枕草子 第77段 類聚的章段
心地よげなるもの
気持ちよさそうなものとして、卯杖の祝言、神楽の人長、村雨にあった池の蓮、御霊会の馬長、御霊会の振り幡を挙げる。

現代語訳
気持ちよさそうなもの。
卯杖の祝言。神楽の人長。池の蓮が村雨にあったの。御霊会の馬長。また、御霊会の振り幡。
意訳
見ていて気持ちよさそうなもの。めでたい言葉を唱える卯杖の祝い、神楽で得意げに舞を率いる人長、雨を受けて生き生きとする蓮、祭の行列で晴れがましく馬に乗る馬長や、風にはためく幡。いずれも、晴れの場でのびのびと振る舞うものの姿である。
語釈・文法注
- にんぢやう
- 人長。神楽で舞人を率いる長。
- ごりやうゑ
- 御霊会。疫病などをもたらす怨霊を鎮める祭。祇園御霊会などで、馬長(うまおさ)と呼ばれる童が馬に乗って行列した。
文法
- 「卯杖のことぶき」
- 正月の初卯の日に、邪気を払う卯杖を献上するときに唱える祝いの言葉。
解説
気持ちよさそうなものを挙げた短い類聚的章段である。祭や儀式で晴れがましく振る舞う人々と、雨を受ける蓮とを並べるところに、作者の連想の自在さがある。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、222頁(コマ114)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日