枕草子 第61段 類聚的章段
川は
川の名を挙げ、淵瀬の定まらない飛鳥川、何を聞いたのかと思われる耳敏川、意外な名の音無川、天の川などに、それぞれ歌や名前にちなむ感想を添える。

- 1川川かわははは題
- 2飛飛あ鳥鳥すか川川がわ、、、淵淵ふち瀬瀬せさだめさだめさだめなくなくなくはかなからはかなからはかなからむむんととといといといとあはれあはれあわれなりなりなり。。。大大おお井井い川川がわ、、、泉泉いずみ川川がわ、、、水水み無無な瀨瀨せ川川がわ。。。みゝとみゝとみみと川川がわ、、、又又また何何なに事事ごとをををさしもさしもさしもさかしくさかしくさかしく聞聞ききききけむけむけんとととをかしをかしおかし。。。おとなしおとなしおとなし川川がわ、、、思思おもははわずずずなるなるなる名名なとととをかしきをかしきおかしきなりなりなり。。。ほそだにほそだにほそだに川川がわ、、、たまほしたまほしたまほし川川がわ、、、ぬきぬきぬき川川がわ。。。澤澤さわ田田だ川川がわ、、、催催さい馬馬ば樂樂らなどなどなどのののおもひおもひおもいはするはするはするなるなるなるべしべしべし。。。なのりそなのりそなのりそののの川川かわ。。。名名な取取とり川川がわもももいかなるいかなるいかなる名名なををを取取とりりりたるたるたるにににかかかととと聞聞きかかかまほしまほしまほし。。。吉吉よし野野の川川がわ。。。あまあまあまののの川川かわ、、、このこのこのしたしたしたにににもももあるあるあるなりなりなり。。。「「「七七たな夕夕ばたつめつめつめににに宿宿やどからからからむむん」」」ととと業業なり平平ひらががが詠詠よみみみけむけむけんもももましてましてましてをかしをかしおかし。。。
現代語訳
川は。
飛鳥川は、淵や瀬が定まらず、はかないのだろうと、たいそうしみじみとする。大井川。泉川。水無瀬川。耳敏川は、また何をそんなに利口ぶって聞いたのだろうと、おもしろい。音無川は、思いがけない名だとおもしろいのである。細谷川。玉星川。貫川。沢田川は、催馬楽などに歌われていることを思わせるのだろう。名告りその川。名取川も、どんな名を取ったのだろうと聞いてみたい。吉野川。天の川は、この地上にもあるのだ。「たなばたつめに宿からむ」と業平が詠んだというのも、なおさらおもしろい。
意訳
川の名を並べながら、作者はそれぞれの名前から連想を広げていく。「昨日の淵ぞ今日は瀬になる」と詠まれた飛鳥川の無常、「耳敏」「音無」「名取」という名のおかしみ。最後に、地上の天の川(交野の天野川)にちなむ業平の歌を引いて、天上の天の川と重ね合わせる。
語釈・文法注
文法
- 「淵瀬さだめなく」
- 「世の中は何か常なる飛鳥川昨日の淵ぞ今日は瀬になる」(古今集)による。
- 「七夕つめに宿からむ」
- 「狩り暮らしたなばたつめに宿からむ天の河原に我は来にけり」(古今集、在原業平)。交野の天野川で詠んだ歌。
解説
川の名を挙げた類聚的章段である。飛鳥川の無常、天の川と業平の歌など、和歌の世界の名所が多く取り上げられている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、214頁(コマ110)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日