枕草子 第70段 随想的章段
常磐木おほかる所に
常緑樹の多い所で烏が寝ていて、夜中に寝ぼけて騒ぎ、枝から枝へ伝いながら寝ぼけ声で鳴くのは、昼の憎らしい姿とは違っておもしろい、と述べる。

- 1常常とき磐磐わ木木ぎおほかるおほかるおおかる所所ところにににからすからすからすのののねねねててて夜夜よ中中なかばかりばかりばかりにににいねいねいねさわがしくさわがしくさわがしくおちおちおちまどひまどひまどい、、、木木こづたひづたひずたいてててねねねおびれおびれおびれたるたるたる聲聲こえににに鳴鳴なきききたるたるたるこそこそこそ晝晝ひるのののみみみめめめにににはははたがひたがひたがいてててをかしけれをかしけれおかしけれ。。。
現代語訳
常緑樹の多い所に烏が寝ていて、夜中ごろに寝ぼけて騒がしく落ちそうになってうろたえ、木から木へと伝って、寝ぼけた声で鳴いているのは、昼間の見た目とは違っておもしろい。
意訳
昼間はふてぶてしく憎らしい烏も、夜中に寝ぼけて枝から落ちそうになり、寝ぼけ声で鳴く姿は滑稽でかわいらしい。昼と夜とで違う一面を見せる烏の姿を、ユーモラスにとらえた短い段である。
語釈・文法注
文法
- 「ねおびれたる聲」
- 寝ぼけて、おびえたような声。
- 「晝のみめにはたがひて」
- 昼間の見た目とは違って。
解説
烏の夜の姿を描いた短い段である。前段の「たとしへなきもの」の対比の発想を受けて、同じ烏でも昼と夜とで印象が違うことをおもしろがっている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、218頁(コマ112)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日