枕草子 第59段 随想的章段
人の家の前を渡るに
人の家の前を通るとき、かわいらしい男の子たちが弓や枝を持って遊んでいるのは抱き上げたいほどかわいらしい。また、立派な家の中門に檳榔毛の車が止まり、随身が出入りする様子はすばらしい、と述べる。

- 1人人ひとののの家家いえのののまへまへまえをををわたるわたるわたるにににさぶらひさぶらひさぶらいめきめきめきたるたるたるをのこをのこおのこつちつちつちにににをるをるおるものものものなどなどなどしししてててをのこゞをのこゞおのこごののの十十とおばかりばかりばかりなるなるなるががが、、、かみかみかみをかしげをかしげおかしげなるなるなる引引ひきききはへはへはえてててもももさばきさばきさばきてててたるたるたるももも、、、又又また五五いつつつつ六六むつつつばかりばかりばかりなるなるなるがががかみかみかみはははくびくびくびのののもともともとにににかいかいかいくゝみくゝみくくみてててつらつらつらいといといと赤赤あこうううふくらかふくらかふくらかなるなるなる、、、あやしきあやしきあやしき弓弓ゆみ。。。しもとしもとしもとだちだちだちたるたるたる物物ものなどなどなどさゝげさゝげささげたるたるたるいといといとうつくしうつくしうつくし。。。車車くるまとゞめとゞめとどめててていだきいだきいだき入入いれれれまほしくまほしくまほしくこそこそこそあれあれあれ。。。又又またさてさてさていくいくいくにににたきたきたきものものものゝゝの香香かのののいみじくいみじくいみじくかゝへかゝへかかえたるたるたるいといといとをかしをかしおかし。。。よきよきよき家家いえののの中中ちゅう門門もんあけあけあけてててびらうげびらうげびろうげののの車車くるまののの白白しろううう淸淸きよげげげなるなるなる、、、はしはしはしすはうすはうすおうののの下下したすだれすだれすだれのののにほひにほひにおいいといといときよげきよげきよげにてにてにてしぢしぢしじにににたちたちたちたるたるたるこそこそこそめでたけれめでたけれめでたけれ。。。五位五位ごい六六ろく位位いなどなどなどののの下下したがさねがさねがさねのののしりしりしりはさみはさみはさみてててさゝさゝささのののいといといと白白しろきききかたかたかたにににうちうちうちおきおきおきなどなどなどしししててて、、、とかくとかくとかくいきいきいきちがふちがふちがうににに、、、又又またさうぞくさうぞくそうぞくしししつぼつぼつぼやなぐひやなぐひやなぐいおひおひおいたるたるたるずゐじんずゐじんずいじんののの出出いででで入入いるるるいといといとつきづきしつきづきしつきづきし。。。くりやくりやくりや女女めのののいといといと淸淸きよげげげなるなるなるがががさしさしさし出出いでゝでゝでて「「「なにがしなにがしなにがし殿殿どのののの人人ひとやややさふらふさふらふさうらう」」」などなどなどいひいひいいたるたるたるをかしをかしおかし。。。
現代語訳
人の家の前を通るときに、侍らしい男が地面に座っている者などを連れて、十歳ほどの男の子で、髪の美しいのを長く垂らしてさばいているのや、また五つ六つほどの子で、髪は首のあたりで丸くたばねて、頬がたいそう赤くふっくらしているのが、粗末な弓や、細い枝のような物などを捧げ持っているのは、たいそうかわいらしい。車を止めて、抱き入れたいほどだ。また、そうして行くときに、薫物の香りがたいそうしみこんでいるのも、たいそう趣がある。立派な家の中門を開けて、檳榔毛の車の白くきれいなのが、端を蘇芳色に染めた下簾の色つやもたいそう美しく、榻に立てかけてあるのは、すばらしい。五位や六位の者などが、下襲の裾を挟んで、笏のたいそう白いのを脇に置いたりして、あれこれ行き交っているところに、また、装束をつけて壺胡籙を背負った随身が出入りしているのは、たいそう似つかわしい。台所の女で、たいそうこぎれいな者が出てきて、「誰それ殿のお供の方はいらっしゃいますか」などと言っているのもおもしろい。
意訳
人の家の前を通りかかったときに目にした光景を描く。おもちゃの弓や枝を手にした幼い男の子たちの姿は、思わず抱き上げたくなるほど愛らしい。一方、立派な家の門前には白い檳榔毛の車が止まり、五位・六位の役人や随身が出入りして、家の格式の高さを物語っている。子どもの愛らしさと、貴族の邸の威儀とを、通りすがりの目でとらえた段である。
語釈・文法注
文法
- 「かいくゝみて」
- 丸くたばねて。
- 「しぢ」
- 榻(しじ)。牛車の轅を載せる台。
- 「つぼやなぐひ」
- 壺胡籙。矢を入れて背負う筒形の道具。
- 「くりや女」
- 台所で働く女。
解説
外出の途中で見かけた光景を描いた段で、前段の従者の話から、人の家の門前の様子へと話題が移っている。幼い子どもたちの描写は、作者の子ども好きな一面をうかがわせる。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、213–214頁(コマ109–110)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日