいででできききててていみじういみじういみじゅう手て手ててをををすりすりすりててて言い言いいひひいけれけれけれどどど、、、おほせおほせおおせ事ごと事ごとごとぞぞぞ、、、かのかのかのよりよりより來き來ききたらたらたらむむん人ひと人ひとひとにににかうかうこうきかきかきかすすすななな、、、さらばさらばさらば、、、やややうちうちうちこぼたこぼたこぼたせせせむむんととといひいひいいててて、、、左さ左ささ近こん近こんこんのののつかさつかさつかさ、、、南みなみ南みなみみなみのののついぢついぢついじのののとととににに皆みな皆みなみな取と取ととりりりすてすてすてししし、、、いといといと高たか高たかたかくくくててて多おほ多おほおおくくくなむなむなんありありありつつつととといふいふいうなりなりなりしかしかしかばばば、、、げにげにげに二は二はは十つ十つつ日か日かかまでまでまでももも待ま待ままちちちつけつけつけてててようせようせようせずずずははは今こ今ここ年とし年としとしののの初はつ初はつはつ雪ゆき雪ゆきゆきにににももも降ふ降ふふりりりそひそひそいなななましましまし。。。うへうへうえにににももも聞きこ聞きこきこしししめしめしめしててていといといと思おも思おもおもひひいよりよりよりがたくがたくがたくあらがひあらがひあらがいたりたりたりととと殿上人てんじやうびと殿上人てんじやうびとてんじょうびとなどなどなどにににももも仰おほ仰おほおおせせせられられられけりけりけり。。。さてもさてもさても彼か彼かかののの歌うた歌うたうたをををかたれかたれかたれ。。。今いま今いまいまはははかくかくかく言い言いいひひいあらはしあらはしあらわしつれつれつればばば、、、同おな同おなおなじじじごとごとごとかちかちかちたりたりたり。。。かたれかたれかたれ」」」などなどなど御お御おおまへまへまえにににももものたまはのたまはのたまわせせせ、、、人々ひとびと人々ひとびとひとびとももものたまへのたまへのたまえどどど「「「なにせむになにせむになにせむにかかか、、、さばかりさばかりさばかりののの事こと事ことことををを承うけたまは承うけたまはうけたまわりりりながらながらながらけいしけいしけいし侍はべ侍はべはべらららむむん」」」などなどなどまめやかまめやかまめやかにににうくうくうく、、、心こころ心こころこころうううがれがれがればばば、、、うへうへうえももも渡わた渡わたわたらららせせせ給たま給たまたまひひいててて「「「まことまことまことににに年とし年としとしごろごろごろははは多おほ多おほおおくくくののの人ひと人ひとひとなななめりめりめりととと見み見みみつるつるつるををを、、、これこれこれにににぞぞぞあやしくあやしくあやしく思おも思おもおもひひいししし」」」などなどなど仰おほ仰おほおおせせせらるゝらるゝらるるににに、、、いとゞいとゞいとどつらくつらくつらくうちうちうちももも泣な泣ななきききぬぬぬべきべきべき心ここ心ここここちちちぞぞぞするするする。。。「「「いでいでいであはれあはれあわれいみじきいみじきいみじき世よ世よよののの中なか中なかなかぞぞぞかしかしかし。。。のちのちのちににに降ふ降ふふりりり積つ積つつみみみたりたりたりししし雪ゆき雪ゆきゆきをををうれしうれしうれしととと思おも思おもおもひひいしししををを、、、それそれそれはははあいなしあいなしあいなしとてとてとて、、、かきかきかき捨す捨すすてててよよよなどなどなど仰おほ仰おほおおせせせ事ごと事ごとごと侍はべ侍はべはべりりりしかしかしか」」」ととと申まう申まうもうせせせばばば、、、「「「げにげにげにかたかたかたせせせじじじとととおぼしおぼしおぼしけるけるけるならならならむむん」」」とととうへうへうえももも笑わら笑わらわらははわせせせおはしますおはしますおわします。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

