枕草子 第62段 類聚的章段
橋は
橋の名として、あさむつの橋、長柄の橋、浜名の橋、佐野の舟橋、勢多の橋、鵲の橋、小野の浮橋、山菅の橋、うたた寝の橋などを挙げる。

- 1はしはしはしははは題
- 2あさむつあさむつあさむつののの橋橋はし、、、ながらながらながらののの橋橋はし、、、あまびこあまびこあまびこののの橋橋はし、、、濱濱はま名名なののの橋橋はし、、、ひとつひとつひとつ橋橋ばし、、、佐佐さ野野のののの舟舟ふな橋橋はし、、、うたじめうたじめうたじめののの橋橋はし、、、とゞろきとゞろきとどろきののの橋橋はし、、、をがはをがはをがはののの橋橋はし、、、かけはしかけはしかけはし、、、せたせたせたののの橋橋はし、、、木木き曾曾そ路路じののの橋橋はし、、、堀堀ほり江江えののの橋橋はし、、、かさゝぎかさゝぎかささぎののの橋橋はし、、、ゆきあひゆきあひゆきあいののの橋橋はし、、、をのをのおのゝゝのうきはしうきはしうきはし。。。山山やますげすげすげののの橋橋はし、、、名名なををを聞聞ききききたるたるたるをかしをかしおかし。。。うたゝねうたゝねうたたねののの橋橋はし。。。
現代語訳
橋は。
あさむつの橋。長柄の橋。天彦の橋。浜名の橋。一つ橋。佐野の舟橋。うたじめの橋。轟の橋。小川の橋。懸け橋。勢多の橋。木曽路の橋。堀江の橋。鵲の橋。行き合いの橋。小野の浮き橋。山菅の橋は、名を聞いているのがおもしろい。うたた寝の橋。
意訳
橋の名を並べた段。古歌に詠まれた長柄の橋や佐野の舟橋、七夕の伝説の鵲の橋など、和歌の世界の橋が多い。「うたた寝の橋」で結ぶところに、名前の響きを楽しむ作者の感覚がある。
語釈・文法注
文法
- 「かさゝぎの橋」
- 七夕の夜、牽牛と織女を会わせるために鵲が翼を並べて天の川に架けるという橋。
- 「佐野の舟橋」
- 上野国の歌枕。舟を並べて板を渡した橋。
解説
橋の名を挙げた短い類聚的章段である。挙げられた橋の多くは歌枕であり、作者の関心が実景よりも言葉の世界にあることがわかる。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、214頁(コマ110)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日