古典ライブラリー

枕草子 第83段 類聚的章段

物のあはれ知らせ顔なるもの

いかにもしみじみとした情趣を知らせるような顔つきのものとして、鼻水を絶え間なくかみながら物を言う声と、眉毛を抜くことを挙げる、ごく短い段。

鏡に向かって、顔をしかめながら眉毛を抜いている女房。
鏡に向かって、顔をしかめながら眉毛を抜いている女房。
  1. 1物もの物ものもののののあはれあはれあわれ知し知ししらせらせらせがほがほがおなるなるなるものものもの題
  2. 2はなはなはなたるたるたるまままもももなくなくなくかみかみかみてててものものものいふいふいう聲こゑ聲こゑこえ。。。まゆまゆまゆぬくぬくぬく。。。

引用の仕方

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現代語訳

しみじみとした情趣を知らせるような顔つきのもの。

鼻水が垂れる間もなく、かみながら物を言う声。眉毛を抜くこと。

意訳

「物のあはれ」をわざわざ知らせるような様子のもの、という題で、作者が挙げるのは、泣いて鼻をすすりながら話す声と、眉を抜いて涙目になる顔。しみじみとした情趣とは無関係なものを、あえて挙げる皮肉な可笑しみがある。

語釈・文法注

文法

「知らせがほなる」
知らせるような顔つきの。いかにもそれらしい様子の。

解説

わずか二例のごく短い段である。鼻をかみながら話す声は泣いているように聞こえ、眉を抜くと涙が出て、悲しんでいるように見える。どちらも本当の「もののあはれ」ではないのに、いかにもそれらしく見える、という皮肉なユーモアである。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、230頁(コマ118)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日