さて、十二月の十日過ぎごろ、雪がたいそう高く降り積もったのを、女房たちなどが器の蓋に入れては、たくさん置いているので、「同じことなら、庭に本物の山を作らせましょう」と言って、侍を呼んで「中宮様のお言いつけで」と言うと、集まって作るのに、主殿寮の役人で御清掃に参上している者なども、みな寄ってきてたいそう高く作り上げる。中宮職の役人なども参上して集まって、口出しをして、いっそう念入りに作るので、蔵人所の衆も三、四人参上している。主殿寮の人も二十人ほどになった。里に下がっている侍を呼びに使いをやったりもする。「今日この山を作る人には褒美をくださるだろう。雪山作りに参上しない人には、同じようにはくださらず、止めてしまおう」などと言うと、聞きつけた者はあわてて参上するのもいる。里の遠い者には知らせることもできない。作り終わったので、中宮職の役人を呼んで、衣を二包み与えさせて縁側に投げ出すと、一つずつ取りに寄ってきて、拝みながら腰に差して、みな退出した。袍などを着ている者は、そうはしないで狩衣姿でいる。', '「これはいつまで残っているでしょうね」と、中宮様が女房たちにおっしゃると、「十日あまりはあるでしょう」と、ただこの数日ほどの見当を、みなが申し上げるので、「あなたはどう」と私にお尋ねになるので、「正月の十五日まではございましょう」と申し上げたのを、中宮様もとてもそうはいくまいとお思いのようだ。女房たちはみな「年内の大晦日まででさえもたないでしょう」とばかり申し上げるので、あまりに先のことを申し上げてしまったなあ、本当にそこまではもつまい、元日などと申し上げるべきだったと、内心では思うけれど、「どうなろうと、そこまではもたなくても、言い出してしまったことは」と思って、強く言い張った。二十日ごろに雨などが降ったけれど、消えそうにもない。丈が少し低くなっていく。「白山の観音様、これを消させなさいますな」と祈るのも、正気の沙汰ではない。さて、その山を作った日に、式部丞忠隆が帝のお使いとして参上したので、敷物を差し出して話などをすると、「今日、雪山を作らせなさらない所はありません。帝の御前の坪庭にもお作らせになりました。東宮御所にも弘徽殿にもお作らせになりました。京極殿にもお作らせになりました」などと言うので、', 'ここだけで珍しいと思って見ていた雪の山は、あちこちに降っていて、ありふれたものになってしまったことよ。', 'と、そばにいる人に言わせると、何度も首をかしげて、「返歌は、下手な歌で汚すようなことはいたしますまい。しゃれていますね。御簾の前で人に話しましょう」と言って立ち去った。歌をたいそう好むと聞いていたのに、妙なことだ。中宮様がお聞きになって、「たいそうよい歌を詠もうと思ったのでしょう」とおっしゃる。年末ごろには少し小さくなるようだったけれど、まだたいそう高く残っているところに、昼ごろ、縁側に女房たちが出て座っていると、常陸の介がやって来た。「どうしてずいぶん長い間姿を見せなかったの」と言うと、「何の、たいそうつらいことがございましたので」と言うので、「どうしたの、何があったの」と尋ねると、「やはりこう思いましたので」と言って、長々と詠み出す。', 'うらやましいこと。足も引きずられずに来られるこの海の、どんな海人にお与えになっているのだろう。', 'と思いましたのです」と言うのを、憎らしがって笑って、誰も目もくれないので、雪の山に登って、うろうろ歩き回って帰っていった後に、右近の内侍にこれこれと書いて送ると、「どうして人を付けて、こちらへよこしてくださらなかったのですか。あの者が間の悪い思いをして、雪の山にまでよじ登ったとは、たいそう悲しいことです」とあるのを、また笑う。雪山は平然として、年も改まった。元日にまた雪がたくさん降ったので、うれしくも降り積もったものだと思うと、中宮様が「これはいけません。初めのはそのままにして、今の分はかき捨てなさい」とおっしゃる。上の御局から自分の局へたいそう早く下がると、侍の長である者が、柚子の葉のような濃い緑の宿直衣の袖の上に、青い紙を松の枝に付けたものを置いて、寒さに震えながら出てきた。「それはどこからのものか」と尋ねると、「斎院から」と言うので、ふとすばらしく思われて、受け取って参上した。中宮様はまだお休みになっていたので、母屋に面した御格子を上げようと思って、引き寄せて一人で力を入れて上げると、たいそう重い。片方だけなので、きしむ音にお目覚めになって、「どうしてそんなことをするのか」とおっしゃるので、「斎院からお手紙がございますのに、どうして急いでお開けしないでいられましょう」と申し上げると、「本当にずいぶん早いこと」と言ってお起きになった。お手紙をお開けになると、五寸ほどの卯槌二つを、卯杖のように頭を包んだりして、山橘や日陰の葛、山菅などで美しく飾ってあって、お手紙はない。「ただこれだけのはずはないでしょう」と言ってご覧になると、卯槌の頭を包んだ小さな紙に、', '山に響く斧の音をたずねてみたら、祝いの杖を切る音だったのですね。', 'お返事をお書きになる様子も、たいそうすばらしい。斎院には、こちらから先にお便りを差し上げなさるのが常だった。お返事も、やはり格別に心をこめて、何度も書き直し、たいそう気をつかっていらっしゃるご様子が見える。お使いには、白い織物の単衣で、蘇芳色なのは梅襲なのだろう、雪の降りしきる中を、それを肩にかけて帰っていくのも趣深く見える。このたびのお返事の内容を知らずに終わってしまったのは、残念だった。雪の山は、本当に越の国の山だろうかと思われるほど、消えそうにもない。黒くなって、見るかいもない様子になっている。