枕草子 第33段 類聚的章段
びらうげは
牛車の走らせ方について、檳榔毛の車はゆっくりと、網代車は速く走らせるのがよいと述べ、人の家の前をさっと通り過ぎる車の趣を語る。

- 1ははは題
- 2のどやかのどやかのどやかにににやりやりやりたるたるたる。。。急急いそぎぎぎたるたるたるはははかろかろしくかろかろしくかろかろしく見見みゆゆゆ。。。網網あ代代じろははは走走はしらららせせせたるたるたる。。。人人ひとののの門門かどよりよりより渡渡わたりりりたるたるたるをををふとふとふと見見みるるる程程ほどもももなくなくなく過過すぎぎぎててて、、、供供ともののの人人ひとばかりばかりばかり走走はしるるるををを誰誰たれならならならむむんととと思思おもふふうこそこそこそをかしけれをかしけれおかしけれ。。。ゆるゆるゆるゆるゆるゆるととと久久ひさしくしくしく行行ゆけけけばばばいといといとわろしわろしわろし。。。
現代語訳
檳榔毛の車は。
のどかにゆっくりと進ませているのがよい。急いでいるのは軽々しく見える。網代車は走らせているのがよい。人の家の門の前を通り過ぎるのを、ちらりと見る間もなく過ぎて、供の者だけが走っていくのを、誰だろうと思うのがおもしろい。ゆるゆると時間をかけて行くのは、たいそうよくない。
意訳
車にはそれぞれ似合いの進み方がある。格式の高い檳榔毛の車は堂々とゆっくり、軽快な網代車はさっと走り抜けるのがよい。門前を一瞬で通り過ぎ、供の者だけが後を追って走る、誰の車だったのだろう、という余韻を作者は好む。
語釈・文法注
- びらうげ
- 檳榔毛の車。檳榔の葉で屋形を覆った大型の牛車で、上流貴族や高位の女房が乗った。
文法
- 「網代は走らせたる」
- 網代車は、竹や檜の薄板を編んで屋形を覆った牛車。比較的軽く、日常に用いられた。
解説
牛車の走らせ方を論じた短い段である。底本では前の「こゝろゆくもの」に続けて書かれている。格式の高い車は悠然と、軽い車は軽快に、という区別には、物とふるまいとの調和を重んじる作者の美意識が表れている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、193頁(コマ99)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日