枕草子 第26段 類聚的章段
人にあなづらるゝもの
人に軽んじられるものとして、家の北側、お人よしと知られた人、年老いた翁、軽薄な女、崩れた築地塀を挙げる短い段。

現代語訳
人に軽く見られるもの。
家の北側。あまりにお人よしだと人に知られている人。年老いた翁。また、軽々しい女。崩れた築地塀。
意訳
人から軽んじられてしまうものを挙げる。日の当たらない家の北側、人がよすぎる人、年寄り、軽はずみな女、崩れた塀。人と物とを同じ並びに置く書き方に、作者らしい皮肉がこもっている。
語釈・文法注
- ついぢ
- 築地。土を突き固めて造り、屋根を葺いた塀。崩れていると、手入れの行き届かない家と見られた。
文法
- 「あなづらるゝ」
- 「あなづる」(軽んじる、ばかにする)に受身の助動詞「る」が付いた形。
解説
人に侮られるものを挙げた短い類聚的章段である。人の性質と、家の北側や崩れた塀のような物とを並べてみせるところに、物づくしならではのおかしみがある。「あまり心よき」人が侮られるという指摘は、今も通じる人間観察である。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、187頁(コマ96)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日