勝ったような気がして、何とか十五日まで持ちこたえさせたいと祈っていると、女房たちは「七日さえ越せまい」とやはり言うので、何とかこれを最後まで見届けようと皆が思っているうちに、急に、三日に中宮様が内裏にお入りになることになった。たいそう残念で、この山の最後を知らずに終わってしまうことだと、本気で思っていると、人々も「本当に見届けたかったのに」などと言う。中宮様もそうおっしゃる。同じことなら言い当てて、ご覧に入れたいと思っていたかいがないので、お道具を運び出し、たいそう騒がしいのに紛れて、木守という者が築地のそばに廂をさしかけて住んでいるのを、縁側の近くに呼び寄せて、「この雪の山をしっかり守って、子どもたちに踏み散らされたり崩されたりしないようにして、十五日まで残しておきなさい。よく守って、その日まで残ったら、中宮様からすばらしいご褒美をくださるでしょう。私からも、たいそうなお礼をしましょう」などと語らって、いつも台盤所の人や下仕えの者などに頼んでもらう果物やら何やらを、たいそうたくさん与えると、にっこり笑って、「お安いことです。確かにお守りいたしましょう。子どもたちなどが登るでしょうから」と言うので、「それを止めても聞かない者がいたら、そのわけを申し出よ」などと言い聞かせて、中宮様が内裏にお入りになったので、私も七日まで内裏にお仕えして退出した。', 'その間も、雪山が気がかりでならないので、宮中の下役や、樋洗、長女などを使って、絶えず注意しに行かせ、七日の御節供のおさがりなどを木守にやったところ、拝んで受け取ったことなどを、使いの者が帰ってきては笑い合っていた。里に帰ってからも、夜が明けるとすぐにこのことを大事にして、様子を見に人をやる。十日ごろには、五、六尺ほどあるというので、うれしく思っていると、十三日の夜に雨がひどく降ったので、これで消えてしまっただろうと、たいそう残念に思う。「あと一日も持ちこたえられないで」と、夜も起きていて嘆くので、聞いている人も「正気の沙汰ではない」と笑う。人が起きて出て行くのに合わせて、私もすぐ起きて下男を起こさせるけれど、一向に起きないので、憎らしく腹が立って、起き出してきたのをやって見させると、「円座ほどの大きさになっております。木守がたいそう熱心に、子どもたちも寄せつけずに守っていて、明日、明後日までも残っていそうです。ご褒美をいただきたいと申しております」と言うので、たいそううれしく、早く明日になったら、たいそう早く歌を詠んで、雪を入れ物に入れて中宮様に差し上げようと思うのも、待ち遠しくてやりきれない。まだ暗いうちに、大きな折櫃などを持たせて、「これに白い所を、ひたすら入れて持って来なさい。汚そうなところはかき捨てて」などと言い含めてやったところ、たいそう早く、持たせてやった入れ物をぶら下げて、「とっくになくなっておりました」と言うので、たいそうあきれた。おもしろく詠み出して、人にも語り伝えさせようと、うめきながら口ずさんでいた歌も、まったくあきれるほどかいがなくなって、「どうしたのだろう。昨日はあれほどあったものが、一晩のうちに消えてしまうなんて」と言って気落ちしていると、使いは「木守が申しますには、『昨日、たいそう暗くなるまでございました。ご褒美をいただこうと思っていましたのに、いただけなくなってしまいました』と、手を打って申しておりました」と言って騒ぐ。', 'そこへ内裏から中宮様の仰せがあって、「それで、雪は今日まであったか」とおっしゃったので、たいそうしゃくで残念だけれど、「年内の元日まででさえもつまいと皆様が申し上げておりましたのに、昨日の夕暮れまでございましたのは、たいそう見事だったと存じます。今日までは、あまりのことで、夜のうちに誰かが憎らしがって取り捨てたのではないかと推察いたしますと、中宮様に申し上げてください」と申し上げさせた。さて二十日に参上したときにも、まずこのことを御前でも申し上げる。「みな消えました」と言って、入れ物の蓋だけをぶら下げて持って来た使いが、法師の帽子のようにしてすぐに戻って来たのがあきれたこと、物の蓋に小さな山を美しく作って、白い紙に歌を見事に書いて差し上げようとしたことなどを申し上げると、中宮様はたいそうお笑いになる。御前にいる女房たちも笑うので、中宮様が「こんなに心をこめて思っていたことをだめにしてしまったのだから、罰が当たるでしょう。本当は、四日の夕方、侍たちをやって取り捨てさせたのですよ。あなたの返事で言い当てていたのはおもしろかった。あの翁が出てきて、たいそう手をすり合わせて頼んだけれど、『仰せ言だぞ。あちらから来る人に、こう言ったと聞かせるな。そうしたら、家を打ち壊させるぞ』と言って、左近の役所の南の築地の外に、みな取り捨てたのです。たいそう高くて、たくさんあったと言っていたので、本当に二十日までも持ちこたえて、悪くすると今年の初雪にも降り加わったでしょう。帝もお聞きになって、『たいそう思いもよらないことを言い張ったものだ』と殿上人たちにもおっしゃった。それにしても、その歌を話しなさい。今はこうして種明かしをしたのだから、あなたが勝ったのと同じことです。話しなさい」などと中宮様もおっしゃり、女房たちもおっしゃるけれど、「どうして、それほどのことを承りながら、申し上げましょうか」などと本気でつらがり、情けなく思っていると、帝もお渡りになって、「本当に、長年、中宮のお気に入りの人だと見ていたのに、これにはおかしなことだと思った」などとおっしゃるので、いっそうつらく、泣き出しそうな気持ちがする。「いやもう、ひどい世の中ですこと。後から降り積もった雪をうれしいと思ったのに、それは『いけない、かき捨てよ』などと仰せがございました」と申し上げると、帝も「本当に、勝たせまいとお思いになったのだろう」とお笑いになる。'

意訳

師走の大雪の日、定子の命で職の御曹司の庭に大きな雪山が作られる。いつまで残るかを女房たちが予想し合う中、作者だけが「正月十五日まで」と言い張った。雪山は年を越しても消えず、作者は番人の木守を雇い、里に下がってからも毎日様子を見に人をやるほどの熱の入れよう。ついに十四日の夜まで残ったが、十五日の朝、雪は跡形もなく消えていた。実は、作者の予想が当たりそうになったのを見た定子が、ひそかに侍たちに命じて取り捨てさせていたのだった。悔しがる作者を、定子も一条天皇も笑う。定子と作者の、遊び心にあふれた親密な関係が生き生きと描かれた、枕草子屈指の名場面である。

語釈・文法注

齋院
賀茂神社に奉仕する未婚の皇女。ここでは選子内親王。和歌に優れ、その周辺は文化サロンとして知られた。

文法

「きやさせ給ふな」
消えさせなさいますな。「きやす」は「消やす」。
「あざれたり」
しゃれている、気が利いている。
「こしのにやあらむ」
越(北陸)の国の山だろうか。越の白山は雪の消えない山として知られた。
「わらふだ」
円座(わろうだ)。藁などで丸く編んだ敷物。
「かたせじ」
勝たせまい。

和歌

ここにのみめづらしと見る雪の山ところどころにふりにけるかな

詠者
清少納言
状況
雪山が宮中のあちこちに作られたと聞いて、ここだけの珍しいものと思っていたのに、とおどけて詠んだ歌。忠隆は返歌をせずに退散した。

修辞

掛詞
「ふり」に、雪が「降り」と、ありふれて「古り」をかける。

うらやまし足もひかれずわたつうみのいかなる海人に物たまふらむ

詠者
常陸の介(老尼)
状況
別の尼が中宮から衣をもらったのをうらやんで詠んだ歌。

修辞

掛詞
「あま」に「海人」と「尼」をかける。

山とよむ斧のひびきをたづぬればいはひの杖の音にぞありける

詠者
斎院選子内親王
状況
正月の初卯の日に、卯槌に添えて中宮定子に贈った歌。卯杖・卯槌を作るために木を切る音を詠んだ。

解説

枕草子の日記的章段の中でも最も長く、最もよく知られた段の一つである。雪山がいつまで残るかという他愛ない賭けに、作者は全身全霊で打ち込み、定子はその作者を見て楽しむ。最後の種明かしで、作者の予想が当たりそうになったのを定子がひそかに阻止していたことが明かされる。

定子がわざわざ雪山を取り捨てさせたのは、作者をからかうためでもあり、また作者の熱中ぶりをいとおしむ気持ちの表れでもあった。一条天皇までが加わって作者を笑う結びには、作者が定子の後宮でどれほど愛されていたかがよく表れている。この出来事があった長徳四年(998)ごろは、中関白家が没落した後の苦しい時期にあたる。

関連

出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、232–238頁(コマ119–122)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日